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夕闇につつまれて

夕闇につつまれて


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

 ロサンゼルスにある父親のオフィスで、ジリーは危険なほどゴージャスな男に出会う。彼の名はコルトレーン――父の会社の顧問弁護士で、愛する弟の職を奪った宿敵だ。謎めいた緑色の瞳に思わず心乱されながらも、ジリーは敵意をむきだしにする。だが数日後、コルトレーンは自宅が火事になったと言ってジリーたち姉弟の暮らす豪邸に住みついてしまう。警鐘を鳴らす理性とは裏腹に、巧みに仕掛けられた誘惑の罠にとらわれていくジリー。彼の目的は一体……? 人気作家アン・スチュアートの真骨頂、珠玉のロマンティック・サスペンス!

抄録

「なあ、ぼくは上手なんだよ」コルトレーンは手を握ったまま軽い口調で言った。「しかし、ものすごくうまいってわけじゃない。ここ何年かは恋の奴隷がいなかったからね」
「わたしをほうっておいて」ジリーが厳しい口調で言った。
「無理だな、ほうっておくことなどできやしない」コルトレーンは握る手に力をこめ、暗がりのなかで彼女をぐいと引き寄せた。彼女はつかまれていないほうの手でコルトレーンを押し返そうとしたが、彼のあたたかな裸の胸にふれ、驚いて後ろへさがろうとした。しかし彼がぎゅっとジリーを抱きしめたので、彼女の手がふたりの胸のあいだに挟まった。彼にはジリーがどのような反応を示すのか予想できた。彼女の髪に手を滑りこませて、キスをするために顔を仰向かせたら、きっと彼女は口を開けて迎え入れるだろう。
 予想できなかったのは、そのキスをどのように感じるかということだ。ジリーはコルトレーンと同じくらい長身で、力強い成熟した体つきをしている。そして、薄い綿の生地を隔てて彼の裸の胸に押しつけられている豊かな胸。背中から腰のあたりまで達しているカーテンのような髪。
 キスは思いがけない感じをもたらした。乗り気でない女性が腕のなかでひどく熱く感じられる。今にも彼は自制心を失って、ジリーの前にひざまずいてしまいそうだった。そうして口で彼女を味わいつくしたかった。ジリーがそうさせてくれるのは知っていた。彼女はそんなことをさせる自分自身を憎みながらも、欲望には逆らえないだろう。
 ジリーはぼくを欲しがっている。それはたいして驚くべきことではなかった。ことあるごとに示す敵意は、心の奥深くに根ざす一方で、相手への興味から端を発している場合がある。それよりも驚くべきは、ぼくがものすごく彼女を欲していることだ。根源的で動物的な欲望の激しさのあまり、月に向かって吠えたいくらいだ。
 ぼくはキスの仕方を知っている。女性はキスが好きだということを知っていたので、上達するように訓練したのだ。だが、ぼく自身もキスが好きなことには、今の今まで気づかなかった。ジリーを壁に押しつけて何時間キスをし続けても飽きることはないだろう。あるいは彼女の着ているものをはぎ取り、ジーンズのファスナーをさげて月の光のなかで体を奪ってもいい。そうして彼女の肌の感触やにおいを味わい、息づかいや心臓の鼓動を感じていれば、ほかのすべてを忘れることができるだろう。
 しかし、コルトレーンはそうしなかった。今の彼にとっては、ジリー・マイヤーをものにすることよりも、自制心を取り戻すことのほうが重要だった。彼は口を離して、ジリーを遠ざけ、ぼくをぶつだろうかといぶかしみながら彼女を見つめた。
「行って」ジリーはただ低い声でささやいただけだった。
 コルトレーンは月の光のなかで長いあいだ彼女を見ていたあと、ようやくうなずいた。「いいとも」
「わたしが言ったのは、この家から出ていってという意味よ」ジリーの声は震えていた。怒りのせいだろうか、それとも別のなにかのせいか。
「ぼくは出ていかない。わかっているだろう」
「だったら、わたしに近づかないで」
 コルトレーンはためらったあとで言った。「近づかないでいることはできないよ。きみもわかっているだろうが、ぼくらは遅かれ早かれ一緒に寝ることになる。だったら、なぜ逆らうんだ?」
「そうなりたくないからよ」
「きみは勝手にそう思いこんでいるようだね」
「あなたって、本当に傲慢なろくでなし――」
 コルトレーンがすばやく彼女のほうへ動いたので、ジリーは慌てて壁まで後ずさりした。彼はジリーにさわらなかった。さわる必要はなかった。「女性はだれでもぼくを欲しがると考えるほど、うぬぼれてはいない。だが、きみはぼくを欲しがっている」
「あなたを好きでさえないのよ」
「それがどうしたんだい?」
 月の光のなかで、ジリーの顔が青白く見える。彼女が一瞬目を閉じると、ますます傷つきやすそうに見えた。コルトレーンは自責の念を覚えてもいいはずなのに、欲望しか感じなかった。
「お願い」ジリーが疲れたように言った。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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