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メイドという名の愛人【ハーレクイン・セレクト版】

メイドという名の愛人【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

キム・ローレンス(Kim Lawrence)
イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

解説

ゾーイは事故死した姉夫婦の双子を引き取り、とある大富豪の屋敷で住み込みの家政婦の職を得た。そんな折、親友の娘の手術にかかる治療費をなんとか集めたくて、主の留守中に屋敷でチャリティパーティを開くことに。そこに現れた彫りの深い顔の男性を見て、ゾーイはどきりとする。実際に会うのは初めてだけれど、あのハンサムな男性こそ、主のイサンドロ!イサンドロは留守中に勝手にパーティが開かれていて唖然とした。その中心人物は新しい家政婦で――ああ、彼女はなんと若く美しいのだろう。家政婦失格だが、彼女を愛人にしたい……。

■人気、実力ともにトップクラスに君臨する、スター作家キム・ローレンス。彼女が得意とする、ピュアなヒロインと傲慢なヒーローの織りなす波瀾の恋物語をご堪能ください。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「この建物を出る前に、止められると?」
ゾーイは意図的にドア口に立っていた。それでも、男性がその気になれば、簡単に脱出できるだろう――彼がその気になっているのかはわからないけれど。脱出を果たすことも、彼女をからかうことと同じくらい楽しんで実行しそうだったからだ。
ゾーイは両手を腰に当てると、“ふざけないで”と言いたげな角度で顎を上げた。“やってみなさいよ”と言いたかったが、それはやめておいた。彼は文字どおりの意味に受け取るかもしれない。そこで、静かにこう言った。「それはないわね。でも、その細密画を返していただけないかしら。とても高価なものなのよ」
「そうだな、かなりの掘り出し物だ」イサンドロが見つめているとブルーの目が見開かれ、羽毛のような眉のあいだに小さなしわが現れた。彼はちくりと罪の意識を感じた。彼女は明らかに恐怖に身をこわばらせている。当然の報いだとしても、女性を怖がらせるのは楽しくない。
「掘り出し物?」
彼女が当惑して繰り返した言葉に、イサンドロはうなずいた。「このレディは当時絶世の美女と考えられていた。だが、彼女には家業があった――裕福な工場主の娘だ。こっちのパーシーが彼女を家に迎え入れたが、結婚はかなりのスキャンダルを引き起こした」彼は立てかけてあるもう一枚の細密肖像画を眺めた。「老パーシーが新しい風を吹き込んだのは明らかになったが、その後の男性相続人が結婚したほかの裕福な女相続人は、必ずしもこのヘンリエッタほど美人じゃなかったと思う」イサンドロは絵をじっと見つめ、しばし芸術家の筆づかいと細かいところまで描ききる能力から喜びを味わった。「彼は実にうまく彼女をとらえている……。なんて官能的な唇だ。君もそう思わないか?個人的には階段にあるレノルズよりもすばらしいと思っている」
彼の目は手に持っている肖像画でなく、ゾーイの唇を見つめていた。彼の黒い瞳には人を催眠術にかけるような力がある。ゾーイは何も言わなかった。肋骨の内側で心臓が轟き、息をするのもやっとで、彼がこの屋敷と一族の歴史についてどうしてこんなに詳しいのかということまで頭がまわらなかった。
「二人は愛し合っていたんでしょう?」その声は遠くのほうから聞こえるようだった。
男性が大笑いした。喉の奥から響くような声がゾーイの肌を撫で、鳥肌を立たせた。「ロマンティックだな」
その楽しげな嘲りの口調に、ゾーイはむっとした。私は何をしているの?美術品泥棒かもしれない人を相手に、愛を論じているなんて。「いいえ、違うわ。そんなんじゃないから」彼女の顎が持ち上がる。「でも、もしそうだとしても、恥ずかしく思ったりしないわ。さあ、ミスター……私はいろいろと手いっぱいなの。よければ、あなたも――」
「恥じるというのは、とても個人的なことだ」男性はゾーイをさえぎり、考え込んだ。「パーシーは妻を恥じただろうか?君は愛と呼ぶが、僕は相互依存と呼ぶね」
ゾーイは唇を引き結んだ。「私はなんとも呼んでいないわ。ただ可能性を排除しなかっただけ」
彼はうなずいた。「まあ、彼女が金を持っていたのは間違いないし、彼には社会的な地位と、彼女を社交界に受け入れさせる力があった。もっとも、この唇を見れば、ほかの要因も考えられるな」
彼は黒曜石のまなざしをゾーイに向けた。
「とても官能的な唇だと思わないか?」
こういうのを自分のことは棚に上げると呼ぶんだわ。そう思いながら、彼の唇から目を引き離した。「官能的とか、そういうことには詳しくないから」
「君は慎み深いんだな」男性が冷やかすように片眉をつり上げる。濃いまつげに縁取られた目にじっと見つめられ、ゾーイの体が急に熱くなった。「とにかく僕は、我らがヘンリエッタは情熱的な女性だったと考えることにしよう……きっとパーシーは幸運な男だったのでは?今となってはわからないが。僕たちにわかるのは、成り上がりの女相続人はもういないということだ。一族は家宝も土地も売って、すっからかんなのだから。この二つの作品がもとの場所に戻ったところは、実にしっくりくる」
「それはとても興味深いわね。でも……」ゾーイは言葉を切った。顔から血の気が引いていく。彼の態度、アクセント、この家にいたところを見られてもきまり悪そうなそぶりも見せない……。もちろん、彼はこの屋敷の持ち主のようにふるまうだろう。なぜなら、本当に持ち主だから!
どこまで私は愚かなのだろう?でも、彼は予想していた姿とはまったく違っていた。頭の禿げた小男が高級なスーツで中年太りを隠していたのなら、すぐさま雇い主かもしれないと考えたはずだ。
ゾーイはぎゅっと目を閉じた。社交界を扱う雑誌を見せてくれた厩舎の女の子が、ゾーイの反応に戸惑った顔を返したのも不思議はない。ウェールズの少女が熱を込めて“彼ってすっごくかっこよくない?”と言ったとき、ゾーイは、私のタイプじゃないからと儀礼的に答えただけだった。彼はポロのトーナメントの優勝カップを掲げていた――渡すほうではなく、受け取るほうだったのだ!
ああ、どうしよう、彼が雑誌の男性だったのだ!


*この続きは製品版でお楽しみください。

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