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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

禁断の花嫁

禁断の花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 テリー・ブリズビン(Terri Brisbin)
 妻として、三人の息子の母として、また歯科衛生士として多忙な毎日をおくる。アメリカ・ロマンス作家協会(RWA)や、ニュージャージー・ロマンス作家協会(NJRW)など、ロマンス小説家のための活動に積極的に関わり、二〇〇二年、二〇〇三年にはNJRWの会長を務めた。イギリスを舞台に時を超えたロマンスを書くことがこのうえない喜びだと語る。ニュージャージー州南部に在住。

解説

 同盟を結ぶためロバートソン氏族のもとを訪れたダンカンは男にからまれていた美しい娘マリアンを助け、ひと目で心奪われる。やがて、首尾よく交渉は成立。友好のしるしに酒をふるまわれて、ダンカンは不覚にも酩酊し、マリアンを胸に抱き、唇を奪った。そこへ飛び込んできたのは、族長のイアン。マリアンの兄だった。なじられたダンカンは彼女の名誉を守るため、結婚を申し出る。しかしマリアンには、実に不名誉な呼び名があった――“ロバートソンの淫売”。無垢な乙女にしか見えない彼女はいったいどんな秘密を隠しているのだ?

抄録

「マーラというのが彼女の名前だ、ダンカン。彼女の名前を言ってみたまえ」
 ダンカンは小屋に一歩近づき、彼女の名前を声に出して言った。ただ彼女に会って、彼女が自分の名前を口にするのを聞き、彼女を思って自分のなかに押しよせる奇妙で強烈な感情が何かを理解したいだけだった。木の葉のあいだから差しこむ月の光が足元にまだらに影を落とし、その模様が、足を前に進めるように彼を急きたてているようだった。風が木の葉をそよがせて吹き、もう一度ささやく声がした。
「彼女の名前を言うだけで……」
 ダンカンはもうそれ以上抵抗できなかった。夜の闇のなかに、彼女の名前が口をついてでた。
 マリアンは物音を聞いて起きあがった。人がしゃべったというよりは、動物が苦痛を感じて吠えたような音だった。彼女は毛布を引っぱってキアラにかけてやってから、ベッドから出て、ドアのところに行き、閂がかかっているのを確かめた。でも、こんな夜中に外で何がうろついているのだろう? マリアンは壁の掛け釘からマントを取ってはおり、小さな高窓から外の暗闇をのぞき見た。
 満月に近い月の光のおかげで小屋のまわりがよく見えたが、彼がしゃべったとき、明るくなくても彼の声だとわかった。マクレリーの男だ。
「マーラ!」彼はもう一度叫んだ。
 たいへんだわ! あんなふうに手負いの熊みたいに吠えつづけられたら、キアラだけでなく、村じゅうの人を起こしてしまうわ。彼をおとなしくさせるには面と向かいあったほうがいいと思い、マリアンは閂をはずした。掛け金を上げて、彼と話ができるようにドアを少し開けた。
「サー・ダンカン」彼女はささやいた。「娘がなかで寝ているんです」マリアンは外に出て、ドアを閉めた。「村の人たちも寝ているわ。ご用件は朝まで待てないのでしょうか?」
 ダンカンはまっすぐ彼女のほうに歩いてきた。マリアンは、身を守るために家に逃げこんでドアを閉め、閂を下ろしたくなり、実際にそうした。けれども、彼の動きはすばやかった。ダンカンは片足をドアの隙間に差しこんで、ドアが閉まらないようにした。そして片手をドアの端に滑らせて、彼を締めだせなくした。
「お願い、娘が……」マリアンはささやくように言った。ベッドをちらりと見て、キアラが目を覚ました様子がないのを確かめると、彼に家のなかを見られないように前に進みでた。
「どうしてもきみに会いたいんだ、マーラ」ダンカンは低いしわがれ声で言った。「外に出てきてくれ。おれがきみを見られるように」
 ダンカンはつかえながら言った。この人は酔っているのかしらとマリアンは思ったけれど、だからといって彼が危険でなくなるわけではない。だが、自分が何を優先すべきかははっきりしている。自分と娘の安全だ。そこでマリアンはドアをつかむ手を放して、身を引いた。頭のてっぺんから、シュミーズの裾からのぞく爪先まで、彼女をさっと眺めまわしたダンカンのまなざしは熱かった。マリアンはマントをかきあわせて外に出た。
 ダンカンは両手を握り締めたりゆるめたりしていた。マリアンがそばを通り過ぎても何もせず、彼女のあとについてきた。マリアンは、娘から見えず、声も届かない場所に彼を導いた。これがどういう結果に終わるかはうすうす見当がついていたので、それをキアラに見られたくなかったのだ。森のなかの空き地まで行くと、彼女は立ちどまり、振り返ってダンカンと向きあった。
 彼は目が据わっていたが、その目の奥底には悲しみと憧れがあった。マリアンは胸が締めつけられるようで、ダンカンが次の行動に出るのを待つあいだ、息をするのもつらかった。彼が触れたとき、そのやさしさにマリアンは驚かされた。彼は指先で彼女のあごの線をなぞり、次に口に触れた。彼の手は震えていた。マリアンの体も彼に触れられて震えはじめた。
「きみは来なかった」彼は言った。
「行けなかったの」
「来てほしかったのに。きみに会いたかったんだ」ダンカンはささやき、さらに彼女に近づいたので、顔に彼の息が感じられた。それから彼は彼女の首にキスをした。彼の唇の熱さにマリアンはぞくぞくした。それでも彼女はあえて動かなかった。「きみを味わいたかったんだ」
 ダンカンは彼女の顔を自分に向けさせ、身を屈めて唇を重ねた。次の瞬間、キスがやさしいものから独占欲の強いものに変わり、マリアンは考えることも動くこともできなくなった。熱いものが体を駆け抜け、体の奥深くに集中する。ダンカンは彼女の顔を傾けさせ、マリアンは彼の舌が唇に押しつけられるのを感じた。マリアンは唇を開いた。脚の力が抜けて、彼のほうに体が傾いた。
 ダンカンが彼女の名前を呼んで、外に出てくるように言ったとき、マリアンは、彼と闘うか、説得して追い払うかする覚悟だった。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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