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伯爵が遺した奇跡【ハーレクイン・セレクト版】

伯爵が遺した奇跡【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

レベッカ・ウインターズ(Rebecca Winters)
アメリカの作家。十七歳のときフランス語を学ぶためスイスの寄宿学校に入り、さまざまな国籍の少女たちと出会った。これが世界を知るきっかけとなる。帰国後大学で、多数の外国語や歴史を学び、フランス語と歴史の教師になった。ユタ州ソルトレイクシティに住み、四人の子供を育てながら執筆活動を開始。これまでに数々の賞を受けたベテラン作家である。

解説

サミは旅先のオーストリアで雪崩に巻き込まれた。暗闇の中、リックと名乗る男性と閉じ込められた彼女は、互いに励まし合い、残された命を燃やすようにして抱き合った。その後助け出されたサミは、彼が亡くなったことを知る。そして彼女のおなかには、新しい命が宿っていることも……。1年後。サミは幼い息子を連れ、イタリアのジェノヴァに降り立った。その地にいると聞いていた、リックの家族を訪ねるつもりだった。ところが現れたのは忘れもしない、愛を交わしたリック本人!彼が生きていたなんて……。感涙にむせぶ奇跡の再会も束の間、サミは彼の正体を知って愕然とする。なんですって、あなたが伯爵――?

■健気なヒロインの恋を描いて人気の大スター作家、レベッカ・ウインターズの異色作をお贈りします。恋におちる前に、絶体絶命の淵で情熱を交わしたふたり。そこに生まれたものは、愛、それとも……?涙なくしては読めない感動のシークレットベビー物語!

*本書は、ハーレクイン・イマージュから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

彼女が署長室を小走りに出ていったとき、目に涙があふれているのが垣間見えた。同じ声を持つアメリカ人女性が二人もいるだろうか。たぶん偶然の一致だろう。彼女に会ったことは一度もない。
あの事故のあと、リックは一緒に雪崩に巻きこまれた女性を何カ月も捜しつづけ、彼女がいつか自分に会いに来てくれるのではないかと期待していた。だが、夏になるころには彼女も亡くなったのだと思うようになった。
リックはしばし目を閉じ、さっき会った女性の震えるハスキーな声を思い返した。認めたくはないが、心の片隅では彼女の真剣さに気づいていた。淡い金色の髪に縁取られた美しい横顔はイタリア人女性とはまったく違って、いまいましいほど魅力的だった。
しかし、どんなに芝居が完璧だったとはいえ、嘘をついているか、少なくとも真実の一部を隠しているのは確かだ。秘密が何にせよ、必ず突きとめてみせる。
リックは勢いにまかせて警護責任者のカルロに連絡し、警察署を出た二十六歳の金髪のアメリカ人女性を尾行するように命じた。彼女の滞在先がわかれば、二人きりで話し合える。
とにかく、今は彼女を引きとめるべきではない。次に彼女と話すときは、誰にも邪魔されない、二人だけになれる場所でなければ。
用事が全部すむと、リックは署を出てリムジンに乗りこんだ。ほどなく、彼女が〈グランド・サヴォイア〉に泊まっていることがわかった。最高とまではいかないが、ジェノヴァでも指折りのホテルだ。宿泊料は年間を通して高いが、クリスマスシーズンはさらに高くなる。彼は運転手にそこへ行くように告げた。カルロによると、三階のエレベーターから右手に進み、左側の四つめの部屋だという。
やがてリックはリムジンを降りてホテルに入った。相手の不意をつくため、事前に電話もせずに三階まで階段を一段おきに上がった。部屋の前まで来ると、中に聞こえるように大きくノックした。
「シニョリーナ・アーガイル?デジェノーリだ。話がある」返答はない。そこで作戦を変えた。「なぜアルベルトを捜している?よければ力になりたい」
カルロの話では、彼女は部屋に入ったきり一歩も出ていないという。シャワー中かもしれない。少し待って、またノックした。
「シニョリーナ?」
数秒後、ドアチェーンが引きちぎれんばかりに大きくドアが開いた。狼狽を浮かべた緑の瞳がこちらを見あげているが、目の縁が赤い。どうやら泣いていたらしい。それほど彼女は思いつめていたのだ。
肩にかかるシャンパン色の髪が廊下の明かりにきらめく。さっき着ていた上着はもう脱いでいる。ひと目見ただけで、紺のスカートに裾をたくしこんだシルクの白いブラウスの下に豊かな曲線が隠れているのがわかった。彼女の顔と体のあらゆる部分に強く惹かれた。
「署長が尾行させていたとは知らなかったわ」
署でも気づいていたが、やはりふっくらとした官能的な唇だ。だが今、その唇は固く引き結ばれている。中に押し入られるとでも思っているのか、彼女はドアにしがみついて離れない。
リックは壁にもたれかかった。「署長は関係ない。僕が部下につけさせたんだ」
「部下ですって?」
「僕のボディガードのことだ。中に入れてくれるなら詳しく話すよ」
しかめっ面をすると、美しい顔がだいなしになった。「ごめんなさい。署でも言ったとおり、もう話すことはないし、別の予定もありますから」
「それは僕も同じだ」キプロス行きの飛行機にはもう間に合わない。「だが、まだ片づいていない問題がある」リックはぶっきらぼうに言った。くやしいが、彼女の言う別の予定というのが気になった。見ず知らずの女性にこれほど惹かれている自分が腹立たしい。なぜ彼女に興味を持つのかわからないが、声や話し方にやけに心をかき乱される。
彼女の口調は怒気をはらんでいた。「無駄足を踏ませて申しわけないとさっき言いましたけど、その言葉に嘘はありません。迷惑をかけた償いをしろと言うなら、ガソリン代として五十ドルをお支払いします。あいにく、それが精いっぱいです」
それが本当なら、ずいぶん贅沢なホテルを選んだものだ。「金が欲しいわけじゃない。実を言うと、君が警察署を出るときにあまりに動揺していたのが気になってね」リックは首をかしげた。「泣いていただろう?コレッティ署長はもういないから、安心して打ち明けてほしいんだ」
「そうしたいのはやまやまだけど、無意味だわ」彼女は手の甲で目をこすった。「人捜しはもうやめにします。では失礼」
彼女は大事なことを隠している。リックはドアを閉めさせまいとして片足を割りこませた。「質問にもう少し答えてくれるまでは……」そこまで言ったとき、赤ん坊の泣き声がした。ドアの向こうから聞こえてくる。そういうことだったのか!「ちょっと待て」彼は締め出されないようにドアに体重をかけた。「だれの赤ん坊だ?」
「私のよ」
「君とアルベルトの?」熱くなった頭の中で一つの答えが出た。父はこの女性と関係を持ち、彼女は二人の愛の結晶を父に見せるためにイタリアに来たに違いない。だが、もう手遅れだ。
「違うわ!」彼女が大声で言った。
「だったらそれを証明してくれ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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