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ふたたび、遥かな恋を レイクショア・クロニクル

ふたたび、遥かな恋を レイクショア・クロニクル


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: レイクショア・クロニクル
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 湖畔のホテルが閉鎖されたのを機に、少女の頃からそこで働くのが念願だったニーナは自ら支配人となって再開する契約を取りつけた。将来的にはオーナーになるつもりだ。ところが旅行で留守中に、その契約もろともホテルが他人に売り渡されてしまった。しかも買い手は、叶わなかった初恋の相手、グレッグだった! 当時若すぎたニーナに未来の可能性をほのめかしておきながら、別の道を歩いていってしまった男。いくら時を重ね魅力を増したといっても、夢を奪った彼の下で働くなど想像もつかず、彼女はただ途方に暮れるが……。

抄録

 月光が彼の後ろから照りつけて、頭のまわりに銀色の後光を作っている。「やっているって、何を?」
「とぼけているのね。あなたはわたしの保護者じゃないのよ。出かけるたびに起きて待っていてくれなくてもけっこうだわ」
「起きてきみを待ってなんかいない」彼が言った。「ぼくはただ……起きているだけだ」
「そしてたまたま、わたしがデート相手と帰ってきたときに、銃を掃除したり、ナイフを研いだり、何かを溶接したりしていたわけね」
 グレッグはくすくす笑った。「それは完全に計画したことだ」
 その告白に、ニーナはあっけに取られた。「完全に計画した」おうむ返しに言う。「つまり、わざと怖がらせたってこと?」
「もちろん、そうだ」
「わけがわからないわ」
 彼がふたりの距離を縮め、ニーナの腕を左右の手でそれぞれつかむと、ぐいと体を引き寄せた。この突然の動きに息を奪われ、ニーナは目を大きく開いてグレッグを見あげた。
 狂おしいほどの憧《あこが》れが体を満たし、ふいに、いままでずっとこの場面を思い描いてきたのだと気づいた――グレッグ・ベラミーの腕に抱かれる場面を。そうと気づいたせいで軽いショックを覚えているうちに、今度はキスをされたが、これもまたずっと思い描いてきたことだ。ただし、現実は、夢とは全然ちがった。はるかに心地よくて、その感覚にくらくらする。どこか遠くへ運ばれていくような感じだ。彼の触れかたが、とくにやさしいわけではない。なのに、これほど慈しまれている気がしたのは初めて。キスも荒々しくて、焦燥感と独占欲がにじんでいる。なのに、キスでこれほどぞくぞくしたのも初めて。おかげで、ほかの男性とのキスはすべて忘れ去った。
 こんなことは一度もなかった。男性の腕に抱かれて恍惚となるなんていままでにないことで、なんだか、未完成のパズルの欠けたピースを見つけたような気がする。ところが、じつにあっけなくそれは終わって、彼が手を離し、後ろに身を引いた。あまりにすばやくて、あの驚くようなキスは本当にあったのだろうかと疑ったほどだ。
「きみは賢い女性だ、ニーナ」グレッグは言い、小道を戻っていく。「自分で探り出してごらん」
 数秒ほど、唖然として言葉を失った。だが、ようやく声が出るようになり、ニーナは急いで彼のあとを追った。「ちょっと待ちなさいよ」声をかける。「あんなことをしておいて、さっさと立ち去るなんて許されないわ」
「そのとおり」グレッグは足どりをゆるめもせずに言った。「原始人みたいにきみを肩から吊りさげて、階上に連れていき、力ずくで奪うことなら許されるんだろうけどね」
 彼の言葉のすべてに、否定しようのない圧倒的な魅力を感じた。身震いして、ニーナは言った。「なんて道徳的に正しい人なのかしら」
「ぼくが道徳的な正しさを気にかけると思っているのか?」答えを欲しているようには見えない。怒気をはらんだ笑い声をあげて、グレッグは歩きつづけた。
「あなたが何を気にかけているかなんて、わかるわけないでしょう、グレッグ。わたしを買いかぶりすぎているわ」ニーナは言った。「たぶん、人の心が読めるとでも思ってるんでしょうけど、わたしにあなたのことなんかわかるもんですか」彼女はひどく怒っていた……でも、何に? これは憤り? それとも、くじかれた願望? そうしようと思えば、グレッグを責めることはできる。彼が一度ならず、自分の夜をぶち壊したのだと言ってやれる。だが悲しいかな、事実は、グレッグとの避けられそうにない不条理な遭遇を果たすはるか前から、デートはぶち壊しになっていた。グレッグのせいではなく、ニーナのせいで。彼女には、まず相手に惹かれてその関係を深めていくということができない。男性を相手にそれができたためしがないのだ。一度たりと。それはグレッグの責任ではない。彼はただ、ニーナの目の前に鏡をかざして見せただけ。ただキスをして、強引に気づかせただけ。男を愛することのなんたるかを露ほどもわかっていない、ということを。
 グレッグの腕をつかんだとき、その筋肉が緊張で硬くなるのが感じられた。
「お願いだから教えてちょうだい、いまここで何が起こっていると思うのか。あなたは何が起こってほしいのか」
 彼が深呼吸し、その目に怒りがきらめいた。「いいかい、もしぼくたちがそれをしたら――ぼくがひどく望んでいるとおりに夜が進んだら、ぼくたちの関係は変わる。何もかも一変するんだ。ぼくはきみのことを知らない。だけど変化をおそれてはいないよ」
 その率直さとひたむきさのおかげで、ニーナはほぼ正気を取り戻した。キスによってまだ体は燃えている。だが、彼は選択の余地を与えてくれた。いままでどおりの関係を保つか、何もかも変えるか決めろ――まさにいま、ここで、と。グレッグは“イエス”と言う機会をくれて、ニーナもそれを望んでいる。彼は知らないが、ほぼ出会った瞬間から望んできたのだ。何年も前から。おそらく彼が覚えてもいない瞬間から。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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