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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

結べない一夜の絆

結べない一夜の絆


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アリスン・ロバーツ(Alison Roberts)
 ニュージーランド生まれの彼女は父親の仕事の関係で5歳のときから海外生活を経験した。帰国ののち小学校教師となり、医師の夫と結婚。クライストチャーチに移住後は医療関係の仕事に携わる。夫とスコットランドに滞在していたとき、小説を書き始めた。現在は救急隊員の資格を取るべく訓練中で、執筆の合間には、可能な限り現場に出ているという。

解説

子を授かるための一夜の契りが、忘れえぬ愛の記憶となり……。

赤ちゃんが欲しいと切望するジョージアは、ある日、心に願った。すてきな男性と一夜の恋におちて、運よく身ごもれたら……。そうしたら、独りで産んで、愛情をたっぷりそそぐつもりだ。父に手を上げられ、母と逃げ惑う日々を過ごしたジョージアは、恋人からも手ひどい扱いを受け、男性不信に陥っていたのだ。そんなとき、海外出張で魅力的なイタリア人マッテオと出会い、惹かれ合って結ばれた――意を決し、これは一夜の戯れよと伝えて。彼の目に浮かんだ蔑みの色に胸が押しつぶされそうになったが、こうするしかなかったのだと、ジョージアは自分に言い聞かせた。やがて彼女は願いどおり妊娠を知るが、消せない愛の記憶に苛まれ……。

■イマージュの人気作家A・ロバーツが描く、感動のシークレットベビー物語!友情から愛情へと変化していく二人の恋が描かれた『片思いの第二章』と同時進行している本作は、前作の主人公たちの親友同士が繰り広げる、切なくて愛おしいラブストーリーです。

抄録

 ジョージアは沿道の子どもたちのなかに、教室での課題で、丸めた紙を投げてきた少年を見つけて、車の窓から体を乗り出し、用意してきたプレゼントを放り投げた。そして少年が、スコットランド国旗と同じ色のキャンディと、車に結びつけていたキルトを着たクマのぬいぐるみを受けとるのを見て、思わず歓声をあげた。
 車を運転していたマッテオも、彼女の危険な行為に顔をしかめながらも声をあげて笑っていた。
 相手が誰であれ、自分と似たような性格の持ち主に共感を覚えるのは自然なことだろう。しかしジョージアは、マッテオとの場合はそれだけではない気がした。だが、それはあとでゆっくり考えればいいことで、いまはただ、彼の心地よい笑い声を楽しみたかった。このあとは、食べたり飲んだりダンスをしたりと、大いに羽目をはずして楽しむ時間が待っているのだから。
 パーティ会場では、マッテオがシャンパンのボトルを持ってテーブルまでやってきた。長い、素朴な木のテーブルには、ニュージーランドやクロアチアなど、世界じゅうから集まった参加者たちがいた。
 だがマッテオは、ジョージアの前に座ってウインクをすると、小声で言った。「ぼくは忘れていない。きみはシャンパン好きだったね。そうだろう?」
「そうね……」
 すると、このシャンパンはマッテオからわたしへの贈り物なのだろうか。
 ジョージアは、体の内が熱くとろけそうになるのを感じて、あわてて自分を抑えた。
「この大会にまた参加したいと思っている人はいるかな?」ルークがそうきくと、マッテオがシャンパンを注いだプラスチックのコップをジョージアに渡した。
「わたしも」ジョージアが即座に答えた。
「ぼくもだ」ほとんど同時に、マッテオが言った。
 ふたりは顔を見あわせて笑いながら、シャンパンで乾杯した。互いの視線が絡みあい、とろけてしまいそうな感覚がふいに高まっていく。そのことに気づいて、ジョージアはいっそう体をほてらせた。それは、ふたりが単に冒険好きというのをはるかにこえた、互いの体を求めあう共感にも似たなにかだった。次の瞬間、ジョージアとマッテオは、その場に誰もいない、ふたりだけの世界にいるような錯覚に陥っていた。
 危険な世界だった。誰かに夢中になったときにだけ入り込んでしまう夢の世界で、やがて自分の愚かしさをいやというほど思い知らされる世界だった。
 でも……ほんの少しなら……問題はないかもしれない。ほんの数時間だけなら。
 ジョージアは心の底からそう願った。
 これは、あのばかげた計画とはなんの関係もない。偶然、この大会で出会った人に強く惹かれただけのこと。それに、その人はすぐに彼女の前から去って、自分の国に戻っていく。
 それでも、ジョージアにとって、これほどまでに誰かとつながっている感覚を持ったのは初めてだった。
 近くで、ニュージーランドから来たデイヴがすぐにまた参加するには経費がかかりすぎると言っている。だが、ジョージアはほとんど聞いていなかった。
 ただ、マッテオにこれ以上近づくのは、喜びであると同時に、怖くもあった。自分が危険な火遊びをしているとわかっていたからだ。まわりのほかの人々の手前、絡みあった視線を引きはがしはしたものの、すぐに大きなダメージを――この感覚をそう呼ぶなら――受けてしまったような気がした。
 マッテオも同じように感じたのか、ディナーのあいだも、じっとジョージアを見ていた。
 ダンスの時間になると、ジョージアはケイトの手をとってフロアに進み、ほの暗い照明の下で踊りはじめた。それはとりもなおさず、彼女なりのマッテオへの誘いだった。
 その証拠に、一、二分もしないうちにマッテオがやってきて、笑いながらケイトと替わった。
 大勢の人々に囲まれ、耳を覆いたくなるほどの音楽のなかにいたにもかかわらず、初めてマッテオの肌に触れたときは、そんなまわりの騒ぎさえ、触れあいの衝撃を弱めはしなかった。
 マッテオの指が彼女の指に絡まった瞬間、人々もざわめきも遠のき、体じゅうの細胞にその衝撃だけが突き刺さるようだった。
 頭の回路がショートしたようで、ちゃんと考えることさえできない。官能や情熱や言葉も――音や匂いや色さえも、ジョージアのまわりでぼやけていき、記憶に刻まれたひとつの感覚だけが、いま起こっていることを教えてくれる。これは欲望だと。
 彼女がかつてほしがり、求めることができ、いつも手の届くところにあったあらゆるものが、この男性との触れあいのなかにある。おなかの底に響く低い音が、ドラムのビートを刻んで、ジョージアをどこかへと……なにかへと追いたてていく。
 このまま、どこかへと……。マッテオが視線を合わせたまま、彼女をたくみにリードし、ダンスフロアの外の静かな場所へと連れ出した。
 そして顔を近づけて、ジョージアの唇にそっとキスをした。
 その瞬間、たとえ彼女の脳裏に警告の声が発せられていたとしても、かすかなささやき声にしかならなかっただろう。なぜなら、そのときふたりを包み込んでいたのは、耳を聾さんばかりの互いへの欲望の声だけだったのだから……。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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