マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

黒騎士と悲しみの乙女

黒騎士と悲しみの乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ミランダ・リー(Miranda Lee)
 オーストラリアの田舎町に、四人兄弟の末っ子として生まれ育つ。スポーツが大好きな子供で、本を読むよりは外で遊ぶほうが好きだったという。父は教師、母は才能あるドレスの縫製師という家庭に育ち、全寮制の学校を出てクラシック音楽の勉強をしたのち、シドニーに移った。幸せな結婚をして三人の娘に恵まれたが、家にいて家事をこなす合間に姉エマ・ダーシーのすすめでロマンス小説を書き始める。趣味は幅広く、長編の物語を読むことからパズルを解くこと、そして賭事にまで及ぶ。小説を書くときのアイデアは、普段読む新聞、雑誌、小説、伝記、テレビ、そして少なくとも週に一度は見に行く映画から得る。現実に自分のまわりにいる人たちを登場させることはなく、“いつ私をヒロインにしてくれるの?”という娘たちの問いかけに、“決してないわ”と答えつづけているという。

解説

“君を微笑ませ、幸せにしてあげたい”あれは私を弄ぶための方便だったの?

妹の結婚式だというのに、ケイトは祝福できずにいた。ずっと思い焦がれていた人を美人の妹に奪われ、あげく花嫁の付添人まで務めることになるなんて……。そんな彼女の深い悲しみを見抜いたかのように、花婿の付添人が青い瞳でこちらをじっと見つめてきた。ブレイク・ランドール──世界に名を知られた大富豪は、ケイトをダンスに誘い、笑わせ、体調や仕事の心配をし、あっという間に彼女の心を鷲づかみにしてしまう。無垢なケイトは気づきもしなかった。彼の本当の狙いさえも。

■セクシーさとユーモアを兼ね備えた大人のロマンスを、長年にわたって描き続ける大人気作家M・リー。今作は、読み終えたあとに不思議と元気になれるお勧めの一作。魅力的なヒロインに注目です!

抄録

「ラクランは女癖が悪い。女たらしというか。すぐに手を出す。結婚したって直らないだろう。数週間前もメイクアップ係とよろしくやっていた。きみの妹と婚約したずっとあとのことだ」
 ラクランには国立演劇学校にいたときからそういう評判があった。とはいえ、ショックなことに変わりはない。
「かわいそうなマディー」ケイトはそう言ってシャンパンを半分空けた。
「同感だ。本当にラクランを愛しているなら、前途多難だな」
 妙なことを言う。本当にラクランを愛しているなら、なんて。もちろん、本当に決まっている。ラクランは愛をかきたてる男性だ。ケイトも彼を見るたびに胸が締めつけられる。恋しくてたまらなくなる。だから、最近は見ないようにしていた。そのほうが楽だった。
 ただし、彼の映画は見に行く。マゾヒストもいいところだと自分でも思う。恋愛ものばかりで、必ず一回はセックスシーンがあるのだから。それでも見に行かずにいられない。
「だから動揺していたのか?」ブレイクがきいた。「妹が幸せになれるか心配で?」
 深い眼窩の奥にある青い瞳をケイトは見上げた。意外にも同情の色を帯びていた。血も涙もない男性かと思っていたのに。
「ええ」ケイトは嘘をついた。自分の幸せの心配しかしていなかったなんて言える?
 彼が手を伸ばし、ケイトの手首に軽く触れた。「人の結婚の心配をしたって意味がない。なるようになるさ」
 ケイトはどう考えればいいのかわからなかった。というより考えがまとまらない。ラクランもよくあんなまねができるものだ。彼の輝きが失せたのは確かだ。けれど愛は失せない。そんなに簡単に失せるものじゃない。
 ふいにケイトは眉根を寄せた。「なぜラクランの付添人になってあげたの? 彼のことをあまり好きじゃないようだけれど」
 ブレイクは肩をすくめた。「誤解しないでくれ。ラクランのことは嫌いじゃない。彼は悪い人間ではない。ただ意志が弱く、言い寄ってくる女性を拒めない。そんな女性はたくさんいる。しょっちゅうだ。花婿付添人の件は、彼に頼まれたから引き受けた。友情のあかしというより、これも仕事のうちだ。ぼくたちの次回作のいい宣伝になる。新年には封切られるはずだ。残念ながら、今年、何かの賞を取るには遅すぎるが、編集と配給をこれ以上早めるのは無理だった」
「それで、結婚式もここで開くようにあなたが段取りをつけたの? いっそう宣伝になるように?」
「いや。当時は考えていなかった。予定していた式場が焼け落ちたとき、まだ二週間ほどハワイで撮影をしなくてはならなかった。婚約者からのヒステリックな電話で主役のラクランの気が散るのはまずいと思い、ぼくが手配したまでだ。さて、そろそろ披露宴のテントに戻ったほうがよさそうだな。ぼくたちは同じテーブルだが、残念ながら隣同士にはなれそうにない。のちほどパーティやダンスがあるから、そのときにもっと話そう」
 彼はケイトの背中にしっかりと手を添え、テントの入口のほうへ促した。彼の手は……心地よくて、安心できる。それでいて、とても親密な気分にさせられる。
 ケイトは彼の青い目をこっそり見上げた。驚いたことに、その目が食い入るように見返してきた。よく男性がマディーのために取っておく、あの淫らなまなざしだ。
 ブレイク・ランドールをそんな気持ちにさせるのはうれしい半面、ひどく面食らった。全身が急に張りつめたのにも戸惑う。もしかしてわたしもブレイク・ランドールを求めているの? まさか。ただ、ショックなだけ。
 でも……。
 もう一度ケイトは彼に目をやった。今度は唇を見つめ、式の最中に思ったことをまた思う。あそこにキスをしたらどんな感じ?
 刺激的なのは確かだ。そして危ない。危なすぎる。キスだけで終わりそうにないから。
 愛と欲望は別物だと理屈ではわかっている。けれど、ケイトはどちらか一方だけを感じたことがなかった。だから、数少ないセックス経験はさんざんな結果に終わった。この四年間は誰ともつき合わず、誰ともベッドをともにしていない。ラクランをこれほど深く愛しているのに、ほかの男性とセックスなんかできるはずがない。
 それでも、ブレイク・ランドールの皮肉っぽくセクシーな口を見つめていると、愛はなくても彼とベッドをともにするのは楽しそうだと思えてくる。実行に移したりはしないけれど。わたしはそういう女じゃない。マディーとは違う。妹は十六歳のときから男性のベッドからベッドへ渡り歩いていた。
 それに、本当にブレイクとベッドに行きたいわけじゃない。ケイトは強く自分に言い聞かせた。彼に気に入られてうれしいだけ。これは欲望でさえない。単なる哀れな自尊心だ。興味を示してくれる誰かが欲しくてたまらないんでしょう? さあ、この男性を淫らな目で見るのはやめて、もっと視野を広げるのよ。
 彼の唇から視線をもぎ離したときはすでに遅かった。訳知りの笑みがそこに浮かんでいる。凝視していたのを気づかれていたのだ。
「最初のダンスはぼくとだ」彼はいたずらな光を瞳に宿して言った。「忘れないように」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。