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一夜だけの身代わり【ハーレクイン・セレクト版】

一夜だけの身代わり【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サンドラ・マートン(Sandra Marton)
 アメリカの作家。少女のころから書くことが大好きで、早くからラブストーリーを書いていた。ロマンス作家としてのデビューは一九八六年。その後次々と作品を発表している。

解説

夜明けの光の中でキャロラインは愕然とした。そこは昨夜初めて会った男性――ルーカスの豪邸のベッドの上。大学の同級生ダニーから仕事の代役を頼まれ、“ダニー”としてルーカスの通訳を務めた結果がこれだった。恥ずかしさのあまり、キャロラインは書き置きも残さずに立ち去る。一方、ルーカスは彼女に逃げられた翌日、仲介者から“ダニー”は高級娼婦だと聞かされ、仰天する。まさか、清楚で優美なあの女性が?甘美な一夜を忘れられず、彼女の家を訪ねると、ダニーと名乗って現れたのは、まったく別の女性だった!

■通訳という名目の、巨大企業社長の愛人のふりをする代役をしぶしぶ引き受けたヒロイン。気味の悪い仕事に胸が塞がる思いでしたが、なんと現れたのは若くハンサムな男性で……。野性味あふれるヒーロー像を描いて人気、S・マートンのセクシーな逸作!

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 何をばかげた想像をしているんだ? ルーカスは自らを戒めた。ぼくは大切な仕事でここに来ている。それに当分は女性とつき合う気になれない。エリンとの苦い経験が吹っ切れるまでは。
 にもかかわらず、ルーカスは視線を上げ、もう一度その女性の顔を見た。そして彼女が彼のほうを見つめていることに気づいた。
 二人の視線がからみ合う。下腹部が締めつけられ、ルーカスは足を踏みだした。そのとき彼女は目をそらし、その瞬間、そこにあった‘何か’は終わった。
 くそっ。ぼくには休息が必要だ。ロストフとの取り引きを終え、ほかの懸案を片づけたら、ハンプトンズにある別荘でひとり静かに週末を過ごそう。三、四日のんびり過ごせば、再び仕事や女性に向き合う英気が養われるだろう。
 大きな仕事は今夜で終わる。しかし、どうやって終わらせるつもりだ? 腕時計は八時五分を指している。もはや疑う余地はない。
 ダニー・シンクレアに頼ったのは間違いだった。ルーカスは髪をかきむしった。
 ロストフのスイートルームに電話をかけ、急病だと言い訳をしようか? いや、安易な決断はまずい。今夜こそ取り引きに片をつけたい。だったら、ディナーにつき合うしかない。イラーナ・ロストフに通訳をすべて任せ、腿を撫でられても黙殺する。ただし度が過ぎたら……。
「すみません」
 あまりにひどかったら、“もうたくさんだ。おまえのピラニア女房にしっかり首輪をつけておけ”とロストフに捨てぜりふを……。
「あの、すみません」
 ルーカスの腕に軽く手が置かれた。くそっ、こんなときになんだ?
「何か?」ルーカスは歯をむいて振り返り……猫のような目で彼を見あげるブロンド女性を見た。これだけ接近すると、女性のはしばみ色の瞳も、遠目で見るより美しい顔だちも、はっきりと見えた。
 相手を探しているのか? ニューヨークには自分から誘いかける積極的な女性が多い。あるいは高級コールガールか? ニューヨークにはそういう女性も多い。一流ホテルは全力を尽くして排除しようとするが、彼女たちはそれでもしぶとく居座っている。
 いずれにせよ、ルーカスは関心がない。積極的な女性は好きだが、今夜は大事な取り引きを控えて忙しい。だが、もしこの女性が高級コールガールであるなら……。
 忘れろ。金で女性を買ったことは一度もないし、今後もないだろう。
「あの……もしかして、あなたは――」
「いや、ぼくはけっこう」彼は冷ややかに遮った。
 彼女はたじろいでいる。なんてことだ。顔まで青ざめている。ルーカスは罪悪感で胸が痛んだ。彼女はプロではない。なのに、ぼくは冷たくあしらってしまった。
「いや、その、きみのような美しい女性に声をかけてもらうのは光栄だ。きみが酒か食事か、あるいはほかの何かを所望しているとしても――」
「ちょっと待って」女性は慌てて言った。
「ぼくはビジネスの相手とここで待ち合わせている。タイミングが悪かった。わかってくれたかい?」
 はしばみ色の瞳が冷たい光を放った。「あなたはうぬぼれが強いのね」
 ルーカスは眉を上げた。「おい、ぼくは――」
「わたしはお酒にも食事にも興味はないわ」彼女は背筋を伸ばし、毅然として言った。「それにあなたのような無礼で利己的な人より……スポンジボブと一緒にお酒を飲むほうがましよ」
 人気アニメの主人公のほうがましだと言われ、ルーカスは目をしばたたき、思わず笑った。「ありがとう」
「何が?」彼女は驚いて上体をのけぞらせた。「それに何がそんなにおかしいの? あなたは自分の性格を面と向かって指摘されるのが好きなの?」
「わからない。誰にも言われたことがないからな」
 彼女のほほ笑みは見るだけで虫歯になりそうなほど甘く、頬がゆるみそうなほど愛らしかった。
「お気の毒に」
「そのとおりだ。ぼくはきみに謝らなくてはいけない。いくら不機嫌だからといって、きみに八つ当たりする理由にはならない」
 彼女は謝罪を受け入れるかどうか考えていた。ルーカスは彼女に許されることが急に重要に思えた。
「仲直りしてくれるかな?」彼は手を差しだした。
 彼女はためらったすえに、唇に笑みを宿して手を握った。ルーカスの体に電流が走った。
「いいわ」
「よかった」ルーカスは笑みを返した。「だが、今は本当にタイミングが悪いんだ。ぼくの名刺を渡そう。明日、電話をくれ。いや、いっそのこときみの電話番号を教えてくれれば――」
 ブロンド女性はさっと手を放した。「だめよ。わたしはあなたを……その、誘おうとしたわけじゃないの。ここで待ち合わせをしているのよ。あなたと同じくビジネスの相手と」
 ルーカスの目が険しくなった。「男性か?」彼女がうなずく。「どんな男だ?」
「それが問題なのよ。わからないの。でも中年の男性だと思うわ。それにあまりハンサムじゃなさそう。それから……なぜそんな目でわたしを見るの?」
「その中年の不器量な男の名は?」
「あなたに関係ないわ」彼女は顎をつんと上げた。
「もしかして、ルーカス・ビエラか?」
 彼女はあんぐりと口を開けた。「そんな! 嘘でしょう」
「まさか……きみがダニー・シンクレアのはずはない」
 彼女は今にも卒倒しそうな顔をしていた。
「けれど、ダニー・シンクレアなのよ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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