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すてきな暴君【ハーレクイン・セレクト版】

すてきな暴君【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 サラ・クレイヴン(Sara Craven)
 イングランド南西部サウス・デボン生まれ。海辺の家で本に囲まれて育った。グラマースクール卒業後は、地元のジャーナリストとして、フラワーショーから殺人事件まで、あらゆる分野の記事を手がける。ロマンス小説を書き始めたのは一九七五年から。執筆のほかには、映画、音楽、料理、おいしいレストランの食べ歩きなどに情熱を傾けている。サマセット在住。

解説

ひと月ぶりに愛する我が家へ戻ってきたジュリアは愕然とした。留守中に父が破産し、屋敷を売り払うことになっていたのだ。買い手は悪名高いギリシア人富豪、アレックス・コンスタンティス。アレックスと顔を合わせた瞬間、ジュリアは驚きを隠せなかった。さっき私が不法侵入者と間違えた礼儀知らずな人だわ!アレックスはあろうことかジュリアを気に入り、誘惑したばかりか、ぼくのものになれば屋敷を手放さずにすむと言って求婚してきた。尊大な物言いと冷たい微笑に、不本意にも感じたかすかな胸のときめき。ジュリアはそれを無視して、彼の申し出を受けた。これはすべて家のため――そう自分に言い聞かせながら。

■2017年に惜しまれつつ亡くなったサラ・クレイヴンが、ドラマチックかつ流麗な筆致で綴る、激愛ロマンス!傲慢すぎるギリシア富豪に狙われた、困窮するうぶな乙女の強制結婚の結末は?
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

その夜――それまでにはなかったことだが――ジュリアは、母と一緒に進んでホステス役を務める気になっていた。そうすればいやおうなく絶えず動き回っていなくてはならないからだ。ジュリアはアレックスにつきまとわれ、トリシアの言ったことについて痛烈な言葉を浴びせられるのではないかと、期待と恐れの入りまじった気持でいた。しかし決して近づいてこなかったところを見ると、彼もやはりあのやり取りで当惑していたのかもしれない。
アレックスにはほとんどいつもフィリップ卿がつき添い、人のあふれた部屋をまわって説明や紹介を続けていた。アンバーミア売却のニュースを知った知人たちは驚き、動転していることをなんとか隠そうとする心遣いを見せてくれた。
真夜中が近づいてきた。いつもどおり初代のケンドリック准男爵夫人に乾杯することになっているのを知り、ジュリアは困惑した。
「まあ、いやだわ。そんな場面にはいられないわ」彼女はそっとつぶやくと、少し開いていたフランス窓から抜け出してテラスへ出た。
風はなかったが、ひんやりとした夜気がむき出しの肩と腕に快く感じられた。あたりに立ちこめた花の香りに包まれながら、この屋敷で過ごす洗礼者ヨハネの祝日はこれが最後になるのだとはっきり思い知らされた。
ジュリアは手すりにもたれて、星明かりの中で何も見えない庭に目を凝らした。アレックスがこの館を購入したらどのように改装するかと考えると胸が痛む。たぶん南側の芝生を掘り返し、プールとヘリコプターの発着所にしてしまうだろう。けれどもいつまでもこの辺にとどまってそんな冒涜的行為を見届ける気はなかった。
客間から笑い声や喝采が聞こえ、慣例となっている父のユーモラスなスピーチに続いて「ジュリアに乾杯」という大声が聞こえてきた。その場に居合わせた人の中でこうして祝杯を挙げるのもこれが最後になると知っている人は何人いるだろう。ジュリア・ケンドリックの時代は――彼女はスキャンダラスな妻であり、向こう見ずな愛人であり、町の人気者であったが――幕を閉じてしまったのだ。
急にわけもなく涙がこみ上げてくるのを感じて、ジュリアは“ジュリアに乾杯”と胸の中でつぶやいた。すると驚いたことに、いくらも離れていない場所からその同じ言葉が響いてきた。
ジュリアはさっと振り返った。「まあ!」
「やあ」アレックスが声をかけた。「あなたにおやすみを言おうと思ってね、デスピニス」
「もうお帰りになるの?」彼女はのどからしぼり出すように言った。
アレックスは微笑した。「そう願っているわけだね?」彼は首を横に振った。「がっかりさせて申し訳ないが、戻ってきますよ、今日のうちに」
「ここをお買いになるつもり?」
「たぶん。あなたはこの屋敷に関してぼくの興味を再びそそってくれたので」
「わたしが?」
「そのとおり。あなたがそれほどまでに情熱を注ぎこめるぐらいだから、アンバーミアはめったにないものに違いない」アレックスはちょっと間を置いた。「こんな事情でなければ、あなたはお望みのご主人を見つけていたんでしょうね――自分の名前や相続権など振り捨てて、あなたの気まぐれに服従する取るに足りない男性を」
「気まぐれなんかじゃないわ」ジュリアはかすれた声で否定した。「あなたにわかるものですか」
「ぼくにはその名を持つ資格がないと思っているんですね?」黒い瞳が輝いた。「もっとも、そう言ったのは何もあなたが初めてというわけではないが――ぼくに面と向かって言う人は珍しいですがね」
「みんなあなたをとても恐れているからでしょう?」ジュリアの声は甲高く、少し息切れしていた。「アンバーミアをご自分のものにすれば、あなたは最悪のことをしたことになるわ。それにもしそうしても、それ以後わたしを思いのままにすることなどできやしないわ」
「そう思う?」
アレックスはゆっくりとにじり寄ってきてジュリアを後退させると、背中を手すりに押しつけて、それ以上引き下がれないようにした。
「しかし、それは間違っている。なぜならぼくはアンバーミアを自分のものにするときには、君も手に入れるつもりでいるからだ」
ジュリアの肩にアレックスの手が下りてきた。特に力がこめられていたわけではなかったが、ジュリアは彼の指のあとがむき出しの肌にあざのように残ったのではないかと思った。
ジュリアは“やめて!”と叫ぼうとしたが、アレックスがかがみこんできて唇を重ね、その言葉を封じこめた。抵抗し、執拗に求められても口を閉じていようとしたが、それも勝ち目のない戦いだった。彼女は心の奥のほうでそう認めていた。その夜客間に足を踏み入れたときから、こうなることがわかっていたような気がした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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