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白雪姫と七人目の秘書 愛の寓話 II

白雪姫と七人目の秘書 愛の寓話 II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ愛の寓話
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

18歳の誕生日に家を失ってから、愛に満ちた家を探し求めて……。

母を早くに亡くしたセージは、父に愛されて育った。だがそれも、父が魔性の美女と再婚するまでの話だった。父の死後、継母は父の会社を奪い、セージを使用人並みにこき使って、あげくの果てに家から追い出した。以来、彼女は必死に生き、今は自分を拾ってくれた恩人の会社で身を粉にして働く日々だ。それでも、半年以内に結果を出さなければ仕事を失ってしまう。多忙をきわめるセージは秘書を募集し、トレイという男性を採用した。立派な経歴に、みごとな容姿、どこか謎めいた彼の正体を、そのときのセージはまだ知らなかった――じつのところトレイは、恩人の疎遠の息子、次期CEOで、彼女の成功を阻もうとしているとは!

■継母にいびられたうえ、大切なものを皆奪われたつらい経験を持つセージ。そして、けなげに生きる彼女に忍び寄る、秘書の皮をかぶった悪魔的な魅力をまとう大富豪トレイ。相反する利害関係にある二人が障壁を乗り越え、愛に目覚めていく過程をお楽しみください。

抄録

 彼の使命は真実を突き止めることだった。
 クエンティン・トーマス・ルソー三世は取締役会の大半を説得し、父の愛する雑誌を廃刊にする同意を得ていた。しかし、父はCEOの最後の仕事として新しい編集長を迎えていて、その女性がどういう方法を用いてか業績を好転させつつあった。『QTR』に背を向けていた書店が再び受け入れ、赤字が消えた。このまま売り上げが伸びれば、彼女は大きな利益を上げることになる。しかし、どうやって? なぜこんな沈みゆく船を救うのだ?
 父には多くの人脈があり、人を惑わすだけの金がある。真実を知る上でクエンティンが信用できるのは自分だけだった。だが、いきなりここへやってきて次期CEOだと名乗ったら、スタッフが心を開くはずがない。つまり、普通の方法ではだめだということだ。
 そんなとき、新編集長が秘書を募集するという話が耳に入り、真相解明に乗り出した。それほど現実離れした構想ではない。社長が正体を隠して自分の会社に潜入するテレビ番組もあるではないか。
 偽名が必要になり、寄宿学校時代の呼び名を使うことにした。クエンティン・トーマス・ルソー三世という本名は友人たちには不評で、彼はじきに“三番目”を意味するトレイと呼ばれるようになった。母はいやがったが、いつも不在の父親とは違う名前を持てて彼はうれしかった。今回の任務には、そのニックネームと、亡くなった母の旧姓を組み合わせて使うことにした。
〈QTR・インターナショナル〉の取締役会には顔を知られているため、新たに口髭と顎髭を伸ばした。少しちくちくする。長かった髪は短く切った。仕上げに、コンタクトレンズをやめて黒縁の眼鏡をかけた。母でさえすぐには息子だとわからないだろう。
 唯一の問題は、セージ・ホワイトがこんなに若いとは知らなかったことだ。下調べをしたときに年齢を見落としたに違いない。さらに、こんなに美人だとは思わなかった。インターネットで見た写真は写りがよくなかったようだ。褐色の髪と白い肌。青い瞳は紫色にも見える。雑誌を巡って敵対する立場にいると思うと残念だった。とても残念だ。
「ミスター・ルノー?」
 ぼんやりしていたようだ。
「ウイ。つまり、はいという意味です」
 セージは妙な顔をしたが、その表情はすぐに消えた。「すばらしい履歴書ね」そう言って椅子の背に寄りかかった。生まれながらにしてその席にいたかのように落ち着き払っている。彼女の父親が出版業界の伝説的人物であることを考えれば、それも当然かもしれない。だが、その父親が他界してから道を誤ってしまったらしく、出版業界を追放されていた。そう、今までは。父はセージの何を知っているのだろう? 僕の知らない何を?
 セージが返事を待っている顔をしている。
「ありがとうございます」彼女の目に留まるよう苦心して立派な履歴書を作ったのだ。だが、立派すぎてもいけない。
 セージが褐色の眉を片方上げ、鋭い視線でトレイを見た。まるで考えを読み取ろうとしているかのようだ。「なぜ『QTR』編集部で働きたいの?」
“君の手品を暴きたいからだ。そして、それをやめさせたいから”
 トレイは咳払いをした。「あなたが雑誌の売り上げを大きく改善させていると聞いて、自分もその一員として働きたいと思ったんです」
 なるほどというふうにセージはうなずき、履歴書に視線を落とした。「出版業界で働いた経験がないようだけど」
 それも承知の上で人生初の履歴書を書いた。大学在学中にソフトウエアの会社を立ち上げたため、今まで履歴書が必要になったことはない。いつも雇う側だった。今回は逆の立場だ。慣れるまで少し時間がかかるかもしれないが、秘書の仕事は大してむずかしくないだろう。
 ただし、履歴書をあまり完璧にはしたくなかった。怪しまれる可能性がある。
「出版業界は初めてですが、僕は挑戦するのが好きなんです」
 今度もセージはうなずいた。「確かに私は手ごわいわよ」
 突然トレイの頭に、ある想像が浮かんだ。頭の中のセージはトレイに難題を突きつけていた。しかし、それは仕事でなく、つややかでふっくらした唇だった。たまらなく魅力的なラズベリー色の唇が白い肌に映えている。
 トレイはごくりと喉を鳴らした。「それなら僕たちはいいパートナーになれる」
「気が早いのね。まだ雇うとは言っていないわ」
「だが、雇うはずだ。僕が必要でしょう?」トレイはとっておきの笑みを見せた。
「私は誰も必要としていないわ」
「いや、僕が必要なはずだ。まだ気づいていないだけで」
 セージが椅子の背にもたれ、腕組みをした。威圧的に見せるつもりだとしたら、効果はなかった。「ずいぶん変わった受け答えね」
 そうだろうか? いずれにしても、印象には残ったらしい。
「僕はあなたが必要としている人材です。のみ込みが早く、有能だ」
「そして、うぬぼれ屋ね」
 トレイは首を横に振った。「実際に有能なら、うぬぼれとは言わない。一カ月ください。証明してみせますよ」
 セージはきっと僕を雇う。トレイはそう確信した。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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