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いま、心をとかす愛 レイクショア・クロニクル

いま、心をとかす愛 レイクショア・クロニクル


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: レイクショア・クロニクル
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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解説

 国際的法律家のソフィーは世界平和のため家庭も顧みずに働き、離婚も経験した。だが、ある事件で命を落としかけ、家族の大切さを思い知る。キャリアを捨て、元夫が引き取った子供のいる湖畔の町に住むことにした彼女だったが、初日に雪道で事故を起こし、地元の獣医師ノアに助けられた。その後も、町に不慣れな彼女を世話してくれるノアにときめく一方、理性では自分にはもう恋など無縁だとわかっていた。ところがある日、ソフィーは募る想いに屈して思わず彼にキスしてしまう。それが障壁だらけの切ない恋の始まりとも知らずに。

抄録

「こうだ」ノアがソフィーの手を引きはがし、前に持ってくると、おなかのところで握りあわさせた。まるで木につかまっているみたいだ。木を抱きしめているみたい。ノアはエンジンをふかし、スノーモービルを急発進させた。
 彼につかまっていてよかった。ソフィーは彼の背に頬を押しあてた。こんなふうに男性に抱きつくなんてすごく久しぶりだ。
 スノーモービルは速くてやかましかった。風の冷たさは骨にしみるほどだが、ソフィーにはその解放感とスピードが心地よかった。もしマックスがいまの彼女を見たら、驚くのではないかとふと思う。もしマックスがここに会いに来てくれたら、ノアは……。
 ソフィーはその考えを頭の隅に押しやった。息子について、それにこの隣人についても、そんな想像をめぐらすのは気が早すぎるというものだ。
 数分のあいだ、彼女はノアにつかまってひたすらスピード感を楽しんだ。気持ちが高揚し、久しぶりに聞く音がはじける――自分自身の笑い声が。風がその声を吹きさらい、見えないリボンのように後ろに流していく。この数分間、人生は単純に楽しかった。ハーグであのような地獄を見てきたせいか、舞い狂う雪の中を疾走することには胸のすくような解放感があった。
「顔が凍りそう」家の前でスノーモービルが停止すると、ソフィーは言った。
「だけど、笑いがうかんでるよ」
「わたしの顔に?」ソフィーは両手で頬をはさんだ。「自分じゃわからないわ」
「だけど笑ってる。きみには笑顔がよく似あう」
「ちょっと寄っていかない?」
 ソフィーはさっきティナが断られたのと同じ理由で断られるものと覚悟したが、意外にもノアはこう言った。「いいのかい? ありがとう」
 ブーツについた雪を足踏みして落としながらソフィーは言った。「彼女、あなたに気があるのね」
「彼女?」
「ティナよ。気づいているくせに」ソフィーは先に立って中に入り、ブーツ・トレイを指さした。
「自分がそういうことにうとい人間だとは思いたくないんだけどな。どっちにしろ、ティナはぼくのタイプじゃないよ」
 それを聞いてソフィーはばかみたいにほっとした。「あの年頃の自分がどんなだったか、わたしはもうほとんど思い出せないわ」
「彼女の親父さん《オールドマン》はサッカイ・キャロウェイ、一九八〇年にレイクプラシッドでアメリカのアイスホッケー・チームの一員としてプレーしていたんだ」
 金メダルをとったチーム、奇跡のチームだ。「彼女のお父さんをオールドマンなんて言わないでほしいわ。あの年のオリンピックは身を乗りだして見たものよ。ティナもスケートがさぞじょうずなんでしょうね」
「うん。おっと、火が弱くなってるぞ」ノアが言った。ティナの話はこれでおしまいということらしい。「ぼくが火をかいてあげよう」
 ソフィーは後ろに立って彼が作業するのを見守った。驚いたことに先刻の感覚がまだ残っている。むしろいっそう強烈になって。間違いない。わたしは欲望をいだいているのだ。
 落ち着きなさい、ソフィー。彼女は自分を叱りつけた。ほら、深呼吸するのよ。
 その場にじっと立ちつくし、吐き気やめまいのように欲情の嵐が過ぎ去るのを待つ。だが、ノアを見ているとその嵐はますます激しくなっていくようだ。彼が薪を足す前から、すでに体じゅうが熱くなっている。さっきまで凍えていた顔もいまは紅潮し、手足やまぶたがけだるく重い。これは単なる時差ぼけの症状ではない。
 ソフィーは理性で欲望を追いやろうとした。だいたいこんな反応を示してしまうなんてどうかしている。男がストーブの火をかいているからといって、いったいなんだというのだろう? 彼の服を引き裂いてむしゃぶりつきたくなるような行動ではないだろうに。
 だが、ソフィーは実際その衝動にかられていた。
 炎が長く揺らめきながら薪を包みこむと、ノアは体を起こしてソフィーを見た。「これでしばらくもつだろう」
 ソフィーは自分の行動を分析したり考えたりはせず、まっすぐノアに近づいて彼のスエットシャツをぐいと引っぱると、驚いている彼の唇に恥ずかしげもなく攻撃的なキスをした。
 ノアはソフィーが望んだとおりの味がした。なんとも言えない甘い味。においはまるで冬の空気のようだ。木々とかすかな煙のにおいが入りまじった、とてもセクシーな香り。ソフィーはまたたく間にわれを忘れて酔いしれた。唇やうっすら伸びた髭、頬に触れる彼の黒っぽい髪の感触に。
 ノアはこうなることがわかっていたかのように、渇望を隠そうともせずにくちづけを深めた。彼のそうしたあけっぴろげな欲望がいかにソフィーを刺激するか、彼はわかっているのだろうか? まるで灯油のプールに火のついたマッチを投げこまれたようなものだ。ノアがいちばん手っとり早い脱がせかたを模索してソフィーの体に手を這わせると、彼女はいっそう胸をとどろかせた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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