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後見人を振り向かせる方法【MIRA文庫版】

後見人を振り向かせる方法【MIRA文庫版】


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 マヤ・バンクス(Maya Banks)
 幼いころからロマンスを愛読し、作家になることを夢見ていた。十代になると毎日ノートを持ち歩き、想像のふくらむまま過激な愛と情熱の物語を書き続けるようになる。現在の話はそのときのものほど過激ではないが、ロマンティックという点では引けを取らない。現在は夫と三人の子供とともにテキサスで暮らしている。狩猟や釣り、ポーカーを好む。

解説

少女の頃から好きだったあなたを、諦めるなんてできない――。NYタイムズベストセラーリストNo.1作家が綴る、切ない片想い。

イザベラがニューヨークを訪れたのには理由があった。それは、少女の頃からずっと好きだったセロンのそばにいるため。セロンはイザベラより10歳も年上の、ギリシア富豪一族次男。旧友だった互いの父親がともに亡きいま、イザベラにとってはいわば後見人の立場にある。もう昔みたいに子供扱いはされたくない……久しぶりの再会を前に、イザベラはわざと大人っぽい服を選び、成長した自分の姿にセロンがうろたえるのを見て満足した。だがその矢先、ある悲しい話を耳にする――セロンがもうすぐ、どこかの令嬢と婚約するという話を。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のMIRA文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

イザベラは、ふたりのあいだに落ちた沈黙に満足しながら、朗らかに残りの料理を口に運んだ。セロンの視線を感じながら、絶対に目を合わせないように気をつける。不思議そうに投げてくる彼の視線に私への興味がまじっている。プラトニックなものではない興味が。
懸命にそれを押し殺そうとしているかもしれないけど、目は嘘をつけない。
食事が終わると、セロンは次の予定を尋ねた。
「家具が必要ね。もちろん食料と生活必需品も」
「必要な食料と生活用品をリストアップしてくれ、配達の手配をするから。もう数日ホテルで我慢してくれるなら、週末に家具の買い物につき合えるか確かめてみるよ」
「本当に何もかも必要よ。タオルでしょう、カーテンにお皿、ベッドリネン――」
セロンは手で制して笑顔を向けた。「すべて詳細にリストアップしてくれ。ちゃんと揃えさせるよ」ナプキンを置き、ウエイターに合図してからイザベラを見た。「そろそろ部屋に戻ろう」
まだ戻りたくないけれど、忙しい彼の半日を独占したこともわかっている。イザベラはうなずいて立ち上がり、エスコートされて出口に向かった。
「部屋まで送るよ」セロンは歩きながら言った。
エレベーターに乗りこむと、ドアが閉まりきらないうちに、イザベラはセロンに向き直った。すぐそばにある彼の体。空気を伝ってくるぬくもり。コロンのすがすがしい香りが鼻をくすぐる。
「今日はありがとう」小声で言って握手の手を差し出す。セロンは上体を屈める気配だ。最上階に着いたら頬にキスをしてくれるつもりらしい。
「どういたしまして。アパートメントの件、買い物ツアーの件は、秘書に連絡させるから」
最上階に着くと、予想どおりセロンはさっと頬に唇を近づけた。イザベラは彼の胸に飛びこみ、すかさずその首に腕をまわした。そしてセロンの唇が頬に触れたとたん顔を横に滑らせ、唇を合わせた。
弾ける火花。溶け合う唇、体を貫く稲妻のような電撃。大胆な攻勢を身じろぎもせず受け止めていたセロンの喉から、低いうめきがもれた。
セロンはイザベラを引き寄せて体に腕をまわし、背筋をなで下ろした。手は腰のくびれまで下りていき、やがてジーンズ越しにその丸みを包みこむ。
彼の手の感触をイザベラは全身全霊で味わった。ジーンズ越しに熱く肌を焦がすセロンの指。やがてもう一方の手が髪に差し入れられ、豊かな髪を乱し始める。
これはただのキスじゃない。なじんでいる者同士の情愛に満ちた愛撫でもない。飢え渇くように求め合う、恋人同士のキスそのものだ。
ためらいも断りも不要な世界。まるで、互いを知り尽くした者同士が長い別離のあとに再会したようだ。温かなセロンの舌が唇を開いて滑りこみ、ゆっくりと口の中をまさぐり、誘うように舌をなぶる。イザベラは喜んで誘いに乗り、濃密なキスで応じた。
腰にあったセロンの手が、シャツの裾から内側に入り、ウエストのくびれへと伝い上がる。そして次の瞬間には、彼の強靱な体に引き寄せられていた。
はっと息をのむと、背中には彼の手。じかに触れる肌と肌。イザベラの唇からあえぎがもれた。引き寄せられて胸の膨らみが彼の体に密着し、鼓動のたびに激しく上下する。
イザベラは懸命に声をのみこんだ。声を発したら一瞬ですべてが消えてしまう。何か言えば、きっとセロンは思い出すだろう――キスの相手が私だと。だからイザベラは無言で身を投じた。このひとときが少しでも長く続くことだけを念じて。
セロンの唇が顎へ、首へととぎれとぎれに移動する。イザベラは耐えきれず声をもらした。震えが止めどなく、全身に湧き起こる。長い冬眠から目覚めたように、あらゆる感覚が頭をもたげる。
こんな感覚、初めてだ。甘く囁くように、彼の唇が敏感な耳元をくすぐっていく。
不意に膝が崩れ、イザベラはとっさにセロンにしがみついた。そのとたん、唇が首筋を離れ、彼は低く悪態をついた。夢の時間が終わったのだ。
セロンはイザベラの両腕をつかんで押し戻した。燃える瞳に宿るのは、自身に向けられた非難と怒り、そして……くすぶる渇望だ。イザベラは言葉を失い、ただセロンを見つめ返した。
セロンは再びギリシア語で悪態をつき、イザベラの背中を促してエレベーターを離れた。そして部屋まで連れていくと、カードキーを差しこんだ。
セロンがドアを開け、片手で支える。イザベラが中に入って振り返ったときには、ドアはもう閉まりかけていて、急ぎ足で去る彼の足音が聞こえてきた。
イザベラはドアに背をあずけて目を閉じ、体に両腕を巻きつけた。セロンの腕の中で味わった、珠玉の時間がよみがえる。
あっという間に火がついた。ふたりのあいだに強烈な磁性とすさまじい情熱があったことは疑う余地もない。残されていた未知の部分はこれではっきりした。ほかの面ではすべて、セロンと相性がぴったりだとわかっていた。未知だったのは、性的な磁性。むろん私のほうに疑念などなかったけど。でもさっきのエレベーターでの熱いひとときで、最後のピースもきちんとはまった。
あとは彼にその事実と向き合ってもらうだけだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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