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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

天使の情熱

天使の情熱


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ケイシー・マイケルズ(Kasey Michaels)
 ニューヨークタイムズのベストセラーリストに二十以上の執筆作品が載った実力派作家。夫とのあいだに四人の子供がいる彼女は、アメリカロマンス作家協会やロマンティックタイムズ誌の数々の賞の受賞者でもある。

解説

 ダヴェントリー侯爵は、目の前の光景を見て唖然とした。亡き戦友の妹プルーデンスの後見人として訪れた廃墟のような館。そこにはのんきに泥浴する野卑な老人と、男物の服を着た娘がいた。プルーデンスは祖父との呪わしい生活から解放され、まずはハンサムな後見人に感謝した。次に、彼の妹と親友になった。それから仕立屋ですばらしいドレスをあつらえてもらい、そのあと、財布をすられそうになって犯人をとっちめた。現場を見たダヴェントリー侯爵にそれをとがめられ、反発すると……いきなり唇を奪われた。
 ■ 莫大な遺産を相続したがゆえ、侯爵の人生は奇妙な方向に! 苦い恋の記憶と天真爛漫な年下のレディに翻弄される侯爵の運命は? 人気作家ケイシー・マイケルズの豪華長編を、どうぞお楽しみください。

抄録

「黙りなさい!」
 プルーデンスの目が大きくなり、笑みが顔じゅうに広がった。「あなたを怒らせるのって楽しいわ、ダヴェントリー。それにすごく簡単。フレディの話だと、その灰色の髪と莫大な遺産によって退屈人間に変わる前のあなたは、すごく愉快な人だったそうじゃない。さっき、あなたは大声で笑いだしそうだったのに、たちまち苦虫をかみつぶしたような顔になって、わたしを叱りつける。ねえ、認めたらどうなの? あなたはわたしに腹を立てているんじゃないってこと。実際は怒ってなんかいない。あなたはうらやんでいる。ええ、そうよ! あなたはわたしがうらやましいのだわ。なぜって、わたしは人にどう思われようと気にしないで好き勝手に振る舞えるのに、あなたは常にりっぱな侯爵とはどうあるべきかを考えて行動しなければならないから。なんてつまらないのでしょう。それにわたし、あなたは間違っていると思う。わたしは社交界でりっぱにやっていかれる。レックスフォードが請けあってくれたもの。彼はわたしが、ほかのだれとも違う独特の美しさを持った女になれると言ったわ」
「きみが独特の美しさを持った女になれるものか、プルーデンス」バニングがやり返した。「あの大火以来、ロンドンは奇人変人であふれているからな、今さら独特の人間なんか現れるわけがない。きみは変わり者のひとりにすぎないのさ」
「なんてつまらない冗談なの」プルーデンスは彼のまねをして上唇をゆがめ、冷笑を浮かべて言った。「あなたがミス・アルシア・ブロートンの前にひざまずいて、求婚ついでに今の冗談を口にしたら、彼女は笑ってくれるかしらね。あなたはご大層な称号に加えて莫大な財産を手にしたから、彼女にもう一度求婚するつもりなのでしょう? 彼女はあなたの魅力と機知と財産に圧倒されて、あなたの腕のなかへ身を投げるかしら? もしそうだとしたら、きっとお似合いの夫婦になるわ!」
「フレディのやつ!」バニングはうなるように言って、こぶしをもう一方の手のひらへばしっと打ちつけた。「話さないでもいいことをぺらぺらと。それに、きみもだ!」彼がそう言ってすさまじい目つきでにらんだので、プルーデンスは言いすぎたと気づいて怖くなった。
「きみは上品な態度を装ったり洗練された言葉遣いをまねたりして、ぼくや世間の人々を幻惑するつもりだろうが」バニングがきつい口調で続けた。「うわべをはぎとれば、きみは口汚い粗野な田舎娘にすぎない。きみは打ち明け話をさせるほど妹を魅了できたかもしれない。またレックスフォードは、自分の目的のためにきみを美しい女性に仕立てるかもしれない。だが、そんなことできみがレディになれると思ったら大間違いだ。わかっているのか? 社交界でそのように好き勝手な口をきいたらどうなるか、少しでもわかっているのか? ぼくをからかうようにほかの男をからかったり、みだらな女として振る舞ったりしたら、どうなるか? それを教えてやろう。いや、示してやる!」
 プルーデンスが抵抗する間もなく、バニングは彼女を向かいの席から抱き寄せて膝にのせ、唇を重ねて両手で荒々しく体をまさぐった。
 プルーデンスは思いがけないバニングの攻撃に、彼の情熱に、ショックを受け、身じろぎもしないでキスをされるままになっていた。そう、彼女にショックを与えたのは、彼の情熱だ。バニングのキスは熱くて激しく、触れ方も同じように激しかった。彼のキスときたら、まるで彼女を憎んでいながらも欲しくて仕方がなく、プルーデンスへの不可解な欲望と、彼女を心のなかから追いだそうとする強い決意とのはざまで苦しみ、すべてを奪うことによって満たされようとしている。そうすれば欲望の火が消えて、プルーデンスと永遠に決別できるとでもいうように。
 かまわないわ! 彼がわたしにキスをする理由なんかどうでもいい……彼がキスをやめさえしなければ。彼がわたしを憎たらしく思っていようが、かまわない。彼に興味を失われるほうがずっと怖い。手荒に扱われて痛くたって、たじろがないわ。だって、わたしは罰せられて当然だもの……わたしは悪いことをしたんだもの。悪いこと……悪いこと……悪いこと。
「なんてことだ!」
 突然、バニングに手荒に押しのけられて、プルーデンスは激しくまばたきした。気がつくと、彼女はさっきと同じ向かいの席にぶざまな姿で寝そべっていた。奪われた唇がまだひりひりし、さわられた肌が燃えるように熱い。バニングはふたりのあいだに起こったことが信じられないとでもいうように、ぼうぜんとしている。
「バニング、ごめんなさ――」プルーデンスはとっさに謝ろうとして、すぐにやめた。彼が我慢できなくなるほどからかうのは、間違っているだけでなく危険でもあることを知りながら、わたしはあえてからかったのだ。今さら謝るなんてどうかしている。わたしは一瞬であれ彼が自制心を失って、責任ある後見人であることを忘れ、ひとりの男としてわたしに反応してほしかった。わたしを女として認めてほしかった。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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