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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

涙は隠して

涙は隠して


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ヒューイット(Kate Hewitt)
 アメリカ、ペンシルバニア州で育つ。大学で演劇を学び、劇場での仕事に就こうと移ったニューヨークで兄の幼なじみと出会い結婚した。その後、イギリスに渡り六年間を過ごす。雑誌に短編を書いたのがきっかけで執筆を始め、長編や連載小説も手がけている。読書、旅行、編みものが趣味。現在はコネチカット州に夫と三人の子供と住む。

解説

再会したのは、かつての継兄。私の初恋を傷だらけにした男性。

母の恋人に関係を迫られ、ローレルは高級ホテル内を走って逃げていた。間一髪駆けこんだペントハウスにいたのは……クリスティアーノ!ヨーロッパ各地にホテルを持つ億万長者の彼は、10年前までローレルの継兄で、彼女の淡い初恋の相手でもあった。クリスティアーノはローレルの破れた派手なドレスを無遠慮に見ている。そしてすがるような目をしたローレルに、冷酷にもこう言い放った。「ここにいさせてやる代わりに、君にはその体を差し出してもらう」彼は私の格好を見て、お金のためならなんでもする女と決めつけている。母に勧められた服を着て、恋人だという男性の部屋に行っただけで、本当の私はクリスティアーノを忘れられず、一度も男性経験がないのに。

■愛する男性に金目当てと侮辱され、看護師のヒロインはバージンだと言い出せないまま、彼とベッドをともにします。そして待っていたのは、妊娠がわかるまでの2週間限定の恋人という役割でした。惹かれ合えば惹かれ合うほど、短い関係の終わりは近づき……。

抄録

「父にばれたからといって、君のお母さんのしたことが許されるわけじゃないからな」
 ローレルは目をそらした。「正確には何がばれたの?」
「金を盗んでいたことだ」母親の悪行をかばう彼女にうんざりして、クリスティアーノはぴしゃりと言った。「彼女は父の金を盗み、ため込んでいた」
「それを盗みって言えるの? 二人は結婚していたのよ。母がお金を引き出していたのは、ロレンツォとの共同名義の口座だわ。つまり、母のお金でもあるでしょう」
「理屈の上ではね」クリスティアーノは吐き捨てるように言った。「だが法的には、君のお母さんの金だとは認められなかった」
「そうだとしても、結婚の誓いにあるでしょう。あなたのものは私のものって。それとも、結婚の誓いを信じていないの?」
 いよいよ腹が立ってきて、クリスティアーノはゆっくりと椅子の背にもたれた。エリザベス・フォレスターが父に働いた裏切り行為など、思い出したくもなかった。「彼女は父から金を盗んでいたんだ。その事実は変えられない」
「そんなふうに見えたかもしれないけれど、母にあなたが考えているようなつもりは――」
「エリザベスは複数の口座から金を抜き取っては、偽名で作ったオフショア口座に送金していたんだぞ」クリスティアーノはローレルをさえぎった。「なのに、君は彼女をかばうのか?」
「かばっているんじゃないわ。ただ――」
「では、なんのための金だったんだ? 父を捨てて、若い男に走るためか? 父と別れてからの彼女の行動を見ていると、どうやらそのようだな」
 ローレルの顔がまた青くなった。「ロレンツォと別れてからの母について、何を知っているの?」
「彼女が〈ラ・シレーナ〉に来たのは、今夜が初めてじゃない」クリスティアーノはエリザベスの私生活を嗅ぎまわっていたわけではないが、この十年間、取りすました権力者と腕を組んで、媚びた態度をとるエリザベスの姿なら何度も目にしていた。そのたび、クリスティアーノは吐き気がした。エリザベスは抜け目のなさと、衰えつつある美貌を利用して生きている。やはり十年前の自分の行為――父親にエリザベスの隠し口座を教えたことは正しかったのだ。
「私がここに来たのは今夜が初めてよ」ローレルは静かに言った。「それは知らなかった?」
 クリスティアーノはローレルを見つめ、彼女が何を言いたいのか見極めようとした。自分は母親とは違うと言いたいのか? それとも、母親よりは慎みがあると訴えたいのだろうか? 「じゃあ、好奇心からきくが、君はなぜここへ来た?」
 彼はローレルの返事を待った。きっと金がなくて困っていたなどの、お涙ちょうだいの話をでっち上げるのだろう。
 だが、彼女はただ唇をすぼめ、かぶりを振った。「どうだっていいでしょう」フォークをもてあそんでから皿を押しやる。「ごめんなさい。もう食べる気がしなくなったわ」
「食べたほうがいい」
「私……休ませてもらうわね。時間も遅いし、この数日間はとても大変だったから」ローレルは立ち上がり、動きをとめた。「ありがとう。服や食事、それに眠る場所を与えてくれて」
 クリスティアーノも立ち上がった。「部屋まで送ろう」
「必要ないわ」
「それでも送らせてくれ」
 ローレルは少しのあいだクリスティアーノを見つめていたが、何も言わず、向きを変えて歩き出した。クリスティアーノは彼女の後ろからついていった。彼の寝室の前まで来ると、ローレルは立ちどまり、振り向かずに背中を震わせた。「それで……私はどの部屋で眠ったらいいのかしら」
「こっちに客用寝室がある」クリスティアーノは廊下を挟んだ向かい側の部屋のドアを開けた。ちらりと彼に目をやったローレルは、たちまち後悔した。二人のあいだで官能の炎が燃え上がり、息が苦しくなる。クリスティアーノに手首をつかまれると、ローレルの脈は速まった。
「やめて、クリスティアーノ」ローレルはささやいた。
「何をやめるんだ?」
「私に触れるのをよ」
「君を誘惑するのもか?」彼は親指で、ローレルのシルクのTシャツに隠れた手首を撫でた。「言いたいのはそういうことか?」手首から手を離すと、今度は彼女のてのひらから肘へと撫でていく。ローレルは固まったまま、クリスティアーノの探るような愛撫に胸を高鳴らせていた。「君はなぜ僕たちのあいだにあるものを拒絶する?」
「私たちのあいだには何もないからだわ」
「だが、君の体は違うと言っているようだ」
「十年前は、不愉快な顔をして私をはねつけたじゃないの」
「あのとき、君はまだ子供だった。ほかにどうすればよかったというんだ?」
 ローレルは体の向きを変えて、クリスティアーノと向かい合った。そのせいで胸が彼の腕をかすめる。
「大事なのは、今の僕たちがお互いに対して抱いているものだろう。ベッラ、僕たちのあいだにあるものは本物だ。だったら、それを楽しむべきじゃないのか?」
 クリスティアーノはローレルのまなざしに迷いと疑い、そして欲望を見て取っていた。あとひと押しだ。
「怖がらなくてもいい」彼はささやいて頭を傾け、ローレルに唇を近づけた。「君は何を恐れているんだ?」二人の唇はあと少しで触れ合わんばかりだ。
「これよ」ローレルがそう言ったとき、クリスティアーノは唇で彼女の唇をふさいだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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