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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

ナニーの秘密の想い人

ナニーの秘密の想い人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

わたしは秘書兼ナニー。ボスの妻でも、幼子の母でもない……。

両親に育児放棄されて育ったケイシーは、愛に溢れた家庭を夢見ていた。だが浮気者の元夫の手酷い裏切りのあと、失意の底から上がれずにいた。そんなとき気鋭の実業家アーロンの秘書の職を得るが、すぐに二人は激しく惹かれ合い、一夜だけという約束で結ばれる。8カ月後、ケイシーはアーロンから思いがけない依頼を受けて動揺する。行方不明の弟の幼い娘を預かることになったので、ナニーとして屋敷に同居してほしいというのだ。甘い夜の記憶が甦った……彼と一緒に暮らすなんて無理よ。それでも少しでも役に立つならと受け入れたケイシーだったが、やはりアーロンへの想いは日ごとに募るばかりで……。

■男性的魅力に溢れたボスに心を乱されながら、彼の姪のナニー役を命じられ、奮闘する秘書のヒロイン。温かい家庭に憧れを抱きつつ、一歩踏みだせない切ない心情をジョス・ウッドが描きます。

抄録

「ケイシー、きみはすばらしいよ。もう言ったかな?」
 久しぶりに外見をほめられたせいで、ケイシーはどう返せばいいかわからなかった。わからないときはシンプルに答えるのがいちばんだ。
「ありがとう」
 熱く見つめられて落ち着かず、ケイシーは胸元の大きく開いたオレンジ色のホルターネックのドレスを見下ろした。五センチのヒールをはいていてもアーロンの肩に追いつくのが精いっぱいだ。彼の男らしさに触れると、自分がとても女らしい気がした。これもなじみのない感覚だ。
「新年おめでとう」
 彼に言われ、ケイシーはもごもごと同じ言葉を返した。アーロンの手がヒップに触れたので、そこから熱が流れ込んでドレスの薄い生地を焦がすような気がした。
「踊ってくれないか?」
 彼の深みのある声に、ケイシーの肌が粟だった。アーロンは彼女の返事を待たなかった。片手をするりと腰にまわし、もう片方の手でケイシーの手を握って自分の胸へ押しあてた。こめかみに彼の唇があたり、屋外で踊っているのに新鮮な空気がなくなったような気がした。たくましくて温かい体だ、と彼女はその場で揺れながら思った。アーロンの足がケイシーの足の間にすっと入り、二人はテキサスの月光の下、誰もいないバルコニーを滑るように動いていった。
「とてもいい香りだ」アーロンが彼女の髪の上で言った。
 ケイシーはほほえんだ。「気に入ってくれてうれしいわ」
 アーロンは彼女の手を口元に運んだ。指先にやさしくキスされ、ケイシーの体に熱いものが走った。
「気に入っていることはたくさんある。履歴書や身元保証人について言っているわけじゃないのは、二人ともわかっていることだ」
 ケイシーが彼の顔を見上げると、そこにはいたずらっぽい表情が浮かんでいた。アーロンの目に欲望がひそんでいるのを、彼女は見てとった。そして、スラックスの中も変化しているのを。
 アーロンは人差し指で彼女の毛先を払った。「きみが到着してから、見た目通り感触もすばらしいのか、髪は想像よりやわらかいのか、そんなことばかり考えていた」彼は指の間で肩をおおうケイシーの髪をもてあそんだ。「やっぱりやわらかい。色もすばらしい……言葉では言い表せないよ。茶色だけど茶色じゃないし、赤だけど赤じゃない」
 担当の美容師によると、ケイシーの髪色は明るい鳶色だそうだが、ミッシェルはいつも赤毛と言っていた。親友が夫と浮気をしなければ、このセクシーな男性とテキサスの濃紺の冬空の下で踊ったことをこっそり彼女に打ち明けただろう。
 ミッシェルや彼女と元夫のこと、そして過去のことを考えちゃだめ!
 ケイシーはアーロンの胸に頬を寄せ、いっしょに揺れた。気分がよかった。リラックスして心地よく、興奮している。もうずっとこんな感覚とは無縁だった。
 アーロンは彼女の手を放し、両腕の中に抱き寄せた。ケイシーは高まったものがおなかにあたるのを感じ、全身がこわばった。
「ケイシー、力を抜いて。何もしないから」
 とんでもない、とケイシーは思った。新しい年の始まりに特別な奇跡が起きればいいと心底願っているのに。彼の唇を唇に感じたい。彼の大きくて温かい手が肌を滑るのを感じ、唇を胸に、おなかに、さらにもっと下に感じたい。彼女はため息をついた。
 一言で言うと彼がほしい。
「何かしてほしいと言ったら?」アーロンは大人の男性だ。わたしがほしくないなら断ればいい。でも彼のスラックスの中で起きていることを見れば、彼もまた同じことを考えているはずだ。
 こんなことはまずい。警戒心の強いケイシーの理性が訴えた。彼のもとで働きたいし、この町に引っ越してきて過去と距離を置きたかった。ボスと寝るのはいいこととは思えない。それに、心の傷はまだ癒えていないのだ。アーロンであれ誰であれ、ベッドをともにするのはまずい。向こう見ずなことをしたいという衝動を感じつつ、ケイシーの理性と感情がたたかった。
 アーロンといっしょにいると、捨てられた妻、親友にだまされたおめでたい女という自分を感じずにすんだ。彼の腕の中にいると、かつての自信たっぷりな自分を思い出せる。
 まだ裸でベッドにいるわけでもないのに。
 アーロンは少し体を離した。その顔に考え込むような表情が浮かび、探るように彼女を見た。「何が言いたいんだい、ケイシー?」
 具体的に言えというのだろうか? ふいに恥ずかしくなり、ケイシーはアーロンの胸を両手で押しやろうとしたが、彼は一センチも動かなかった。
「逃げないでくれ」深みのあるハスキーな声が、彼女の動揺をなだめた。「二人の関係をはっきりさせておきたいだけだ。きみにはぼくのもとで働いてほしい。互いに欲望を満たしたいからといって、秘書であるきみを失うのはいやなんだ」
 ケイシーはこの仕事を受けたかった。すでに提示されている給料があれば、ロイヤルの中心部で一目で気に入ったおとぎ話のようなコテージを借りられるし、大好きな靴や本も買える。貯金にも離婚の慰謝料にも手をつけずにすむ。仕事内容だっておもしろくてやりがいがありそうだ。それでも、アーロンの仕立ての完璧なスーツとまぶしいほど白いシャツの下にあるものを、どうしても見たい。
「それは分別のある考え方だけれど……」ケイシーは目を上げて彼の目を見つめた。ケイシー、勇気を出してチャンスをつかみなさい。新年を思いきった行動で始めるのよ。「でもこういう夜なら、分別はなくてもかまわないんじゃないかしら」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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