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最後の放蕩者【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

最後の放蕩者【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

ニコラ・コーニック(Nicola Cornick)
イギリスのヨークシャー生まれ。詩人の祖父の影響を受け、幼いころ歴史小説を読みふけり、入学したロンドン大学でも歴史を専攻した。卒業後、いくつかの大学で管理者として働いたあと、本格的に執筆活動を始める。現在は、夫と二匹の猫と暮らしている。

解説

これまでの放蕩の罰なのか――手折った無垢な花に悩まされるとは。

次期公爵のジャックは“性悪女”を捜しに美術館へ出かけた。いとこをもてあそび、おじを強請ったその女は、商売女だというから、ひと目見ればそれとわかるだろう。美術館に着いた彼は、そこで官能的で優美な女性と出会い、心奪われた。だが別れ際、名を聞いて凍りつく。ミス・ボウズ――目的の性悪女か!翌日、彼は動揺を隠して、彼女が働くナイトクラブへ向かった。地味な服装で机に向かうミス・ボウズは、商売女には見えない。実際、強請ったのは彼女、サリーではなくその妹だとわかり、ジャックはねじ伏せていた欲望をとうとう解き放って誘惑を仕掛ける――まさか自分が、サリーにとって初めての男になるとも思わずに。

■放蕩者でならす次期公爵が、悪女とも聖女とも知れぬ女性と出会い、悩ましき恋に悶々とするさまが楽しめるロマンティック・ヒストリカルをお届けします。じつはかつてのつらい経験のせいで、自分は醜くて欠陥があると思い込んでいる切ないヒロインの運命は……?

*本書は、ハーレクイン・ヒストリカルから既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「わたしに怒っているんだろう?」ジャックはサリーの耳にささやいた。ジャックの息が彼女の髪を揺らした。
「そんなことが気になりますの?」サリーはきつい口調で言った。「あなたは他人にどう思われようとまったく気になさらない方のように見えますけれど、ミスター・ケストレル」
ジャックは笑い、おもしろそうに目を輝かせた。「まさにそのとおり」彼は言った。「わたしと勝負すれば、まだ一万ポンド取り返せる」
サリーはジャックをちらりと横目で見た。「わたしが先ほど申しあげたことを信じておられないのだとしたら、あなたはよほど鈍感な方ですね」サリーは彼のほうを向いた。廊下にはふたりきりで、ほかにだれもいなかった。「コニーのことで、わたしに仕返しなさりたいんでしょう?店を破産させて、つぶす。あなたの目的はわたしを破滅させることだわ」
「きみは誤解している」ジャックは片方の手を上げて、指の背で彼女のあごの線をなぞった。「わたしが欲しいのはきみだ、サリー・ボウズ。昨夜初めて会ったときからきみが欲しかった」
サリーは一瞬息ができなくなった。一歩後ろに下がると、汗ばんだ手のひらに漆喰の壁のなめらかでひんやりとした感触を感じた。人目があろうとなかろうとジャック・ケストレルがまったく気にしないのはわかっていた。国王の前で女性を誘うような男だ。廊下で彼女にキスをすることくらいなんでもないだろう。サリーはめまいがして、体がかっと熱くなった。
「こんなところで――」サリーは言いかけたが、ジャックは彼女に最後まで言う機会を与えなかった。顔を近づけてサリーにキスをし、彼女の下唇をそっと噛んだ。うずくような欲望が全身に広がり、サリーは彼の唇の下で唇を開いた。ジャックはサリーの唇を心ゆくまで味わい、彼女は雷に打たれたような衝撃を受けた。こんな経験をするのは生まれて初めてだった。
ふたり連れが廊下をこちらにやってきたので、ふたりはぱっと離れたが、彼らは好奇の目でサリーたちを見た。サリーは明かりから顔をそむけた。自分がどんな顔をしているのかわからなかったが、感情がすべて顔に表れているような気がして怖かった。心臓が激しく打っている。彼女は震えていた。ジャックは事務室でしたように、片手でサリーのあごをつかんで、顔を明かりのほうに向けさせた。キスをしたばかりのふっくらした下唇を親指でなぞられると、欲望が全身を駆け抜け、サリーは思わず声をあげそうになった。
「サリー……」ジャックの声はかすれていた。「どこに行けばいい?」
サリーはジャックがなにを言おうとしているのかに気づいて、はっとわれに返った。
「だめよ」彼女は言った。そして、かすかに眉を寄せた。
ジャック・ケストレルになにも感じていない、彼を求めていないふりをするのはもう無理だ。体は嘘をつけない。彼女は自分の気持ちに正直になろうとした。
「あなたは急ぎすぎているわ」サリーは言った。「わたしはこんな気持ちになるのに慣れていないの。あなたとこんなふうになるなんて信じられない……」
サリーはジャックの硬い表情が少しだけやわらいだのに気づいた。
「すまない」彼は言った。「つい熱くなってしまって――」
「そうね」サリーは鮮やかな濃いピンク色のドレスの腰のあたりを撫で下ろした。彼女の動きはぎこちなく、まだ手が震えていた。「ごめんなさい」彼女はささやいた。「失礼させていただくわ、ミスター・ケストレル」
ジャックはサリーの手首をつかんだ。「食事の約束を忘れないで」彼は言った。唇の端にちらりと笑みが浮かぶ。「わたしの賞金だ。きみはわたしから逃げることはできない」
サリーは永遠とも思えるほど長いあいだ、ジャックを見つめていた。「食事をごいっしょするだけよ」彼女は言った。
ジャックはお辞儀をした。「けっこう」
「少し待っていてちょうだい」
ジャックはうなずいた。「その顔で食堂に行ったら、大変なことになる」彼はからかうように目を輝かせて言った。やさしさと満足が入りまじった彼の表情を見て、サリーはどきりとした。「まるで……愛し合った直後のような顔をしている」
サリーはふたたび激しい欲望が全身を駆け抜けるのを感じた。彼女が自分を求めているのに気づいて、ジャックの黒い瞳が欲望に翳った。ジャックはふたたびサリーに手を伸ばしたが、彼女は身をよじってその手を振りほどき、廊下を急いで化粧室に向かった。さいわい、化粧室にはだれもいなかった。彼女はそっとドアを閉め、ドアにもたれて目を閉じ、乱れた呼吸を整えた。
いったいどうしてしまったのかしら?ジャック・ケストレルがわたしの貞節と生活そのものを脅かす危険があることを忘れるなんて。彼のキスがあまりにすばらしくて、つい応じてしまったというのは言い訳にならない。わたしはきっとどうかしていたんだわ。シャンパンは一滴も飲んでいないのに、理性がどこかに吹き飛んでしまったようだもの。
“彼がわたしを求めているのと同じくらい、わたしも彼を求めていた”
サリーは目を開けた。今でも、体にはジャックの手の感触が残っている。彼にキスをされたとき、信じられないことに体がとろけそうになり、全身が熱くなるのを抑えることができなかった。彼女は唇に手を当てた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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