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放蕩貴族と恋迷路

放蕩貴族と恋迷路


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

堅物美女と型破りな公爵家の息子――正反対な二人の恋の行く末は!?面白さお墨付きのキャンディス・キャンプ、最新刊!

白い薔薇で飾られたその舞踏会場で結婚式後の祝宴が開かれ、ライラは花嫁である幸せそうな親友の姿を壁際から眺めていた。親友が嫁いだのは社交界でも有名なモアランド公爵家。その変わり者揃いの公爵家の面々と、ライラもすっかり仲良くなっていた――ただ一人、コンスタンティンをのぞいて。末男の彼は調子がよく世慣れていて、堅物なライラと正反対。顔を合わせればついいがみ合ってしまうのだ。そのとき「踊ってもらえますか?」と声をかけられライラは振り向いた。そこにはコンスタンティンが目を煌めかせて立っていて……。

抄録

「あなたのコレクションに新たな女性をつけ加えたかったからでもない?」
「僕のコレクション!」コンは目を丸くしてライラを見た。「君は僕を何だと思ってるんだ?コレクションなんてない。僕は若い淑女を誘惑して回る遊び人じゃないんだ。ライラ、まったくもう、君は疑り深い人だな」
「疑ってもおかしくないでしょう」ライラは言い返した。「だって、あなたは私を堅物で、気取り屋で、お行儀がいいと思ってるんだから」
「他人に厳しい、を忘れてるよ」
「あら、まあ、ごめんなさい。しかも、他人に厳しいのよね」ライラは腕組みをしてコンをにらみつけた。「それなら、どうしてそんな女とダンスを踊りたがったの?」
「知りたいなら言うけど、それは君がライラック色のストッキングをはいていたからだ」
「何ですって?」ライラはコンを凝視した。
コンは肩をすくめてそっぽを向き、今度は景色のほうに視線を向けた。「きかれたから答えたんだけど」
「でも、どうして……どうやって……」
「君に言葉を失わせることができるとわかって嬉しいよ」
「ありえない。私がはいていたストッキングの色が、どうしてあなたにわかるの?私でさえ覚えていないのに」
「君より僕のほうが強い印象を受けたからだろうね」コンはライラに視線を向けた。「君が入ってきたとき、僕は階段の下に立っていた。君は恐ろしく堅苦しくて、きちんとしていた。乙女らしい純白のドレスを着て、首まできっちり覆い、編んで巻いた髪を家庭教師みたいにひっつめていて、隣にはお目付役が張りついていた。僕は思ったんだ。あそこに美人がいる、でもひどく退屈そうな人だ、って」
「何てお優しいの」ライラはそっけなく言った。
「そのあと君は階段を上ったんだが、スカートを踏まないよう持ち上げていて、足首が見えた。鮮やかなライラック色のストッキングをはいていた。それで僕は、君には見た目以上の何かがあると思ったんだ」コンは言葉を切って考え込んだ。「それに、足首もすてきだった」
ライラは唖然としてコンを見つめたあと、笑いだした。コンの理屈はあまりに奇妙で、あまりにコンらしかった。褒められている気もするし、貶されている気もするし、ただ馬鹿げている気もする。そのため、ライラは屈辱も怒りも感じず、当惑し、笑うしかなかった。
「君はもっとそういう顔をしたほうがいい」コンは言った。
「何のこと?」
「笑った顔だ。君は笑うと美しい」
「もう」ライラは暗闇が赤面を隠してくれることを願った。そうでないと、きっとコンは顔を合わせるたびにこのことをからかってくるだろう。
とはいえ、結婚式が終わった以上、コンと会うことはなくなる。コンスタンティン・モアランドは、ライラがおばと出席するようなパーティに頻繁に顔を出すタイプではない。もっと刺激の強い娯楽を好む人だ。二人が同じ催しに参加したときも、コンは全力でライラを避けていた。ライラの生活は元の形に戻るだろう。これから何週間も、人の家を訪ねたり、おばの客間で人をもてなしたりすることを考えて、ライラはため息をついた。
「どうした?」コンはたずねた。ライラが不思議そうにコンを見ると、彼は説明した。「今、ため息をついたじゃないか。何かあったのか?」
「えっ?あら。自分では気づいていなかったわ」すでにピンク色だったライラの頬は真っ赤になった。「ええと、ただ、結婚式は終わったから、これからは元の生活に戻るんだわと思っていただけよ」
「ああ、確かに今までよりは退屈になるだろうね」
「そんなことは言ってないわ」ライラは反論した。「今までより静かになるだけよ。穏やかに。でも、それはよいことだわ。休めるし、ゆっくりできるし、それに……」
「ハンカチに刺繍ができる?」コンは提案し、眉を上げた。
ライラはコンをにらみつけた。「あなたには退屈している暇なんてないんでしょうね。幽霊を追いかけたり、ストーンヘンジの意味を研究したりしに行くんでしょうから」
「暇つぶしに、冒険の一つ二つできればいいとは思ってる」コンはライラに笑いかけた。「ほら、そんなむっつりした顔をしないでくれ」ライラの眉間に寄ったしわを指で伸ばしたあと、ピンからほつれた髪筋をそっとすくい上げるように、頬に向かって指を動かした。
ライラはそわそわと、ほつれた巻き毛をピンで留めようとしたが、コンが手を伸ばしてそれを止めた。「いや、直さないでくれよ。その感じがかわいい」
「その感じって……乱れてるのが?」コンに触れられて急に湧き出した熱と戦おうと、ライラは努めてきつい声を出した。
「君はどこも乱れてなんかいないよ」コンは親指で物憂げにライラの頬骨をなぞった。コンの顔は今もほほ笑んでいたが、その笑みはさっきとは違い、面白がるふうではなく、熱く誘うようだった。目には、アレックスがサブリナを見つめるときによく似た表情が浮かんでいる。陰を帯び、少しもやがかかっているような。
ライラは息ができなくなり、頭の中で思考がぐるぐる回った。あのシャンパンを飲んだのは、明らかに間違いだった。コンの顔が近づいてくる。ライラは顔を上に向けた。
舞踏室で男性の笑い声が弾け、三人の男性がお喋りをしながらテラスに出てきた。ライラは凍りついた。私、何をしてるの?コンはライラにキスをしようとしていた。そして、ライラはそれを許そうとしていたのだ。それどころか、自分もキスを返すところだった。「ご……ごめんなさい……こんなことって……さようなら」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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