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復讐の鐘が鳴るとき 孤高の鷲 I

復讐の鐘が鳴るとき 孤高の鷲 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム孤高の鷲
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 あのリンダ・ハワードをして“絶妙な会話のセンスといい、個性豊かな人物設定といい、読者をストーリーに引き込むすべを心得ている”と絶賛せしめた実力派。作家になる前は高校で英語と世界史を教えていた。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともにアラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』は元CIAエージェントのヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。

解説

 すみれ色の瞳で一世を風靡したトップモデルはもうここにはいない。タイラー・スチュワートは結婚式の朝、ホテルの部屋で鏡に映ったみずからのウエディングドレス姿に衝撃を受けた。かつて貧困にあえいだ彼女は故郷を捨て、頂点をきわめた。にもかかわらず、人に裏切られ、手元には何の財産も残っていない。そして今、身売り同然に嫁ごうとしている……。やっぱりこのまま結婚なんてできない! とっさに逃げだした彼女は、隠れようと飛び込んだホテルの一室で凍りついた。「ノックもなしとは。事情を説明してもらおうか」。氷のように冷ややかな青い目の男がタイラーに拳銃を向けていた。
 ■ 栄えあるRITA賞を二度も受賞したゲイル・ウィルソンのミニシリーズ『孤高の鷲』。元CIAのエリートたちが正義を貫き、真実の愛を見出すさまを描いた連作です。

抄録

「何か言うことはないのか?」彼女にしか聞こえない低い声だった。
「何か、って?」
 男は、タイラーがホテルから逃げだしたがっているのはロビーの騒ぎと関係があるとぴんときたのだろう。そこまでわかれば、彼女が騒ぎの原因を知っているにちがいないと思うのも当然だ。しかし大きな部分が欠けている。彼は騒ぎの原因がなんなのか知らないし、タイラーが目撃したものなど想像もつかないはずだ。
「花嫁が一人逃げだしたにしては、ものすごい騒ぎじゃないか」
「私には関係ないわ」
 彼に嘘をつくのはいやだった。タイラーはすらすらと嘘が言えるタイプではない。でも、どちらにしろどうでもいいことだ。そもそも彼は最初からタイラーの言葉を信じていないのだから。それなのに、みずからすすんで彼女を助けようとしてくれている。
 男の目はまだタイラーの顔をじっと見つめていた。「遅かれ早かれ、君は人を信用しなければならなくなるんだぞ」
「あなたは私たち二人が外へ出られるようにしてくれるんだと思っていたわ」全部打ち明けたほうがいいという彼の誘いを無視してタイラーは言った。どうしよう。いっそのこと打ち明けてしまいたい。男はタイラーの顔を見つめながらうなずいたが、ありがたいことにそれ以上問いつめてはこなかった。
「僕が騒ぎを起こす。その間に外に出ろ。あのドアから出るんだ」
 彼は見もせずに頭で左側を示した。すでに全部チェックずみのようだ。タイラーはそちらを振り向いた。両開きのガラスのドアがホテル横の街路に通じている。外には店内に背を向けるようにして制服を着た警官が立っていた。
「警官は一人だけだ。大勢を相手にできる態勢じゃない。警察は正面玄関に集中している」
「何をするつもりなの?」男の話しぶりは自信にあふれていたが、タイラーには彼の言っていることの意味がまるでわからなかった。
 男はその質問には答えなかった。「考えるな。走れ。最初の数分が肝心だ。外に出たら人の流れに乗れ。絶対にうしろを振り向かないことだ。普通の歩幅で歩き続けろ。頭は上げること。ロビーにいたときのようにうつむくのはだめだ。何ブロックか離れたら、タクシーか電車に乗れ」
「あなたはどうするの?」タイラーは二人で行くものとばかり思っていた。彼がタクシーをつかまえて空港への途中でタイラーを降ろす。そういう計画だったはずだ。
「反対方向へ行く」
「私、お金を持っていないわ」
 彼は立ち上がってジーンズのポケットに手を入れ、折りたたんだ紙幣をテーブルの上に取りだした。タイラーはそれを見ずに取って、シャツの胸ポケットにしまった。
「どうすればいいか、これでわかったな?」
 タイラーはうなずいた。彼がここまでしてくれることを恩に感じてすべてを打ち明けなければいけないような気持ちになった。わかってくれないかもしれないし、聞きたくもないかもしれないが。「あの騒ぎは私にはなんの関係もないわ」ささやき声で彼女は言った。「それだけはわかってほしいの。ただ……私は見てしまったの」
 必要以上に彼を危険に巻き込むことはしたくないと思っていたのに、どうしても最後の一言を付け加えずにいられなかった。彼がもっと知りたいならこれがきっかけになる。
 彼の青い目はつかのまタイラーの顔にとどまっていたが、返事はなかった。そして彼女に身を寄せ、ウエディングドレスを入れたビニール袋をタイラーの席の隣に置いた。
 彼は体をかがめたままタイラーが座っている椅子の背に手を伸ばし、頭を傾けた――彼女の顔を見つめたまま、ゆっくりと。これほど近づいたのは初めてだ。ホテルの石鹸とシャンプーの香りがする。湯気のこもったバスルームでかいだのと同じ匂いだ。
 しかし、今その香りは全然ちがう意味を持っていた。なぜならそれはすぐそばにあるたくましい体から発散されていたからだ。
 彼が何をするつもりなのかタイラーには見当もつかなかったが、魅せられたように身動きできず、近寄らないでと言うことも頭になかった。
 彼の顔が近づいてくる。催眠術をかけられたかのような状態でタイラーは彼の唇が開き、自分の唇に迫ってくるのを見た。そのときになって初めて、何が起きているのかがわかった。
 男の唇は温かかった。見た目は薄くきつそうだが、感触は信じられないほどやわらかい。一瞬ためらった唇はやさしくタイラーの唇に押しつけられた。官能的なざわめきが彼女の全身を走る。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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