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シンデレラを演じる十日間

シンデレラを演じる十日間


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニファー・ヘイワード(Jennifer Hayward)
 悩めるティーンエイジャーだったころ、姉のハーレクインをくすねて読んだのが、ロマンス小説との出会いだった。19歳のとき、初めて書いた小説を投稿するも、あっけなく不採用に。そのとき母に言われた「あなたにはもっと人生経験が必要ね」という言葉に従い、広報の職に就いた。名だたる企業のCEOと共に世界中を旅して回った経験が、確かに今の仕事に役立っているという。2012年、ハーレクインの新人作家コンテストで入賞し、ついにデビューを飾った。カナダ、トロント在住。

解説

私に偽のシンデレラになれというの?でも、それで父を救えるのなら……。

カフェで働くキアラは、週末は実家のベーカリーを手伝い、母を亡くしてからすっかり元気を失った父を支えている。だが、その店の経営もしだいに傾き始め、彼女は悩んでいた。そんなとき願ってもない申し出が飛びこんできた。事情を知ったカフェの常連客である会社社長ラゼロが、重要な商談の場に婚約者として同行してくれれば、見返りとして店の融資に全面的に協力しようというのだ。彼の黒く輝く瞳に射ぬかれ、気づけばキアラは承諾していた。まさかラゼロを本当に愛してしまうことになるとも思わずに。

■『十八歳の恋は今』の関連作をお届けします。愛も結婚も興味がない富豪ラゼロ。ビジネス上必要になった“婚約者”のキアラとの距離が縮まるにつれ、彼の中に思いがけない変化が生まれて……。

抄録

「お母さんが恋しいんだな」
 涙が出そうで、目の奥がちくちくする。「毎日ね」この暗く底知れないむなしさは決して埋められない。
 ラゼロは彼女の指に指を絡めた。強く思いやるようなそのしぐさに、彼女の全身が温かくなった。「僕も十九歳のとき父を亡くしたから、どんな気持ちかはわかる」
 まさか。彼女は唇を噛んだ。「原因は?」
「父はアルコール依存症だった。飲みすぎで死んだんだ」淡々とした口ぶりだった。
「お母様はいまもご健在なの?」
「再婚してカリフォルニアに住んでいる」
「よく会うの?」
 彼は首を振った。「僕らの人生とは関係のない人だ」
「どうして?」
「それはいまの話題とは関係のない話だ」
 キアラはぞっとしてソファにもたれた。彼らの人生とは関係ないとはどういう意味? 心を閉ざしたラゼロの顔を見るかぎり、探りあてることはできそうにない。
 キアラは彼の手を解いて、飲み物を口に運んだ。「あなたについてほかに何を知っておくべきかしら?」この場の雰囲気を明るくするために尋ねる。「趣味とか好き嫌いは?」
 ラゼロは口もとをゆがめた。「デート番組向けの答えを期待しているのか?」
「そう思いたければどうぞ」
 ラゼロはワインを口に運び、グラスをまわした。「毎朝六時にジムでボクサーとトレーニングをする。それが趣味だな。あとは急に思いだしたように兄弟とバスケットボールをすることもある。高く評価するのは」目には遊び心が宿っている。「トスカーナのワインと、正直で高潔な人間だ。嫌いなのはサマラ・ジョーンズだな」
 キアラはにやりとした。「カフェでの私の話から察したようだけど、私にとっても高潔さは大切だわ。あなたと同じで、私も息抜きをする時間はあまりないの。カフェのシフトがないときは父の店を手伝ってるわ。私の人生はつくづく平凡なの」自虐的な笑みを見せる。「もっとも社交ダンスのリアリティ番組にはひそかに熱中している。現実逃避ね」
 ラゼロが眉をあげた。「君は踊るのか?」
「いいえ」彼女は顔をしかめた。「ひどいものよ。純粋に憧れているだけ。あなたは?」
「母がダンサーだったから、イエスだ。母は僕らにレッスンを受けさせた。ダンスはなくてはならない社交術だと思っていたのさ」
 たくましいディ・フィオーレ三兄弟がダンスを習っている様子は大いに笑える。ラゼロとのデートはどんな感じだろう。彼は女性をダンスに連れていくのだろうか。パリに行って豪華なディナーの席に出ることだってあるかもしれない。あるいは、彼にとって女性は際限なく続く社交行事に同伴する添えものにすぎないのだろうか。
 彼はロマンチストだろうか。それとも、すべて割り切ったうえでのつき合いとか? この取引とは関係ないものの、彼女は知りたかった。もしお互いに惹かれ合う気持ちのまま行動したら、どんなふうになっていただろう。
 現状を考えれば、当然尋ねてもいいはずだ。「では、あなたらしいデートってどんな感じなの? 私たちの場合、どんなふうにするか、それで感じがつかめるわ」
 ラゼロは考えこんだ顔つきで顎のひげをなでた。「最初のデートはイーストビレッジにある僕の行きつけの小さなイタリア料理店でのディナーだ。しゃれてはいないが、料理がうまくて雰囲気のいい店だ。そこなら必ずいい感じに進む。刺激的な会話と極上の料理は絶好のきっかけになるから」
 なんのきっかけに? キアラは胃がよじれそうだった。
「それで」ラゼロはキアラを明るくするつもりで話を続けている。「相手が僕と同じくらい盛りあがってきたら、五番街の僕のペントハウスに連れていく。彼女は充分に満たされるはずだ。僕の家の……どこかで」
 キアラの体は熱くなり、頬が赤くなった。
「そう」淡々と応じる。「目に見えるような想像をさせてくれてありがとう」
「君の好みのデートはどんな感じかな? 当然相手は貧しくて権力欲のない男だろう?」
「忙しすぎてデートなんてしないの」
 ラゼロは考えこむような目で彼女を見た。「最後にデートをしたのはいつだ?」
 キアラも彼を見返した。「そんなことを知る必要はないでしょう。この取引とは関係がないもの」
「そうだな。でも、知りたいんだ」
「だめよ」彼女はきっぱりと言った。
 ラゼロは愉快そうににんまりした。「下手になっているかもしれないぞ」
「下手って、何が?」
「キスだよ」けむるようなまなざしが彼女の口もとに落ちた。「一度試してみるべきかもしれない。僕らはキスがうまくできるかどうか」
 ふいに胃がきゅっと締めつけられ、なんとか落ち着いた。残念ながら、たしかにひどく下手になっているはずだ。だからといって、ラゼロとキスをするのはいい考えではない。とてもまずい考えだ。
「そうは思わないわ」
「なぜだ?」目が挑むように光った。「現実に惹かれ合ってしまうのが怖いのか?」
 彼のセクシーな唇に唇を奪われるかと思うと、胸の鼓動が速くなる。そんな考えは封じこめなくては。いますぐに。
 キアラはつんと顎をあげて彼を見た。「これはビジネス上の契約なのよ。私たちがキスをするとしたら、ビジネスのため以外にはありえないわ。わかってもらえたかしら?」
「とてもはっきりと。僕はいつも僕の大事な部分から目をそらさない女性が好みだから」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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