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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

記憶喪失の花嫁

記憶喪失の花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリー・フェラレーラ(Marie Ferrarella)
 ヨーロッパに生まれ、ニューヨークで育った。現在は南カリフォルニア在住。USAトゥデイ紙のベストセラー・リストの常連で、アメリカ・ロマンス作家協会のRITA賞の受賞歴も持つ。これまで百五十作を超える作品を発表し、マリー・ニコールの名でも執筆。世界中の多くの読者から支持を得ている。

解説

 ★ 記憶を失ったまま初々しい花嫁でいてほしい。そうすれば、危険から守ってやれる。★
 目覚めると記憶をなくしていた。かすかな距離を置いて横に眠る男性は、だれ? クロゼットにウエディング・ドレスがかかっているけれど、私のものだろうか? となると、彼は花婿? でも、私は自分の名前さえわからない。困惑状態の彼女以上に、起き上がった花婿は混乱した。やがて事態を理解した彼の説明は――自分たちは新婚旅行中で、彼はゼーン、私はホイットニー。私はプールで滑って頭を打ったらしい。でも……熱々カップルのはずなのに、なぜ彼の愛撫はぎこちないの? 抱えきれない疑問に押しつぶされそうな彼女を見つめながら、ゼーンはまだ真実を明かさないことにした。危機が去るまで、このままでいよう。

抄録

 そのカップルに近づくにつれて、高価なコロンの香りが、肌をこんがり焼くためのサンタン・ローションの匂いと混じり合って感じ取れた。
 いいえ、日焼け止めローションだわ。ホイットニーは考え直した。ブルネットの女性は、白雪姫として通るくらい肌が白い。もちろん、成人向けの白雪姫だ。彼女のドレスの裾は無造作に腿に巻きつけられている。訳知り顔から判断するに、計算された無造作に違いない。
 ホイットニーは視線をゼーンに移した。彼はあの種の女性に興奮をかきたてられるだろうか? あのブルネットの女性と比較すると、私の体つきは少年のように見える。
 ゼーンは頭を傾けると、ホイットニーの耳もとで最後の情報をささやいた。「彼らの名前は、リチャードとサリーだ」
 サリー。あの官能的な女の名前にしては、平凡すぎる。「彼にとって、彼女はなんなのかしら?」
「エクスタシーだよ、きっと」クイントンは思いどおりになる、お熱い女が好みだ。サリーの首を飾っている駒鳥の卵ほどの宝石をちりばめたネックレスは、彼女が仕事をうまくこなしている証だろう。
 ホイットニーは鼻をふんと鳴らした。「あの程度がお好みなのね」
 嫉妬をあらわに見せつけられて、ゼーンはくすぐったい思いがした。嫉妬は、彼がホイットニーから期待しなかったものだ。しかし、目の前にいるのは本来のホイットニーではないのだ。
「リチャードは彼女を気に入ってると思うよ」
 ホイットニーはきかずにはいられなかった。「あなたは?」
 彼女はまことに率直だ。僕かい? サリーが僕のベッドに入ってきたとしたら、追い出しはしないだろうね。ゼーンはそう答えそうになったが、かろうじて思いとどまった。事情が事情だから、そのような発言は避けたほうが賢明だ。
「僕には君がいるんだよ」ゼーンはホイットニーのこめかみに口づけをした。「なぜ、別の女に目をつけるんだ?」
 サリーに目をつけない男がいるだろうか? ホイットニーの胸を疑念がよぎったが、それにしてもゼーンの言葉は耳に快く響いた。嘘だとしても、やはりうれしい。
 クイントンのテーブルの直前で、ホイットニーは足を止めた。そして背伸びすると、両のてのひらをゼーンの頬に添えてキスをした。唇が合う寸前の彼の驚いた表情が、おかしかった。
 ホイットニーが耐えているに違いない困難を、ゼーンははっきり理解した。唇が触れ合った瞬間、彼の頭の中は完全な空白と化し、思考が、記憶が、すべてが、消え去った。彼女の唇がもたらした、めくるめく陶酔以外の、すべてが。胸に驚嘆の思いが広がる間にも、血がたぎりたった。
 ゼーンは思わず彼女を胸に抱き寄せ、口づけを深めた。ホイットニーか? これが、ホイットニーなのか? 彼女の額のあのこぶは、いったい彼女に何をしたのだ? そして、彼女は僕に何をしている?
 足もとの亀裂が広がって、ゼーンに空間と時間を超えさせた。
 うおーっ――心の中のその叫びは何も語らなかった。そして、すべてを語っていた。
 ホイットニーは彼の首に両腕を絡めた。なんてすてきな気分だろう。ゼーンの腕の中で、彼のキスの下に、自分自身の一部を発見したかのようだ。残りもどこかにあるに違いない。ゼーンと一緒にホテルのスイートに引き返して、その残りを発見したい。
 クイントンの低いくすくす笑いが、ホイットニーを突如、現実に引き戻した。
 ため息とともに、ホイットニーは唇をゼーンの唇から引き離した。しかし、胸の狂おしい高鳴りが静まるのには、さらに数分を要した。
「いやはや、やっとわかりましたぞ、遅刻の理由が」
 クイントンは腹を抱えて笑った。笑み崩れているにもかかわらず、何かがホイットニーをぞっとさせた。
「火を消すために、あなたがたの頭の上からシャンパン・クーラーの氷をぶっかけなくてはならないんじゃないか? そう、いぶかっていたところです」
 ゼーンはホイットニーから身を引いた、ただし片腕は彼女のウエストに回しておいた。今のひと幕は誤りだった。新婚のカップルを演じるとしても、その役に我を忘れて熱中することは想定されていなかった。ホイットニーに反応したのは、僕の内の、プロにあるまじき気の緩みだ。感情が仕事に立ち入るすきは、一度も与えたことがないのだが……。くれぐれも注意しなくては。
 頭を冷やそうと努めながら、ゼーンはホイットニーのために椅子を引き出した。
「失礼しました、場所をわきまえなくて」それは事実だったが、もうあってはならないことだ。
 小さな、深くくぼんだ目が、ホイットニーの全身を眺め回した。「君を責められないよ。私が彼女と結婚したばかりだとしたら、少なくとも一週間はスイートに閉じ込めておくだろうな。裸で」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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