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愛され注意報〜初恋御曹司は婚約者を逃がさない〜

愛され注意報〜初恋御曹司は婚約者を逃がさない〜


発行: マーマレード文庫
シリーズ: マーマレード文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

政略結婚だったのに、許嫁から一途に求愛されるなんて!?
結婚したいと思うのは君だけだ

琴葉には誰もが羨む完璧すぎる超イケメンの優しい許嫁・黒瀬楓がいる。親同士が決めた政略結婚だが、琴葉は初恋の人との婚約に幸せを感じていた。ところが、父が事業に失敗し、琴葉はつましい一人暮らしの身の上に。こんな私と結婚しても彼には何もいいことはない……。楓からのプロポーズに「考えさせてほしい」と告げると、彼の態度が一変して――?

抄録

「なぁ、琴葉は覚えている? 俺たちが初めて会った日のことを」
 ゆっくりと私を見る彼の表情は穏やかで、懐かしむように聞いてきた。
「えっと……ごめん、はっきりは覚えていない」
 私と楓くんが初めて会ったのは、私が三歳で、彼が八歳の時だと聞いている。でも三歳だった私の記憶は曖昧でよく覚えてない。
 正直に答えると、楓くんは「そうだよな」と言いながら「フフッ」と笑みを零した。
「あの時の琴葉、すごく可愛かったんだ。両手にクッキーを持って駆け寄ってきてさ。『美味しいから』って言われて、無理やり口の中に入れられたっけ」
「えっ! 嘘!?」
 やだ、小さい頃の私ってば楓くんにそんなことをしたの!?
 驚く私を見て、彼はますます愉快そうに笑う。
「本当。どうやら当時、琴葉はおままごとにハマっていたみたい。それからしばらくは、会うたびに付き合わされたよ。ませた奥さんの旦那さん役として」
 うっ……! おままごとにハマっていたことは、うっすら覚えている。通っていた保育園で友達とよくやっていて、家でもお父さんやお母さん相手に遊んでいたから。
 そういえば昔の写真の中に、おままごとをしている私と楓くんの写真があった気がする。
 思い出している間も彼は続けた。
「ひとりっ子だった俺にとって、本当の妹ができたようだった。だから嬉しかったよ、おままごとも楽しかった」
「……そっか」
 やっぱり楓くんにとって私は、昔から変わらず妹のような存在なんだね。だから今もこうして私のそばにいてくれるんでしょ? 両親と離れて暮らす私を心配して。
 そう思うとすべて辻褄が合い、ズキズキと胸が痛み出す。
 なにか言って話題を変えたいのに言葉が出てこない。大丈夫かな、顔に今の気持ちが出ていないだろうか。
 不安になる私に楓くんは言葉を選ぶように、ゆっくりと話を続けた。
「だから両親から婚約の話を聞いた時、心配になった」
 心配になった? それはどういう意味?
 彼の真意が知りたくてジッと見つめると、楓くんは困ったように眉尻を下げた。
「当時、琴葉は中学生だっただろ? 妹のように思っていたからこそ、俺との婚約の話を聞いて嫌に思っていないかと心配だった」
 意外な彼の胸の内に目を丸くさせてしまう。
 まさか楓くんが当時そんな風に思っていたなんて、夢にも思わなかったから。
「正直、俺も戸惑ったよ。妹と思っていた子と将来、結婚するよう言われたのだから。でもその気持ちは次第に変わっていった」
 そう言うと楓くんは、繋いでいた手を握る力を強めた。それと同時に真剣な瞳を向けられトクンと胸が鳴る。
「高校生になった途端に琴葉は急に大人っぽくなったよ。ずっと可愛い妹だったはずなのに、いつからか俺の中でひとりの女の子に変わっていった」
 本当に? 楓くんの中で私は、妹のような存在ではなくなっていったの? それは今も変わらない?
 疑問は顔に出ていたのか、楓くんは伝えてくれた。
「琴葉の家が大変なことになって、本当はおじさんたちと一緒に行くべきだと思っていた。……でも俺が琴葉と離れたくなかったんだ。そばにいてほしかった」
 ずっと楓くんは、同情心から引き留めてくれたのだと思っていた。だけど違ったの?
 彼の想いに頭の中は混乱する。
「その想いは日に日に強くなっていったよ。……俺、琴葉のことが好きなんだ。これから先もずっと一緒にいたいし、生涯かけて幸せにしたい。……だから俺と結婚してくれないか?」
「嘘……」
 素直な想いが口から出た瞬間、彼は頬を緩めた。
「嘘じゃないよ。嘘でプロポーズする人間がどこにいる? 琴葉のことが好きで結婚したいからプロポーズしたんだ。だから信じて」
「楓くん……」
 それはずっと彼の口から聞きたくて、でも聞きたくなかった言葉だった。
 楓くんとずっと一緒にいたい。でも私では不釣り合いだ。矛盾する思いに悩まされ、ズルズルと今日まで過ごしてきた。
 昔から夢見ていた大好きな人からのプロポーズ。嬉しいはずなのに悲しい気持ちになるのは、やっぱりまだ楓くんの気持ちが信じられないからだと思う。
「楓くん、本気なの? だって私なんか──……」
「ストップ」
 話の途中で彼は人差し指を立てて、私の唇に押し当てた。
「琴葉、『私なんか』なんて言うものじゃないよ」
「でも……」
 言いたくもなる。それに楓くんは、本当に私のことを好きなの? 妹みたいな感情から同情に変わり、それを恋愛感情と勘違いしているだけじゃないの?
 素直に彼の気持ちを受け止めることができなくて、グルグルと考えてしまう。
 もしかして今は、夢の中じゃないだろうか。だってこんなに自分に都合の良い話があるわけないよ。
 すると楓くんは繋いでいた手を離し、私の両肩を掴んだ。そして向けられたのは切れ長の吸い込まれてしまいそうな瞳。
 彼にこうして至近距離で見つめられたら、なにも考えられなくなる。
 ゆっくりと楓くんの手は肩から離れ、優しく私の頬を包み込んだ。少しだけ冷たい彼の手に、今が現実なのだと実感させられていく。楓くんの手が躊躇いがちに頬を撫でるたびに……。
「好きで大切すぎて、こうして触れることにいつも躊躇していた。一度触れたら、止まらなくなりそうだったから」
 艶のある瞳に胸が熱くなる。
 どうしよう、胸が苦しくて声が出せない。
 その間も彼の手は私の頬に触れたまま。
「琴葉は……? 俺のこと、どう思っている? 昔はよく、『好き』って言ってくれたけど、大人になってから一度も聞かせてくれていないよな」
「私……は」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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