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心なき侯爵の花嫁 神々の悪戯 II

心なき侯爵の花嫁 神々の悪戯 II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル神々の悪戯
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アニー・バロウズ(Annie Burrows)
 つねに本を読んでいるか、頭の中で物語を創作しているような子供だった。大学では英文学と哲学を専攻し、卒業後の進路は決めかねていたところ、数学専攻のハンサムな男性と出会い、結婚する決心をしたという。長年、2人の子供の子育てを優先してきたが、彼女の頭の中にある物語に興味を持ってくれる人がいるかもしれないと思い、小説を書きはじめた。

解説

長年の密かな片思いが突然、愛なき結婚へと突き進み……。

父亡きあと住まいを追われ、老婦人の話し相手の職を得たクレアは、仕事へ向かう途中、地元の名士ロウクリフ侯爵とでくわした。幼いころから、会うたび彼にからかわれてきたが、このときは父のことを言われて腹を立て、思わず手を上げてしまった。すると、騒ぎを聞きつけて集まってきた人々の前で、侯爵が突然、彼女は婚約者だと宣言したうえ、唇を重ねてきた。なんて恥知らずなの!こんな横暴は許されないはず。なのに……。彼の唇の熱さを知り、長年ひた隠しにしてきた感情がかき立てられる。いったんはその場を収めたロウクリフはしかし、公衆の面前で侯爵を殴るような女など誰も雇わないと脅し、さらなる醜聞を避けるには自分と結婚するしかないと言い放った!

■絶大なる人気を誇るリージェンシー作家アニー・バロウズの3連作、米読者絶賛の〈神々の悪戯〉シリーズ第2話がHQヒストリカル・スペシャルの200号記念作を飾ります!続く最終話は、どこか陰のある脇役“アトラス”と壁の花ヒロインが主人公を務めます。

抄録

「君はもう馬車には乗らない」
「ばかなことを言わないで。もちろん乗るわよ」
「わかっていないな。君がまだ運命に逆らうというのなら、最終手段を使うことになる」
「最終手段? どんな手段か知らないけれど」クレアは彼に近づき、腰に手を当てた。「使いたければ使いなさいよ」
 ロウクリフが笑みを浮かべた。何もかもわかったかのような、意地の悪そうな笑みだ。そして両手で彼女の顔をつかむと、いきなりキスをした。
「ちょっと……」クレアは彼の胸に手を当てて、押しやろうとした。しかし彼はまったく気にもとめずに、彼女を腕で包み込み、キスを続けている。「やめて……」クレアは彼に抱きしめられたまま、必死でもがいた。だが、彼の腕はまるで鉄の棒のようで、無駄な抵抗だった。クレアはさらに、“彼に体を押しつけ、口を開いてキスを返したい”という愚かしい衝動とも戦っていた。
 なぜ侯爵に抵抗しなければならないのか、すっかり忘れかけた頃、彼はようやくキスの勢いを緩め、腕の力も緩めた。激しいキスから手慣れたキスへ、そして甘いキスへと変わり……ああ、なんて器用な口なのだろう。クレアの怒りを、脈打つような胸の痛みに変えるキスだ。体じゅうがうずき、全身が震え始める。こんな気持ちにさせられるなんて。どんどん自分が弱くなっていく。
 クレアの脚から力が抜けるのを知っていたかのように、ロウクリフは彼女を抱え上げ、暖炉の近くの椅子へと連れていった。そのまま椅子に座ったので、彼女は彼の膝の上にのる形になった。
 ロウクリフに抗って逃げ出すこともせず、クレアは彼の首元に顔を埋めた。逃げ出す理由はなかった。ずっとこうしたいと思っていたのだから。ロウクリフの腕に抱かれ、彼の視線を独占したいと願っていたのだから。
「さて」ロウクリフが頭の上で言った。「安全な牧師館でくつろいでいるべき君が、いったいなぜこんなさびれた場所で乗合馬車に乗ろうとしているのか、話してもらおう」
「牧師館はもう私の家ではないの。わかるはずでしょう」いきなり厳しい現実を思い出し、クレアは急に目がさめたように体を起こした。「父が死んでしまったんだもの」
「牧師館は君の家だ。たとえ……」ロウクリフは反論しようとしたクレアの唇に指を押し当てた。「牧師がいなくなってもだ。牧師を埋葬するなり、君が出ていく必要などない」
「でも牧師補が――」
「本来ならば、まず牧師補から僕に連絡があってしかるべきだったんだ。君を追い出して、自分が入り込む前にね。君がここにいる理由は、そういうことだろう?」
「ええ、そうよ。でも、牧師補はあなたに連絡したはずよ。少なくとも、連絡しようとはしていたわ。ただ、あなたから返事がなかったから――」ワトリング・マイナーの誰もが、ロウクリフ卿は領地のすべてを把握していると思っている。つまり、ロウクリフ卿から“ノー”という返事が来なければ、死んだ牧師の娘をどうしようと構わない、という意味になるのだ。
「僕が君を追い出して喜んでいると思ったのか?」ロウクリフは目を細めた。「コベット牧師と話をする必要があるな」
「違うわ。そうじゃないの」クレアは手を彼の胸に押し当てた。「コベット牧師は何も悪くないわ。ただ……私がいても意味がない気がしたの。それに、クレメントが親切にも……すべて手配してくれたし」
「あのクレメント・コッタムが? 親切にも?」
「ええ、本当に親切に、私の代わりに色々と骨を折ってくれたのよ。クレメントは何もする必要などなかったのに」ロウクリフが嘲笑うように一方の眉を吊り上げたので、クレアは言い足した。「だって本来なら、コンスタンティン兄さんがすべきことでしょう?」
 ロウクリフはふんと鼻を鳴らした。それが彼女の長兄に対する彼の気持ちだった。どうやらクレアも同じ気持ちなのか、特に異議は唱えなかった。
「それで、兄のクレメントはどんな親切を君にしてくれたんだい?」
「仕事を見つけてくれたの。お給金も悪くないのよ。私にぴったりの仕事なの」
「性懲りもなくまた、恩知らずで、怠惰で、偽善的で、聖人ぶった鼻持ちならない人間が住む家の家政婦にでもなるつもりか?」
「私の兄弟のことをそんなふうに言わないで」
 ロウクリフは口をつぐみ、彼女を見つめた。
 その瞬間、クレアはまだ彼の膝の上に座っていることに気づいた。しかも、いつの間にか彼の首に腕を回している。そして彼は慰めるように、彼女の背中を大きな手で撫でていた。おそらくそのせいだろう。いつもなら兄弟をかばうのに、今はロウクリフの言うとおりだと思わずにいられなかった。クレアは兄弟たちのためにずっと家事をしてきた。彼らが独立して家を出ると、今度は父親の介護をした。父親の死後、行き場のなくなったクレアは兄弟に助けを求めたが、彼らは言い訳をするばかりで手を差し伸べてはくれなかった。コンスタンティンは、まもなく三人目が生まれるから、お金のないクレアを家に置くことはできないと、手紙で返事をよこした。高望みをしすぎだと。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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