マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

約束できない愛

約束できない愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ロクサナ・セントクレア(Roxanne St.Claire)
 アメリカで数々の名誉ある賞を受賞する実力派作家。広報やマーケティングの重役として二十年近く働いたあと、九九年にロマンスを書きはじめる。ある出版社は彼女を評してこう表現する――“リンダ・ハワードと同じ道をたどっていくであろう才能にあふれた新作家だ”

解説

身も、心も、魂さえも捧げた――愛を約束できない美しき男に。

ジョーは姉妹同然に育った親友の死に思いを馳せ、摩天楼を見上げた。わが子のように思う親友の忘れ形見を養女にしようと、ニューヨークにオフィスを構える親友の兄キャメロンを訪ねたのだ。養子縁組をするには、キャメロンの同意が必要なのだが、敏腕弁護士である彼は、おいそれと署名をしない。それどころか、自分の予定にジョーをつき合わせたあげく、明日会社で署名するからと、今夜は彼女を自宅に泊めると言いだした。わたしが養母にふさわしいか見極めるため?それとも……?最高級住宅街にあるキャメロンの自宅へ向かうエレベーターの中、ジョーは急上昇する脈拍を無視しようと、ぎゅっとまぶたを閉じた。

■ロマンスの女帝リンダ・ハワードを彷彿とさせる才能を持つと賞された作家、ロクサナ・セントクレアの貴重な未邦訳作品をお贈りします。本作は『君がくれたメッセージ』と『消えない情熱』の関連作で、マクグラス3兄弟の長男、真面目な美男子キャメロンが主人公!

抄録

 ジョーはうれしそうに顔をほころばせて、彼の腕に腕を絡ませた。「どうもありがとう、キャム」
 このまばゆい笑みが見られるなら、満塁ホームランを見逃したってかまわない。「お安いご用さ。君が真実を認めるならね」
「真実?」
 キャムは肩越しに親指でフィールドをさして尋ねた。「あれは、本当に恐ろしく退屈かな?」
「そうねえ……」ジョーが答えを引きのばして彼の腕にすがった。キャムをかっと燃えあがらせる親しげなしぐさだ。「あなたの野球熱が伝染したかも」
 彼は笑い声をあげてジョーを引き寄せた。彼女の足取りは軽く、笑顔は本物に見える。どうやら目的のものを得られそうだと察して、うれしくてたまらないらしい。
「なあ、ジョー」スタジアムから出たところで、キャムは口を開いた。「言っておきたいことがあるんだ」
「何かしら?」
 それはジョーの髪の清潔な香りのせいだったのかもしれない。あるいは腕に絡む、ほっそりした腕の感触のせいだろうか? それとも今までのデート相手と違い、野球を理解しているふりをせず、でも進んで学ぼうとする彼女に、不思議な仲間意識を覚えたせいか? 理由はわからないが、とにかくキャムは自分の気持ちを伝えたくなった。
「出会ったのが、こんな奇妙な状況で残念だよ」
「どうして?」ジョーがまた彼を見あげた。唇がかすかに開き、カウボーイハットが優美な頬に影を落としている。「こんな状況でなければ私を野球ファンにできたかもしれないから?」
 突然、彼女にキスをしたいという激しい衝動に襲われ、キャムはその場で凍りついた。「ああ、そうさ」もっと顔を近づけたくて、カウボーイハットを脱がせる。「そして実際、そうできたはずだ」
 ふたりの顔が間近で向き合うと、ごく自然な成りゆきのようにキャムは腕をジョーのウエストにまわし、彼女の両腕は彼の首に絡みついた。ふたりの身長差は理想的だ。ジョーの目線は僕の口元にある。互いにほんの少し距離をつめさえすれば……。
「書類にサインしてくれるのよね?」
 キャムはうなずいた。ジョーが顔をあげて感謝に満ちた魅惑的な瞳で彼を見る。キャムは頭をさげて口を開き、そして……。
 彼女にキスをした。
 ジョーは塩とビールとミントの味がした。温かく柔らかな唇が開くと、彼は繊細な口のなかを舌でたどった。たちまち快感に陶然となり、彼女を抱く腕に力がこもる。もっと深く、もっと長くキスを続けようと、キャムは顔を傾けた。
 やがて彼のなかで炎が燃え始めたちょうどそのとき、ジョーがゆっくりと身を引いた。目は閉じていたが、美しい唇に笑みが浮かんだ。なぜかキャムは、そのことが何よりもうれしかった。彼女はいきなり力任せに唇を引きはがしたりしなかった。この訪問の大切な目的を忘れてキスをするなんて最低だと非難もしなかった。それどころか、僕とのキスをとことん楽しんだように見える。
「ねえ、こうしようと思うの」その唇の動きが彼に感じられるほど口と口を寄せたまま、ジョーがささやいた。「キャリーに野球を教えるわ。ヤンキースの帽子も買ってあげるつもりよ。どうかしら?」
 無数の相反する感情がこみあげたが、キャムはそのすべてを押し殺した。「そうしてくれ、スウィートハート」彼女のウエストにあてた手を後ろへ滑らせ、引きしまったなめらかな背中を撫であげる。
 ジョーはまた顔をあげて、勝ち誇ったようにきらめく瞳で彼を見た。「私が今どれほど幸せか、想像もつかないでしょうね。あなたのおかげよ」今度は彼女が身を乗りだし、自分からキスをした。あまりに幸せで、思わず唇を重ねたというように。
 もっとジョーを味わいたくて、キャムは首を傾けて彼女の顔を両手で包み、指を長く豊かな髪に差し入れた。稲妻が空を走るように欲望の炎が全身の血管を駆けめぐり、気がつけば下半身がかたくこわばっていた。
 自制しなくては。さもないと彼女は確実に飛行機に乗り遅れる。キャムは体を引いて、ジョーの下唇を指先でたどった。その指を口のなかへ差し入れたかったが、ぐっとこらえる。
「野球観戦ほど女性を高ぶらせるものはないらしいな」彼はほほ笑んだ。
 ジョーもほほ笑み、黙って一歩さがった。急に陽気で積極的になった理由をあえて訂正はしなかった。彼女が予想外の親密さを示したのはゲームに勝ったからだとふたりともわかっていたけれど。
「おいで、スウィートハート。空港へ行こう」
 キャムはジョーの手を引いてタクシー乗り場へ向かった。乗り場に着くと、待っていたタクシーのドアを開ける。
「お先にどうぞ」
 だがジョーは動かなかった。「キャム、わざわざ空港まで送ってくれなくていいわ。ただ……」彼女はキャムのポケットに目をやり、すがるように、申し訳なさそうに彼を見た。「サインさえしてくれればひとりで帰るから」
「そしてふたりでタクシーのなかで楽しむチャンスをふいにしろというのか? 冗談だろう?」
 彼女は小さく笑いをもらした。「ふたりとも、今夜はもう十分に楽しんだと思うわ」そしてキャムのポケットに手をのばしたが、彼は身をかわした。
「それじゃあ、話をしよう」
 あきれたとばかりにジョーは眉をつりあげた。
「本気だよ。話があるんだ」キャムは彼女の背中を押してタクシーに乗りこませながら、手に触れる感触を楽しんだ。
 タクシーの後部座席で一時間キスをするのも悪くない。だが、そろそろ話をする時間だ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。