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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

微笑みを忘れた富豪

微笑みを忘れた富豪


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・ダグラス(Michelle Douglas)
 8歳のときに将来の夢を訊かれて、すでに「作家」と答えていた。チョコレートを隠し持つヒロイン、笑い方を知っているヒーロー、そしてハッピーエンドをこよなく愛する。全米読者選賞、ロマンティックタイムズの批評家選賞のほか、オーストラリアで“ロマンス界のアカデミー賞”と称されるRUBY賞にもノミネートされた、いま注目の作家。オーストラリア東海岸のニューキャッスル郊外に、夫とともに住んでいる。

解説

運命の男性のそばにいられる条件――それは、恋心は友情に隠すこと。

ハンサムなライアンと外国のビーチで過ごした夢のような1週間のあと、マリアンナは赤ちゃんができたことに気づいた。だが、再会した彼は高級スーツに身を包み、別人のように冷たかった。動揺と緊張のあまり、妊娠したと告げるのがやっとのマリアンナに、薄情な富豪はこう言い放ったのだ。「ぼくは欲しくなかった」もうここにはいられない。彼女は逃げるように家へ帰った。ところが翌日、ライアンはなぜかマリアンナを捜して会いに来たうえ、体調を気づかい、子どもをいっしょに育てたいと切り出した。胸をときめかせるマリアンナだったが、続く言葉が彼女の心をえぐった。「だが、きみと結婚はできない」

■子どものためにいい父親になりたいヒーローには、幼いころに離婚した両親から邪険にされて育った、悲しい過去がありました。かたくなに愛と結婚を拒む彼に、ヒロインの切なる思いは届くのでしょうか。読むにつれ、思わず主人公たちを応援したくなる一冊です。

抄録

「ぼくがここに来たのは、子どもをあきらめるつもりはないと伝えるためだ」
 心臓が早鐘を打ちはじめ、マリアンナはフォークとナイフを下ろした。「あなたには口を出す権利がないと言ったら?」昨日ライアンは、はっきり赤ん坊はいらないと言った。
 ライアンは青ざめた。「どうか、ぼくにも子どもの人生に関わらせてくれ。たしかに昨日の態度はひどかった。まるで別人に見えたと思う。だがきみも、ぼくが知っている女性とは別人だった」マリアンナの方へ身を乗り出す。「それに、親に疎まれる子どもの気持ちはよくわかるんだ」
 マリアンナはどきりとした。ライアンの瞳の奥に隠された苦悩を見て、胸が痛くなる。
「わが子にそんな悲しい思いはさせたくない」ライアンはマリアンナの手を取り、誠実そのものの目で見つめた。「きみがしてくれと言えば何でもする。ただ……」彼は喉を上下に動かした。
「ただ?」
「子どもと関わるなという言葉は承知できない。それから……」
「それから?」
「結婚もできない」
 マリアンナはつかまれた手をふりほどいてライアンをにらみつけた。「わたしは結婚してほしいわけじゃないわ。どれだけ時代遅れな女だと思っているの?」
「そう怒らないでくれ」ライアンもにらみ返した。「最初にはっきり伝えておいたほうがいいと思っただけだ。それに、きみのお兄さんたちは古風な考えの持ち主に見えたからね」
「あの二人は過保護なだけ。身ごもったからといって、結婚しろと言うほどばかじゃないわ」
「じゃあ、お兄さんたちに無理強いされたわけじゃないんだな?」
「どういうこと?」
「ひょっとしたらお兄さんたちは、産みたくないきみに中絶するなと言っているのか、あるいは子どもを産みたいのにあきらめろと言っているのかもしれないと思ったんだが」
「ニコもアンジェロもとても協力的だわ」たしかに妹には失望したかもしれないが、兄たちが精いっぱい支えてくれるのはまちがいない。マリアンナは唇を湿らせた。「そういうあなたは、わたしにどうしてほしいの?」
「ぼくには何も言う権利はない。妊娠と出産で一番大きな影響を受けるのはきみの人生であり、きみの体なんだから。しかし、どんな決断を下すとしても、ぼくは支えるつもりでいる。昨日の口ぶりでは赤ん坊を産むつもりのようだったが、あれから考えは変わったのか?」
 マリアンナは首を横にふった。予定外の妊娠ではあったが、いつかは子どもを持ちたいと思っていた。本来なら理想の男性に出会い、先に結婚するはずだった。それでも妊娠検査の結果が陽性だったとき、おなかの子を守りたいという強い思いがこみ上げてきて、とにかく産むという道しか考えられなかった。「産むわ。そして愛情を込めて育てる」
 ライアンはうなずいた。「ぼくは前にも言ったとおりの一匹狼で、結婚するつもりがない。しかし、子どもの父親にはなりたいと思っている」
 マリアンナはこめかみを揉んで目を伏せた。それからナイフとフォークを取って、ライスコロッケを再び一口食べた。
 困惑しているマリアンナに、ライアンは気づいた。「どうしたんだ?」
「結婚したくないのは別にかまわないわ。でも一匹狼は、子どもの周りにいて子育てを手伝ったりしないものよ。そんな人が、どうしてちゃんとした父親になれると思うの?」マリアンナはナイフとフォークを持ったまま両手を上げた。「いい父親になろうと思ったらいつでもそばにいて、子どものためなら他のことは放り出すくらいでなくちゃ」彼女はライアンをまっすぐに見つめた。「つまり、自分よりも子どもを優先しなくてはいけなくなるのよ。どれほど一人になりたかったり、自由が欲しくなったりしても」
 ライアンはごくりとつばをのみこんだ。
「子どもはこの世で最も大きな不自由で、一生縁が切れないものなの。あなたに縛られる覚悟はあるのかしら?」
 彼の顔から血の気が引いた。マリアンナを見つめ返す目は、荒れ狂う海のような色をしていた。
「さしあたっては、何をどうするつもり?」彼女は額をさすった。「わたしの心づもりはこうよ。住むのはここモンテ・カラネッティにするわ。わたしの仕事があり、愛する家族も助けを求められる友人もいる場所だから。それで、あなたは何をしてくれるの? 数カ月に一度、仕事の合間を縫って数日だけ訪ねてくるとか?」
「ぼくは――」
「それではとうてい“いい父親”ではないわ」
「きみの言うとおりだ。だが、ぼくには考える猶予が一日しかなかった。実はここに来る途中で、一つ思いついたことがあるんだ」
 ライアンの深みのある声にはためらいがにじんでいて、マリアンナは落ち着きを失った。「いいわ、聞かせて」
「ぼくがきみと赤ん坊のためにこの土地に家を買って、できるだけ訪ねるのはどうだろう?」
 何ですって? マリアンナは怒鳴らずにいられるように、フォークを握る手に力を込め、冷めかけたライスコロッケを頬張った。
「気に入らないのか?」
 マリアンナはうなずき、黙々と食べつづけた。
「しかし、家はきみのものになるし――」
 彼女はあらたなライスコロッケを口に押しこんだ。
「わかった。ぼくの提案のどこがまずいんだ?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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