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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

スキャンダラスな結婚

スキャンダラスな結婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 フランセスカ・ショー(FRANCESCA SHAW)
 フランセスカ・ショーという筆名は二人の作家が考え出した名前である。彼女たちは共に図書館司書で、どちらも幼いころから読書に親しみ、いつか小説を書きたいと願っていた。さらに幸運なことに、二人とも歴史物に興味があり、ぶどう園の樹の下で初めて物語を作って以来、いくつものヒストリカル・ロマンスを手がけている。イングランド南東部ハートフォードシャー在住。

解説

 ソフィアは四年前駆け落ち未遂事件を起こして以来田舎に追いやられ、軟禁生活を強いられていた。やっとロンドンに呼び戻され、監視の目を盗んで出かけた先で放蕩者として名高いワイアット卿にひと目惚れする。数日後、再びこっそり外出したソフィアは帰り道、馬車で拉致される。着いた場所はワイアット卿の屋敷。彼の妹と間違われたことがわかり、ソフィアは捜索に協力を申し出た。ところが途中、馬車が事故に遭い、二人は一週間を共に過ごす事態に陥った。醜聞を避けるため、ワイアット卿はソフィアに結婚を申し込むが……。
 ■ 華やかな生活とは無縁の自由を奪われた日々から急転直下、ソフィアはハンサムな貴族に求婚されますが……。ルイーズ・アレン名義でも人気を博す作家の、スリル満点の一作をどうぞお楽しみください!

抄録

 風が窓のカーテンをふわりと揺らした。わたしはひとりではない。窓の斜間に置かれた腰掛けにハル・ワイアットが座って眠っていた。背中を壁にくっつけ、片足を腰掛けにのせて反対側の壁とのあいだに差し入れ、もう片方の足を床に置いている。そうだった。ソフィアはエリザベス・ワイアットを追跡していたことと、馬車が倒れた恐ろしい瞬間をはっきり思い出した。
 そろそろと体を起こして枕に背中を預け、ハルを見る。彼は上着を脱いでいた。着ているシャツの生地が手織りで、肩と上腕のところでぴんと張っているところを見ると、自分のものではないのだろう。ズボンは泥で汚れているが、誰かがその汚れを落とそうとした形跡がある。
 彼はあごが胸につくほど下を向いていた。顔の横の眉からあごまで青あざがついていて、こめかみに乾いた血の跡がぽつりぽつりと見える。ソフィアは自分の頭の痛みを忘れて上掛けを押し上げ、両脚をそろえて、ベッド脇のぼろ布で織った敷物の上に置いた。彼女が着ている夜着は大柄な女性のものだ。丈が長すぎて裾が足元にたまっている。裾を両手で集めて持ち上げ、忍び足で床を歩いた。その動きで打ち身のできた体がずきずきした。
 眠っているハルの一歩手前で慎重に足を止める。乱れた姿を見ただけでも、ソフィアの胸はどきどきし、口がからからに渇いた。眠っている彼の体を上から下までさっと観察し、安堵のため息をもらす。包帯をしているところはないし、顔の青あざを除けば、けがはしていないようだ。ソフィアは衝動的に手を伸ばし、彼の目にかかった髪を払いのけた。すると、ハルがぶつぶつ寝言を言った。ソフィアは慌てて手を引っ込めたが、その動きで体が揺れ、こめかみに激しい痛みが走った。
 目の前が暗くなり、部屋が回り、ソフィアは前に倒れた。次に気づいたときにはハルの腕に抱かれていた。「まさか」彼はかすれた声で言った。「まだ夢を見ているに違いない。ええい、知ったことか」そして、ソフィアの唇に唇を強く押しつけた。
 ソフィアはくぐもった驚きの叫びをもらしてから、情熱的にキスを返した。これまで誰もこんなふうに口づけしてくれたことはなかった。ヘンリーがキスをしようとしたときには、彼女はいつも身をかわし、頬に軽くキスさせただけだった。だが、これは本物のキスで、とてもすばらしい。
 ハルの唇は固いが、キスはやさしい。どうしてこんなふうにできるのかしら。無精ひげが肌をこすったが、それが不思議に心地よかった。それに、彼の体は温かい。ソフィアは彼の体にすり寄り、シャツと薄い夜着を通して伝わってくる彼の体温を感じていた。そっと目を開けると、彼は目を閉じて、キスに集中していた。ソフィアは彼の唇の圧力に負けて口を開いた。ふたりの舌先が触れ合うと、体がぞくぞくした。ソフィアは小さく叫んであとずさりした。
 次に気がつくと、ハルの青い目がソフィアの目をじっと見ていた。「ソフィー! すまなかった。どうしてこんな……。夢だと勘違いした」ハルはソフィアを突き放し、彼女が膝の上でぐらりと揺れたので、慌ててまたつかんだ。「どうしたんだ? ベッドから出て何をしている?」
「立ち上がったら、バランスを崩して倒れたの……。ごめんなさい。こんなこと……」ソフィアはそのあとの言葉が言えず、下を向いて、借り物の夜着の裾から出ているむき出しの足の指を見ていた。まだハルに抱かれているので、足の指から痛む頭のてっぺんまで真っ赤になっているような気がした。
 ハルはぶつぶつと悪態をつきながら、ソフィアを楽々と抱き上げてベッドに戻し、上掛けを彼女のあごの下まで引き上げ、上掛けの端をベッドにたくし込んだ。わたしが腕の中にいるのを見つけたとき、彼はまだ半分夢を見ていて、どの男性でも、あるいは女たらしなら誰でもすることをした。けれども、キスの相手が誰かわかったとたんに、わたしを小さな子供のようにベッドに寝かせた。
 ただでさえ屈辱的なのに、自分がきっかけを作ったという事実にソフィアは打ちのめされた。ハルは険しい表情で開いたドアに歩み寄り、くしゃくしゃの黒髪をいらいらと手ですいてから、ドアをさらに開けて怒鳴った。「ミセス・ウォレン! 階上に来てくれ、頼む」
 ソフィアはこめかみがずきずきして、ひるんだ。「怒鳴らないで」ハルが狭い部屋をいらいらと歩きだしたので、ソフィアは言った。
「悪かった。頭が痛むか?」ハルはベッドの足のほうで立ち止まり、心配そうな顔でソフィアを見たが、それ以上近くに来ようとはしなかった。
 ソフィアは後頭部をおずおずと触った。「痛い! あなたもこれくらいのたんこぶができたらわかるわ!」
「ああ、大きなたんこぶだ。きみが気絶したときに触ったからわかる」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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