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プリンスの贈り物 ハーレクイン・ディザイア傑作選

プリンスの贈り物 ハーレクイン・ディザイア傑作選


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイアハーレクイン・ディザイア傑作選
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニファー・グリーン(Jennifer Greene)
 1980年にデビューし、70作におよぶ作品を刊行しているベストセラー作家。RITA賞をはじめ、ロマンティック・タイムズ誌のベストシリーズ賞、最大功績賞など、数多くの賞を受けている。夫とともにミシガン湖近くに住む。

解説

身に覚えのない妊娠――相手は、思いがけない人だった!

ニコルは打ちのめされた気分で病院をあとにした。妊娠……。もう何年も男性のベッドに近づいてすらいないのに。いつ?どうして?もしそんなことがあったとしたら、疲労とシャンパンとで記憶のないクリスマス・パーティしかない。つまり相手は、会社でいつも会っている誰かということになる。動揺し、出社後も優れない顔色のニコルを見て声をかけたのは、半年前から一緒に働いている、やり手のミッチだった。ずば抜けてセクシーだが、なぜかニコルを苛立たせる彼が、お腹の子の父親ということはありえない。そこで、体調が悪いのは妊娠のせいだと漏らすと、彼は色を失い……。

■“ハーレクイン・ディザイア傑作選”より、RITA賞をはじめ数々の受賞歴を誇る実力派作家J・グリーンのヒット作をお届けします。まるで覚えていない一夜の恋を経て、小さな命を身ごもったニコル。そうと知ったミッチとの関係は、いったいどのような展開に!?

*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・ディザイア傑作選となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 二人は崖下の階段までやって来た。ほの白い満月が昇り、寄せては返す波間に月光が反射している。銀色の光が、ニコルの見たいものすべてを照らしていた――ミッチを除いて。
 ニコルがミッチを見ようと振り向くと、彼は海を背にして立っていた。顔は影になっている。あっと思う間もなく、ミッチはそばにやってきた。表情を見ることはできなかったが、じっとこちらを見つめているのが感じられる。ニコルの心臓は、おびえた子馬のように跳ね上がった。「わからないわ、ミッチ。考える時間がほしいの。一緒にやっていこうというあなたの意見に反対はしないわ。それどころか、その必要があると思っているくらいよ。解決すべきことが、たくさんあるんですもの。正直に話し合って、理解し合えるようになればいいとも思っている。でも結婚は……」
「不自然すぎる?」
 ニコルはうなずいた。「ええ」
 ミッチは顎をこすった。「あまりにも古風で、とんでもないことで……ばかげている?」
 笑ってはいなかったものの、ミッチの明るい気楽な言い方のおかげでニコルは緊張が解け、組んだ腕を下ろしてほほ笑んだ。
「ええ」
「わかったよ。でもきみの気が変わったら、いつでも応じる用意があることを覚えておいてくれ」
「ええ。わたしの気は変わらないと思うけど、それでいいわ」話し合いが一区切りついたと思ったので、ニコルは階段に足を一歩踏み出した。しかしミッチが、手首をつかんできた。
 ニコルは首をかしげた。まだ何か言いたいことがあるのだろうか。しかしミッチは何も言わなかった。聞こえてくるのは砂浜に寄せる波の柔らかな音だけになった。それでもニコルはまだ、安堵のほほ笑みを浮かべていた。ひとまず、話は終わった。簡単な話し合いではなかったし、何も解決はしていない。だが、子供のことを話し合うという第一関門を突破したのだ。
 しかし、その安堵は突然消え去った。ミッチはそっと手首を離すと、そのままゆっくりと手を上げてニコルの顔を優しく包み込んだ。キスしようとしているのだ。ニコルの頭の中で警報が鳴った。まさか、そんなはずはない……と思っているうちに、逃れるチャンスを失った。ミッチは指を彼女の髪に滑り込ませ、頭を下げた。
 ミッチの唇が羽根のように軽くニコルの唇をかすめた。ニコルは思った。いいわ、ミッチもほっとしたのね。思ったことを体で表現する人だから、基本的な愛情表現をしているだけなんだわ。ここはむやみに騒ぎ立てるようなばかなことはせずにおこう。
 ああ、でもこれはまずいわ。
 ミッチの唇は温かくて柔らかく、誘惑的だった。彼の肌は、潮の香りに混じって、清潔で男らしい香りがする。初めて感じるミッチの唇に誘われて、ニコルの唇は彼の唇の上をさまよい、その滑らかな感触を味わった。そして二人がどんなにしっくりとくるかを知った。興奮でぞくぞくしてくる。
 キスに反応するつもりなどなかったのに。ミッチのせいだ。向こうみずだった十代のときですら、こんなに奔放なまねをしたことはなかった。わたしは絶対にセクシーな恋人などではない。男性とぱっと火花を散らして燃え上がる、液体酸素のようなタイプではない。
 ミッチが何かしたのだ。それ以外に説明のしようがない。ニコルは彼を押しのけようと両手を持ち上げたが、役立たずの手は、なぜか相手の腰に滑っていった。こんなばかげたこと、と言おうとして口を開けると、いつの間にかミッチの舌がさっと入ってきて、彼女の舌とからみ合った。
 星がぐるぐると回って見えた。不意に夢の中に足を踏み入れたかのように、ニコルはキスを返していた。そうしなければ死んでしまうとでもいうように。
 今まで魔法を感じさせてくれる男性はいなかった。そもそも魔法みたいなばかげたことを信じていなかった。けれど、胸とおなかで渦巻く熱が、生きている充実感を味わせてくれる。まるでミッチと出会うまでの自分は眠っていたかのようだ。
 どうかしているわよ。そう言い聞かせても、頭に血が上るのを止めることはできなかった。ミッチの太腿が体にしっかりと押しつけられていて、身動きができない。髪にもぐり込んでいる彼の大きくて優しい手は、ニコルを宝物のように大切にしてくれている感じがした。キスは新たなキスを呼び、全身が震えるような興奮をかき立てる。
 やめることはできる。いつでも。あと一分もしたら、この狂ったような魔法も解け、正気に戻れるだろう。
 一分が過ぎた。
 そしてまた一分が過ぎた。
 ミッチはキスをやめて、ゆっくりと頭を上げた。彼の唇はニコルと同じように濡れ、息は荒い音をたてていた。欲望で瞳は陰りを帯び、顔には今まで見たこともないほど大胆で厳しい表情が浮かんでいる。だが、彼の指は優しくニコルの顎をたどった。
「これだよ」ミッチはささやいた。「これこそが、ぼくたち二人の間で起こったことだ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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