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御曹司と秘密の契約〜不機嫌王子の抱き枕なんて困りますっ!〜

御曹司と秘密の契約〜不機嫌王子の抱き枕なんて困りますっ!〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

副社長の抱き枕になる簡単なお仕事です!?
不眠症のクールな御曹司×前向きポチャ系女子

「隣に来て、一緒に寝ろ。それが黙っている条件だ」副社長の弘章に、副業しているのがバレてしまったゆずは、不眠症で悩む彼にお持ち帰りされ『抱き枕』になることに!?抱き枕のはずなのに、甘く触れられて気持ちよくなっちゃう!!しかも会うたびに接触が濃厚に。どんどん弘章に惹かれるけど、副社長である彼との間にはやっぱり壁が……!?(ヴァニラ文庫ミエル)

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「これで黙っていていただけるんですよね?」
「ああ、約束だからな」
 その言葉にほっとしていると、弘章は枕元にあったリモコンをおもむろに操作した。すると、部屋の電気が消えて真っ暗になる。
「で、電気、消すんですか?」
「寝るんだから、当たり前だ」
「……え? きゃ、きゃあっ!」
 ごそっと身動きした気配がしたかと思うと、なにかがゆずの体に巻き付いた。真っ暗でなにも見えず、自分の身になにが起こっているのかわからないゆずは、軽くパニックになって手足をばたつかせる。
「取って喰ったりしないって何度言ったらわかる」
 間近で弘章の低い声が響いて、ゆずは驚きに身を硬くした。さっき電気が消える前は、こんなに近くにはいなかったはずだから。
「大人しくしててくれ」
「……ひゃ」
 ぐいっと引き寄せられ、体全体が温もりに包まれる。それでやっと、自分の体に巻き付いているのが弘章の腕で、抱き寄せられているのだと理解した。男性の部屋でふたりきりになるだけでも初めてのことで緊張したというのに、こんなふうに抱きしめられてしまうと、まるで全身が心臓になってしまったみたいに、体中がドキドキと拍動している。
「こ……っ、これは一体、どういう状況なのでしょうかっ?」
 ゆずは声をひっくり返したり詰まらせたりしながらも、やっとそれだけ口にする。もっと言うことがある気がしたが、頭の中が沸騰しているみたいに熱くてうまく考えられなかった。
「なあ、もう少し体の力を抜いてくれないか? 別にこういうの、初めてってわけでもないんだろ? ガチガチだと抱き心地が悪──」
「は、初めてです!」
 弘章の言葉を遮って悲鳴に近い声を上げると、「へえ」と彼は驚いた声を上げた。
「そうか、初めてか。初めてがこんなシチュエーションとは、運が悪いな」
 そう言って、なにがおかしいのか弘章はクツクツと笑った。
「でも、これもビジネスだと思って諦めろ」
「ビジネス……?」
「不眠なんだ」
 思ってもいなかった弘章の言葉に、ゆずは目を見開いた。確かに、この前会社で見かけた時も、なんだか顔色が優れない気がしたが……そのせいだったのかと改めて納得する。
「色々やってみたんだが、どうしてもぐっすり眠れない。ペットでも飼って自分以外の温もりがあれば眠れるんじゃないかと思ったんだが、忙しくてそれは現実的ではない。それでお前だ。これで眠れたら、副業で得ていた収入と同等……いや、それ以上に支払ってもいい。悪くない話だろう?」
「あの、でも、副社長ならば、こんなことをしなくても一緒に寝てくれる女性は山ほどいるのでは?」
 不機嫌そうな顔をしていなければ、かなり整った顔をしているのだから……と言いたいところだったが、さすがにそれは口にはしない。そんなゆずの言葉に、弘章は苦々しくため息をついた。吐息が耳をかすめ、ゆずはくすぐったいようなその感覚に思わずピクンと体を揺らした。
「この状態にまで持ち込む労力がもったいない。それに、下手に期待されて恋人気取りになられるのも面倒だ。その点お前なら、ビジネスとして割りきった関係になれるだろう? 俺は恋人が欲しいわけじゃなくて、快眠のための抱き枕が欲しいだけだ」
 ──なんて勝手な言い分だろう。
 そうは思ったが、こんな勝手なことをするほどに、眠れなくて辛いのは気の毒だなとゆずは思った。お人好しな性格が発動し、力になってあげてもいいかもしれない……という気持ちが湧いてくる。
「まあ、今夜こうしても眠れなかったら、お前は解放してやるよ。約束通り副業のことは黙っててやるから、見つからないようにバイトをするんだな」
「……わかりました」
「じゃあ、休め」
「はい。お休みなさい」
「うん」
 それからはもう互いに口を閉ざし、静かな空間に秒針が時を刻む音だけが響いた。その音は余計に大きく聞こえたが、ゆずはそれよりも、自分の鼓動の方が何倍もうるさかった。
 ──眠れないよ、こんなの……!
 薄いシャツ越しに、弘章の温もりとしなやかな筋肉を感じる。ゆずを包み込んでいるのは、嗅ぎ慣れない男の人の香りだ。ちらりと視線を上げれば、暗がりにやっと慣れてきた目に、弘章の整った顔が映る。
 ──睫、長い。本当に綺麗な顔立ち。
 思わず見とれていたが、薄目を開けた弘章と目が合ってしまい、慌てて視線を引きはがして目を閉じた。
 さっきから暴走しっぱなしの鼓動に、胸が苦しくなってくる。これだけの激しい鼓動だ。きっと密着している弘章にも、ゆずがどれだけドキドキしているのかはバレているだろう。それなのに、彼はまったく気に留める様子もない。
 ──そう、副社長にとって私はただの抱き枕!
 自分を落ち着けようと、私は抱き枕私は抱き枕……と心の中で呪文を唱える。それでもやはり鼓動はなかなか収まってきてくれなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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