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プロヴァンス富豪の脅迫

プロヴァンス富豪の脅迫


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・スマート(Michelle Smart)
 イギリス人作家。ぬいぐるみより本を抱いて寝るのが好きだったというほど、生まれながらにして本の虫だった。まだ少女のころ読んだおとぎばなしに、ロマンスの片鱗を感じていたという。「本はいつも胸をときめかせてくれます。まるで初恋のように」と語る彼女は、自分の書くロマンスが、読者の心にもそんなときめきを届けてくれることを願っている。

解説

愛を知らずに婚約した日、私は婚約者の仇敵に恋をした。

フレイアは極貧の中、両親に応援されてバレリーナになった。でも今、不治の難病に苦しむ母の命は風前のともしびだ。彼女がバレエ団を所有する大富豪との結婚を受け入れたのは、高額な治療費を払ってもらう条件と引き換えだった。ところが、婚約者と敵対する大富豪バンジャマンによって、フレイアはさらわれ、大金を取り返すための人質にされてしまう。案の定、フレイアを愛していない婚約者はお金を払わなかった。すると、バンジャマンは婚約者と同じ契約結婚を彼女に申し出た。また私はお金で買われるの?初めて心を奪われた男性に?

■つねに挑戦を忘れず、意欲的に作品を発表しているミシェル・スマート。ヒロインは大富豪たちの争いに巻きこまれ、契約結婚から別の契約結婚へ追いやられるはめになります。ヒーローはヒロインを強欲な女と考えていますが、バージンと知ると態度を変えて……。

抄録

 フレイアは覚悟を決めた。壁をのぼらないかぎり、ここからは逃げられないわ。祈るように大きく深呼吸して、彼女は走り出した。
 林から一歩出て砂利の上に立ったとたん、何千ものスポットライトの光がわが身に降りそそいでいる気がした。
 ぐずぐずしている暇はない。フレイアは壁の適当なくぼみに指をかけてのぼり始めた。
 地上からまだ六十センチほどのところで、複数の叫び声が聞こえた。あわただしい足音が近づいてくるのを察して、フレイアは速度を上げた。もうすぐ壁のてっぺんに着くというとき、つかんだ石がぐらつき、根元からすっぽりとぬける。
 バランスを失ったフレイアは、恐怖の悲鳴をあげながら落ちていった。しかし背中が地面に激突する寸前、たくましい腕が伸びてきて、バレエのパートナーのようにしっかりと受けとめてくれた。
 フレイアは思わずバンジャマンの首にしがみついた。力強い腕が彼女の体の位置を変え、より強く抱きしめる。
 ぎゅっと目を閉じたまま、フレイアは必死に自分をとり戻そうとした。
 息ができないのは、落下のショックと思いがけない救出劇のせいらしい。一方で心臓は三倍の速度で打ち、手足はわなわなとふるえていた。
 それにしても、よく間に合ったものだ。彼は超人的なスピードで駆けよったに違いない。
「死にたいのか!」
 どなりつけられてはっとわれに返り、フレイアがまぶたを開けると、目の前数センチのところにバンジャマンの顔があった。グリーンの瞳は怒りに燃えている。
 その姿だけを見れば、花嫁を抱き上げて新居に入る新郎そっくりだが、こちらに向けるまなざしは獲物の喉笛に食らいつく寸前のライオンそっくりだった。
 フレイアにはわからない言葉を低くつぶやいたあと、バンジャマンはシャトーへ引き返した。「もう平気だから、下ろして」そう言ったとたん、フレイアは後悔した。息ができるということは、匂いもかげた。バンジャマンの首元に顔を寄せていると、爽快なコロンにまじる男らしい香りを意識せずにはいられなかった。
 彼がむっつりとした顔で首をふる。
 抱きかかえられたまま、フレイアはもがいた。「自分で歩けるわ」
 バンジャマンの腕に力がこもった。「また走り出して、命を危険にさらすつもりか?」
「そんなこと――」
「いったいなにを考えていた?」バンジャマンがくってかかり、砂利を踏みしめる音が響いた。「僕が受けとめなかったら――」
「あなたこそ、なにを期待していたの?」彼の筋肉質の体が押しつけられているせいで、フレイアはまた息が苦しくなった。心と同じように外側も冷たいなら、いっそ楽なのに。生身の男性でなくロボットや機械相手なら、抱きかかえられても私の体は熱くならなかったはずだ。
 唇がうずくのはなぜ? もっとバンジャマンの首筋に顔を寄せて……かみつくならともかく、キスをしたいのはどうして?
「話を聞いてくれると思ったら、まさか夜の城外に飛び出すとはな。このシャトーは、四方数キロを森に囲まれている。何日、へたをしたら何週間歩いても、人に会える見込みはないぞ」
「かまわないわ。いきなり人を誘拐して身代金を要求する行為を、理解してもらえると思うほうがおかしいもの」フレイアはぎゅっと目をつぶり、バンジャマンの首筋を見ないようにした。それ以外も無視できればいいのに。
 息が苦しいのは恐怖と怒りだけでなく、彼を意識しすぎているせいだ。
 シャトーの正面の扉が開いてピエールが顔を出した。バンジャマンに抱かれたフレイアが入ってきたとき、素足に目がいったのだろう、執事は眉根を寄せた。
 バンジャマンはため息を押しころしながら、入ってすぐの肘掛け椅子にフレイアを下ろし、本来ならとっくにベッドへ入っている執事に、湯を張ったボウルと救急箱を頼んだ。
「ついでに手錠ももってこさせたら? この恐ろしい場所につないでおきなさいよ」不機嫌なフレイアがあてこする。
「そうしたいのはやまやまだが、やめておくよ」ほかにも山ほど“したいこと”が頭に浮かぶのを抑えつけ、バンジャマンは答えた。
 腕に抱いたフレイアの心地よさときたら。初対面のときに受けたのと同じ衝撃が、じわじわと彼の全身には広がっていた。
 フレイアが誰かを忘れるな。ハビエルの婚約者だぞ。奪われた金をとり返し、裏切られた無念のかけらでもハビエルに味わわせたいなら、彼女を利用するほかない。
 かたわらにしゃがみこみ、バンジャマンはフレイアの左足を手にとった。彼女は足をばたつかせたが、バンジャマンは放さなかった。「君を傷つけるつもりはない」
「そのせりふ、もう聞きあきたわ」
「足の傷は、君が自分でこしらえたんだぞ。いいから、見せてくれ」
 ふっくらした唇をこわばらせ、まなざしを険しくして、フレイアが壁のほうを向く。彼女なりの許可なのだろうと解釈したバンジャマンは、左足の確認にとりかかった。裸足で林や草むらを走ったせいで泥まみれだが、目につく傷はなかった。細心の注意をこめてそっと床に下ろしてから、今度は右足をもち上げる。こちらは無傷とはいかなかった。なにかとがったものを踏みつけたらしく、足の裏の何箇所かに血がにじんでいた。
 ピエールが、指示されたものと清潔なタオルをかかえて入ってきた。
「水責めの拷問にでもかけるつもり?」フレイアがにらみつける。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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