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愛のソネット

愛のソネット


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫ヒストリカル
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ステファニー・ローレンス(Stephanie Laurens)
 セイロン(現スリランカ)生まれ。五歳のとき、一家でオーストラリアのメルボルンに移り住む。大学では生化学を専攻して博士号を取得、その後、夫とともにロンドンに渡り、四年を過ごしたのち、帰国。研究活動に従事しつつ、十代のころから愛読していた歴史ロマンス小説を書き始める。現在ではアメリカでも人気が沸騰し、ベストセラーリストの常連となっている。

解説

 放蕩の限りを尽くしてきたエヴァースリー公爵五世は、跡継ぎを作るはずの弟が急逝し、直ちに結婚する必要に迫られた。公爵夫人になる女性は、貞淑で家柄と容貌がよく、広大な屋敷や盛大な催しを切り盛りする能力がなければならない。唯一条件を満たしそうな女性に会うため、あるパーティに赴くと、彼女は冴えないドレスをまとい、やぼったく振る舞っている。だが彼には、意図的に魅力を隠しているように見えた。ドレスの下に隠された、本当の姿を自分だけのものにしたい──湧きあがる支配欲のままに、公爵は狙いを定めた。

抄録

 レノーアが声をあげて振り返り、大きく目を見開いた。反射的にふたりのあいだに机がくるように体の位置をずらし、無表情を取り繕おうとする。「暇つぶしに本をお探しですの、公爵?」ほっとしたことに声はしっかりしていた。
 ジェイソンはじっとレノーアを見つめ、首を振った。「あなたを捜していたんだ、レノーア。あなただけを」彼はゆっくりと机を回った。
 レノーアは即座に反対側へ移動した。「わたしを追いかけてもむだです」めまいがするほど激しくなっていく鼓動を無視して、彼女はドアを見た。遠すぎる。指先で机の縁をなぞり、机の角を曲がってから目を上げてジェイソンの顔を見た。彼の冷静さと執念を感じ、彼女の体におののきが走った。「次のエヴァースリー公爵夫人になりたい女性は数え切れないほどいるでしょう」
「そのとおり」ジェイソンはどんどんレノーアに近づいていった。
「では、なぜわたしなのです?」レノーアは振り返って言った。
「立派な理由が山ほどある」ジェイソンはうなった。「止まってくれたら、いくらでも説明しよう! 頼むから、レノーア! 止まるんだ!」
 二度目に机を回ったとき、レノーアはジェイソンと鉢合わせすることになった。ジェイソンがひらりと机を飛び越えて前に立ったのだ。悲鳴を押し殺し、彼女は両手で彼を突き放そうとした。彼はその手をつかみ、一歩前に出て彼女を机に押しつけた。彼女にのしかかり、身動きをとれなくする。
 ジェイソンは最初、この腹立たしい花嫁候補と、自分たちが結婚することがいちばん望ましいと思われる理由を冷静に理性的に話し合うつもりだった。しかし、こうして彼女を見下ろしているうちに、理性などどこかへ吹き飛んでしまった。
 レノーアはジェイソンの険しい顔を見上げ、もうまともに考えることもできなくなっていた。五感が千々に乱れている。ついさっきまで、彼女は危険な夢想に浸って脅威を感じていた。今、その脅威が真実のものとなったのだ。恐ろしい予感が彼女の体を突き抜けた。大きく目を見開き、彼女は震えた。呼吸するたびにブラウスの胸が上下する。
 ジェイソンの目はその光景に釘《くぎ》づけになった。何日ものあいだ自分の気持ちを抑えてきた彼には、もう我慢する力は残っていなかった。ゆっくりと、これから目にするものを恐れるように、彼は視線を上げていった。レノーアのほっそりした首のつけ根が、激しい鼓動に脈打っている。ふっくらした唇は少し開いていた。宝石のような緑の瞳には、処女のためらいとうぶな欲望が入りまじり渦巻いている。
 レノーアはジェイソンの葛藤《かっとう》を感じたものの、どうすることもできなかった。こわばった彼の両腕が彼女の腕に触れ、腿に押しつけられた彼の体ははっきりと彼の熱い思いを告げている。魅惑的な状況に彼女はもがくことさえできなかった。この瞬間、自分が逃げたいのかどうかさえわからない。ただうっとりと、自分を見据える目が灰色から銀色に変化し、さらには欲望にくすぶっていくのを見つめているだけだった。
 うめき声をあげると同時に、ジェイソンはむだな我慢をやめた。そして、レノーアの唇に唇を重ねた。
 それはやさしいキスではなかったが、すべてに未知のレノーアはわけもわからず、不穏な情熱の虜《とりこ》になった。自らの危険な空想ですでに半分狂っていた理性が、完全にさらわれてしまった。無知なりに、なんとか彼の要求を満たしたくて、彼女の唇は本能的に開いていった。
 ジェイソンははじめ、一度だけの短い挨拶《あいさつ》代わりのキスをするつもりだった。そして、自分の渇きを静めるのと同時に、そんなふうに熱いまなざしを男に投げかけてくるのは賢明でないことを、はっきり教えてやろうぐらいに思っていた。しかし、思いがけないレノーアの反応に、たちまち情熱の波にのまれてしまった。彼は一瞬の好機を逃さず彼女の柔らかな口へ侵入し、ゆっくりと容赦なく略奪すると、彼女を揺さぶり自らも舞い上がった。
 レノーアはおののいた。頭がくらくらした。ジェイソンの両腕がしっかりと彼女を抱きしめた。キス以上の誘惑だ。彼女は両手をおずおずと上げると彼の肩に置いた。上着の下の筋肉が反応するのがわかる。即座に指を広げ、彼の肩を強く握りしめた。彼の大きな体が急にこわばる。レノーアは自分が引き出した彼の反応にぞくぞくした。ためらいがちにキスを返すと熱いキスが返ってきて、全身の血が波打った。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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