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十七歳の純愛を王に

十七歳の純愛を王に


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アニー・ウエスト(Annie West)
 家族全員が本好きの家庭に生まれ育つ。家族はまた、彼女に旅の楽しさも教えてくれたが、旅行のときも本を忘れずに持参する少女だった。現在は彼女自身のヒーローである夫と二人の子とともにオーストラリア東部、シドニーの北に広がる景勝地、マッコーリー湖畔に暮らす。

解説

若き君主に憧れた17歳の少女は今、大人の女性となって王宮に帰ってきた。

父の死後、叔父夫婦のもとで家政婦扱いされてきたリナは、17歳で放蕩王への貢ぎ物として王宮に差し出されてしまった。だが王が急逝し、若き新国王サイードに帰宅を命ぜられる。「私にはもう帰る家はありません……」おずおずと告げたリナが文字も読めないと知ると、王は学ぶ機会を与えると宣言した。4年後、リナはスイスで必死に学び、希望に燃えて帰ってきた。サイードへの恩返しに、母国で教育の普及に尽くすつもりで。ところが、彼はすっかり大人に成長したリナを見て言った。「恩義に報いたければ、1週間私の愛人として過ごせ」

■若くピュアなヒロインを描かせたら右に出る者なし!編集者大絶賛のアニー・ウエストの逸作をお楽しみください。女性をめろめろにさせる魅力を持ちながら、なぜかヒロインだけは遠ざけようとする若き王に、思いがけぬ要求を突きつけられて……。

抄録

「何者だ?」サイードは奥歯を噛みしめて尋ねた。「そこで何をしている?」
 ベッドの向こうの暗がりで、人影が身を起こした。かなり小柄だ。全体の輪郭が、頭と肩にかけた柔らかな布でぼやけている。
 その人物は立ちあがるとすぐ、深々とお辞儀をした。
 サイードの五感がそろって警告を発していた。片隅に身をひそめていたこの人影に気づかなければ、どんな重大な結果を招いていただろう。背を向けてシャワーに入りかけたときに背後から襲われていたかもしれず、ぐっすり寝こんだところで心臓をひと突きされていたかもしれない。
 今は亡き伯父が敷いた厳重な警備体制を、あっさり解いたのが愚かだったのか? 伯父は危険なまでに妄想にとらわれ、やがて突飛な行動に出るようになったが、それだけ抜け目なく身を守ろうとしていたのか?
「出てこい!」
 その人影は即座に近づいてきた。
「殿下」柔らかなささやき声が愛撫するように肌を撫でた。相手はまた深々とお辞儀をした。今回、身を起こしたとき、頭からかけた布がはらりと落ちた。
 サイードは目を見開いた。
 踊り子が一人で、国王の居室に侵入したというのか? 彼は頭を左右に振った。あまりに疲れて、目がどうかしてしまったのか?
 この国の女性たちはこんな格好はしない。ハラクの女性たちの装いはつつましく、髪をおおわないことはあっても、肌をさらすようなことは決してない。
 この女はそれとは正反対だった。
 その姿を眺めていると、下腹部に熱気が広がった。女は長いスカートをはいているものの、素材はごく薄く、ほっそりした長い脚が透けて見える。彼女が動くと、前のスリットが割れ、蜂蜜色の腿があらわになった。
 サイードはその腹部に視線を移した。細く締まったウエストへの魅惑の曲線。短い丈のノースリーブのトップはきらきら光る素材で、肌にぴったり張りついている。胸元は大きく開き、胸のふくらみが誘うようにのぞいている。荒い呼吸に合わせて、ふくらみが上下していた。
 サイードは喉が詰まったような息苦しさを覚えながら、垂らした両手の指を曲げたり伸ばしたり、繰り返すことしかできなかった。
 相反する衝動がせめぎ合っていた。
 今すぐ服を着ろと命じるべきだ。
 だが、まず感じたのは、手を伸ばしてそのなまめかしい体に触れたくなる衝動のほうだった。
 そう。そっちのほうだ。
 彼女を腕に抱き、柔肌の感触を味わいつくしたい。何日も、いや、何週間も、不可能を可能にするべく働きつづけて疲れきった男には、それが何よりの癒やしとなるはずだ。大変な仕事だった。まずはジェイルートに侵攻しようとする伯父をなんとか思いとどまらせ、伯父を亡くしてからは、長年にわたって敵対関係にあった両国が恒久平和へ向かう道筋を切り開いたのだ。
 視線をさらに上げると、可憐な面差しが見えた。結っていない黒髪は、背中に垂れている。盛りあがった胸のふくらみが呼吸に合わせて揺れている。
 きっと温かい絹のようになめらかで、心地よい肌触りなのだろう。
 サイードは前国王の伯父同様、精力旺盛な男だった。ただ伯父と違うのは、欲求を抑えこむすべを心得ていることだ。心のままに欲望に溺れるとどうなるか、この目ではっきり見てきた。亡き伯父のように堕落するつもりは毛頭ない。サイードがめざすのは、この国の王子にして勇敢な戦士であった父のように高潔な人物だ。父は国民を守り、国民に尽くすために、その旺盛な精力を傾けた。
「こっちを見るんだ」やや語気が強すぎたようだが、欲望をコントロールするだけで精いっぱいで、そこまで気が回らなかった。
 女がうつむいた顔をぱっと上げた。
 そこでまたサイードはみぞおちに一撃を食らったような衝撃を覚えた。彼女の瞳は、これまで見たことがないものだった。山々に咲く野生の菫の色。青よりも深く、紫よりもやさしい。
 サイードは眉根を寄せた。彼女は目を見張るほど美しいだけではない。男の部屋に一人で入ってくるにはあまりに若すぎる。
「何者だ?」
「リナです、殿下」女がまた深々と頭を垂れた。そうすると、胸のふくらみが服からあふれそうになり、サイードの下腹部は痛いほど張りつめた。
「やめるんだ!」
 女は目をしばたたいた。一瞬その顔をよぎった表情を、サイードは読み取ることができなかった。その表情はすぐに消え、彼女はサイードの肩口あたりに視線を向けると、両手を体の前できつく握りしめて尋ねた。「何をやめろと仰せでしょうか、殿下?」
「お辞儀だ。二度とするな」
 彼女の眉間にしわが寄った。「ですが、殿下は国王ですから、それにふさわしい――」
「何がふさわしいかは私が判断する」サイードは言い、てのひらで首の後ろのこわばった筋肉をもんだ。
「はい、殿下」彼女はまだ承諾しかねるようすで眉根を寄せている。命じられてしかたなく口をつぐんだような顔つきだ。
「その呼び方もやめてくれ」伯父はこの国の支配者として、その地位を常に思い出させ、崇めたてられるのが好きだった。だがサイードは、何かとこびへつらい、機嫌を取ってくる大臣たちから、こう呼ばれるのにうんざりしていた。
 できるなら、這いつくばらんばかりに平身低頭するような人物とは話したくない。あまりの疲労に、気が短くなっているのに気づき、サイードは顔を手でぬぐった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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