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シンデレラは片想いのまま

シンデレラは片想いのまま


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 テレサ・カーペンター(Teresa Carpenter)
 生まれも育ちもカリフォルニア。30分で海にも山にも行けるサンディエゴでの暮らしが気に入っている。ロマンス小説との出合いは中学生の頃。アメリカロマンス作家協会の会員として精力的に活動し、すばらしい創作とロマンスに関する知識の共有に貢献した作家に贈られるバーバラ・フェイス賞を受賞した。

解説

“家族になろう”――なんて残酷な言葉。彼は私を愛してはいないのに。

サヴァンナは十代で母を亡くしてから、妹と弟を一人で育てあげた。そして今は、有名ジュエリー会社の臨時秘書として献身的に働き、効率最優先の冷徹なCEO、大富豪リックに想いを寄せていた。二人きりのロンドン出張で、彼はいつもとは別人のようだった。初めて乗る飛行機を怖がるサヴァンナの手を握っていてくれたり、夜、ドレスに着替えた彼女に熱っぽい視線を送ってきたり……。募る恋心を止められず、サヴァンナはリックと一夜をともにしてしまう。結婚も赤ん坊も望まない彼は、生涯続く関係など求めていなかったけれど。ところが数週間後、サヴァンナは妊娠に気づいて愕然とする。彼に父親になると伝えるの?責任感から求婚されるとわかっていて?

■大好評だったデビュー作、『天使を抱くシンデレラ』の関連作をお届けします。仕事に人生を捧げ、愛を否定するヒーローからのプロポーズに、どうしてもイエスと言えないヒロイン。本当は愛されたいのに、本心を隠す彼女のいじらしさが切ない作品です。

抄録

さらにデスクに近づいたとき、リックは自分の判断が正しくもあり、間違ってもいたことに気づいた。ミズ・ジョーンズはデスクの前ではなく、下にいたのだ。
リックはゆっくりと首を振った。彼には弱いものが二つある。チョコレートと父方の祖母は、どちらも彼を面倒に巻きこむ傾向があった。チョコレートチップ・クッキーを勧められても、なんとか自制心をはたらかせて断ることはできる。だが、祖母に懇願するような目で見つめられると、拒否することはできない。
だから、こうしてデスクの下に潜り込んでいる新しい秘書のヒップを眺めているわけだ。
彼女は一時しのぎとして雇っているだけだ、とリックは自分に言い聞かせた。正規の秘書で、とても有能なモリー・グリーンが戻るまで、あと六カ月と十九日と三時間四十五分か。
ああ、僕はたしかに指折り数えて待っている。こんなことになったのも祖母のせいだ。祖母に説得されて、やむなくほとんど実務経験のない、おしゃべり好きなミズ・ジョーンズを採用したのだから。祖母はジョーンズ家のことをよく知っていて、モリーが休暇に入り、僕が最初の三週間で三人の秘書をくびにすると、友人の話を持ち出した。そして、モリーが戻るまでミズ・ジョーンズを雇うようしつこく勧めたのだ。
ミズ・ジョーンズの頭はデスクの下に隠れているが、そのほかははっきり見えた。かがみ込んでいるせいで、グレーのスラックスの生地はぴんと張りつめ、官能的なヒップの形がわかる。
ふいに体がほてってきたので、リックはジャケットを脱ぎ、秘書のデスクの横に行った。
ミズ・ジョーンズが何をしているのかに気づいたとたん、リックの頬は燃えるように熱くなった。そんな自分と彼女にいらだち、噛みつくように言う。「ミズ・ジョーンズ、いったい何をしているんだ?」
秘書は驚いた拍子にデスクの裏側に頭を打ちつけたらしく、まず“痛い!”と言った。「私は……その……」見えない何かを引っ張っているために、ヒップがくねくねと動く。「新しい電動ホッチキスをコンセントにつなごうとしているんです。でも……コードが……引っかかってしまって」
彼女がさらに何かを引っ張り、ヒップを動かすと、デスクの上のグレーの物体が動いた。
こんなことに付き合わなければいけないのだろうか?リックは自問した。僕は秘書に身の回りの世話をしてほしいと思っているわけではない。コーヒーをいれるのも、クリーニング店へ服も出すのも、自分のことは自分でする。秘書に有能さと手際のよさと機敏さを求めるのは望みすぎなのか?
ミズ・ジョーンズが〈サリバンズ〉で働きはじめてから四週間がたつ。公正を期すために言うなら、彼女は出された指示はきちんと理解し、仕事はうまくこなす。その点では三週間で辞めたほかの三人よりましだ。しかしミズ・ジョーンズの場合、なんでも自分の流儀で片づけようとする。今、くねくねとヒップを動かしているように。
「ミズ・ジョーンズ、そんなことはメンテナンス部に電話して頼めばいいじゃないか」リックはじれったそうに言った。
「とんでもない。プラグをコンセントに差すだけで、メンテナンス部に電話なんかしません。コードがちょっと短いだけですから、すぐに終わります。何かご用ですか?」
その間もヒップはくねくねしている。
またしても体が熱くなり、息が詰まりそうになって、リックは苦しげな声をあげた。
僕は用事があったのか?ミズ・ジョーンズはふざけているのか?すぐにこの場から立ち去ったほうがいい。だが僕がいなくなると、ほかの男が彼女に近づきやすくなる。リックはあたりを見回し、近くに男がいないか確かめた。今、ここには僕たち二人しかいない。それはいいことでもあり、悪いことでもある。「ミズ・ジョーンズ、今すぐそこから出るんだ」
「もう少しで届くんですけれど、コードがどこかに引っかかっているんです。ちょっと押し込んでくれませんか?」
この状況を終わらせるためなら、なんだってする。リックはデスクのうしろ側に回り、コードを通す穴のほうに電動ホッチキスを動かした。穴には何本ものコードが通っているので、ホッチキスのコードはそこに引っかかって折れ曲がっていた。
リックは迷った。コードを穴に押し込むにはミズ・ジョーンズの脚の間に入らなければならない。
「リック?」
「ちょっと待ってくれ」リックは注意しながらミズ・ジョーンズの脛の間に片方の足を置き、もつれたコードに手を伸ばした。ところが、厄介なコードを押すために体重を移動させた拍子に、片方の膝が彼女の柔らかなヒップに触れた。
「やった!」ミズ・ジョーンズが叫ぶ。
驚いたリックは慌てて安全な場所に引き下がった。
「うまくいったわ」ミズ・ジョーンズが得意げに言い、デスクの下から出てきて手についた埃を払った。その間、リックはひたすらパソコンに目を向けていた。スクリーンセーバーには彼女の弟と妹の写真が使われている。「ありがとうございました」ミズ・ジョーンズはグリーンの瞳に笑みをたたえ、ポニーテールにした赤褐色の髪を撫でつけた。「それでご用はなんでしょうか?」
リックの頭の中が真っ白になった。どうしてミズ・ジョーンズのデスクの前で足を止めた?
「今後はデスクの下には潜り込まないでくれ。うちの会社にはメンテナンス部があるのだから、つぎはそこを利用するように」リックはくるりと向きを変えて、自分の部屋に戻った。
椅子に腰を下ろしたとたん腹が鳴り、当初の目的を思い出したが、彼は無視した。またあのドアから出ていくくらいなら、空腹に耐えるほうがましだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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