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伯爵様は新妻を愛でたおしたい〜ワケあって求婚を受けたら、溺愛されました〜

伯爵様は新妻を愛でたおしたい〜ワケあって求婚を受けたら、溺愛されました〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫なりゆきで誘拐したら、溺愛されました〜王子様と甘い恋の攻防戦〜
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

素直になってしまいなさい、僕の子猫
うまく利用するはずが腹黒伯爵に溺愛されて!?

旧家の令嬢オルテンシアは国王直属の諜報の任に就いている。伯爵令息ルチアーノに近付き、二人の王子のどちらを支持するか探ろうとするが、彼は真意を掴ませないまま、突然オルテンシアに求婚してきた。「貴女は本当に敏感で可愛いですね」強い執着と愛情を見せてオルテンシアを翻弄するルチアーノ。とまどいながらも彼に惹かれていくけれど……!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「どうぞ私をルチアーノ様の花嫁にしてくださいませ」
 それが正しいか過ちか、判別するにはしばらくかかる。未来ではっきりした際に、笑っている人物は果たして誰か。
「ありがとうございます! オルテンシア様! 心より愛しています」
「ええ、私も……」
 男女の愛なんて、信じていない。
 両親は仲睦まじいけれど、あれは奇跡のようなものなのだ。短くない年月、人の裏側ばかり見続けて来たオルテンシアは、すっかり恋愛にも結婚にも夢を抱いていなかった。
 自分の周りに集まるのは、見てくれの美しさに惹かれた醜い生き物ばかり。年端もいかない少女に、欲望をぶつけようとする大人たちだらけだった。
 ――それなら、一番利用価値が高い相手を選ぶわ。所詮彼も、私の容姿だけが目当てなんでしょう?
 オルテンシアはどこかがっかりとした気分に蓋をして、ルチアーノから花を受け取った。
「キスをしてもいいでしょうか?」
「え? ええ、勿論ですわ。私たち夫婦になるのですもの」
 オルテンシアは花を持っていない右手を、いつもの癖で差し出した。てっきり手の甲へ口づけされると思ったからだ。
 だが微かに苦笑した彼は立ち上がり、オルテンシアを抱きしめる。
「……っ」
 悲鳴を噛み殺せた自分を、褒めてやりたい。咄嗟に表情を取り繕い、狼狽する心を押し殺した。
「挨拶のキスでも、崇拝のキスでもありません。想い合う男女がする、特別な口づけをさせてください」
「と、特別?」
「はい。夫婦や恋人同士がする甘く深いものです」
 それは父と母が交わしている熱烈なものか。はたまた兄があちこちで安売りしている淫らなものか。
 知識としてだけ熟知しているオルテンシアは眼を白黒させた。だが初心だと侮られたくない一心で、何でもない振りをする。
「ええ、是非」
 まだ誰にも許したことのないオルテンシアの唇は、微かに震えていたかもしれない。意志の力で懸命に抑え込み、優美な弧を描かせる。
 近づいてくるルチアーノの顔に、心臓が破裂するかと思った。
「……眼を閉じてください、オルテンシア様」
「え、ええ、そうですね」
 いつ閉じればいいのかさっぱり分からない。だいたい鼻がぶつかりそうだ。眼を瞑っていては、不測の事態に対応できないではないか。しかし焦点が合わないほど間近に迫った彼の顔に困惑し、オルテンシアは慌てて瞼を下ろした。
 視覚情報を遮断すると、途端に他の感覚が鋭敏になる。聴覚に嗅覚、何よりも触覚が生々しいほどルチアーノの存在を突き付けてきた。
 彼の体温。意外に逞しい腕の太さと力強さ。
 ダンスの時とは違う密着度が、オルテンシアの鼓動を加速させる。
 柔らかく温かいものが、唇に重なった。
「……っ」
 初めは触れるだけの淡い接触。驚きでオルテンシアの顎が緩んだ瞬間、口づけが深くなる。歯列をくぐり、ルチアーノの舌が侵入してきた。
「……っ、んんっ……」
 鍛えられない口内を、内側から舐められる。舌先で擽られ、怯えて縮こまっていたオルテンシアの舌は誘い出されていた。粘膜を擦り合わせられ、擽ったさと初めての心地よさに背筋が痺れる。
 駆けあがる震えは、尚強く掻き抱かれることで抑え込まれていた。
 息が苦しい。混じり合った唾液が口の端から垂れる。オルテンシアが酸欠で喘いだ刹那、角度を変えて再び唇を貪られた。
 今度は後頭部を押さえられて、ほんの僅かも逃げ道がない。ただひたすら口の中を蹂躙するキスに翻弄されるだけだ。
 じゅる、と聞くに堪えないいやらしい水音が鼓膜を揺らし、同時に耳たぶや頬を摩られ、オルテンシアの体温は天井知らずに上がってゆく。今や燃えてしまいそうなほど、全身が発熱していた。
 もがきたくても、がっちり拘束されて身を捩ることさえ難しい。女性としては力があるオルテンシアだが、彼の腕の檻から逃げ出すのは到底不可能と思われる。
 薄目を開ければ、ルチアーノが蕩けた瞳でこちらを凝視していた。
 ――う、嘘吐き……! 自分はしっかり眼を開けているなんて、酷い裏切りだわ!
 騙されたのだと察し、オルテンシアはカッと両目を見開いた。そして至近距離からギラギラと彼を睨みつける。
 負けたくない。この男には。
 こちらからも舌を伸ばし、反撃に打って出る。
 自分がされて心地好かった角度と場所を再現し、逆にルチアーノを追い詰めにかかった。学習能力は高いのである。
 すると唇を密着させたまま、彼が笑う気配がした。
「……ん、っく……」
 だがルチアーノにとって、付け焼刃のオルテンシアの攻撃を躱すなど、赤子の手をひねるのも同然だったらしい。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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