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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

熱い闇

熱い闇


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

これまでひたむきに勉学に励んできたキャロラインは、あまりに奥手で、異性にたいして素直にふるまうすべを知らない。そんなキャロラインが、病で倒れた同僚に代わって、男社会ともいえる仕事場に突如放りこまれることになった。そこで彼女を待っていたのは、数々の功績を築き、要求の厳しさで部下から畏れられる上役のジョー・マッケンジー。ジョーのオフィスにおもむいたキャロラインは、彼女の身元調査ファイルを手にした彼の言葉に、耳を疑った。「君は男とつきあったことがない。男ばかりのこの職場ではトラブルのもとになる。連中が手を出せないように、僕のものになれ」

■大スター作家、リンダ・ハワードが描いた伝説の〈マッケンジー家〉シリーズ第2話。第1話の主人公ウルフの長男で、頭脳明晰なジョーの物語です。ひとたび愛するターゲットを見つけたら、もう誰にも止められない――“ロマンスの女帝”が生んだ至高のヒーロー像!

抄録

ジョーは開いていた戸口に近づき、一瞬そこに立って中の様子を観察した。中にはひとりの女性がいた。見たことのない顔だ。きっとこれが例の“ミス・ユニバース”だろう。もし会ったことがあれば覚えているはずだ。
見ているだけなら、彼女は少しも苦にならない。それは確かだ。ジョーの姿勢がしだいにこわばり、全身の筋肉が緊張して警戒態勢に入った。疲れているにもかかわらず、急にアドレナリンがうなりをあげて血管を駆けめぐりはじめ、五感のすべてが鋭くとぎ澄まされた。ちょうどアフターバーナーを全開にして急加速するときの感覚だ。
彼女は膝丈よりもかなり短い赤いタイトスカートをはいていた。靴を脱ぎ、椅子の背にもたれて、両足をデスクの上にのせている。ジョーはドアの枠に肩で寄りかかり、彼女のすらりとした脚をじっくりながめた。ストッキングははいていない。この暑さでは当然だろう。きれいな脚だ。きれいどころか、見事といってもいい。
彼女はコンピュータからプリントした書類の束を膝にのせ、項目をひとつずつ目で追いながら、ときどき横に置いたテキストブックで何か調べている。頻繁に手を伸ばすかたわらのカップには、薄緑色の茶がかすかな湯気を立てている。髪は淡い金色で、額からきれいにかき上げられ、肩の上ではずんでいる。顔は片側しか見えないが、高い頬骨とふっくらした唇はわかる。
急に、ジョーは彼女を振り向かせたくなった。彼女の目を見て声を聞きたくなった。
「今夜はそれぐらいにしたらどうかな」彼は言った。
女は押し殺した叫び声をあげて椅子から飛び上がった。茶が片側にこぼれ、書類が反対側に飛び散り、長い脚が床に振り下ろされ、椅子がくるくる回転しながら部屋を横切ってファイリングキャビネットにぶつかった。まるで心臓の鼓動を押さえつけようとするように、彼女は胸に片手を押しあてて振り向いた。なかなか形のいい胸だ、とジョーは思った。胸にあてた片手がコットンのブラウスをぴったり肌に押しつけているので、それがよくわかる。
怒りの表情が稲妻のように彼女の顔をよぎって消えたかと思うと、目が丸くなった。「驚いたわ」彼女は押し殺した声で言った。「G・I・ジョーじゃない」
G・I・ジョーはあのバービー人形の男性版のことだろう。その皮肉を察し、ジョーは黒い眉を上げた。「大佐のG・I・ジョーだ」
「でしょうね」彼女はさも感心したように応じた。「いかにも大佐さんだわ。それに指輪持ち」彼女はジョーがはめている士官学校の指輪を指さして続けた。指輪持ちは士官学校の卒業生を指す言葉だが、ほめ言葉とは言えない。「どこかの大佐を襲って、記章を奪って、若づくりの美容整形をして、髪を黒く染めたか、さもなければすごく強力なコネのあるスポンサーに昇進させてもらったのね」
ジョーは表情を変えなかった。「単に仕事ができるってことかもしれないよ」
「実力の昇進?」そんなことはありえない、考えるのもばかばかしい、という顔だ。「まさか」
ジョーは自分に対して女性が示すさまざまな反応に慣れっこになっていた。ある者は魅了され、ある者はおじけづくが、必ずその根元には強烈な異性意識がある。それに好意とまではいかなくても、尊敬を要求する女性もよくいる。しかしキャロライン・エヴァンスの表情はそのどれとも違った。彼女はジョーから一瞬も目を離さず、ガンマンのように鋭い目でじっと見つめている。そう、それだ。彼女はまるで敵対者のようだ。
ジョーはドア枠から離れて真っすぐに立ち、片手を差し出した。今の状況を純粋に職業上のものにして自分の立場を明確にしよう。急にそう決意したのだ。「開発計画担当士官のジョー・マッケンジー大佐だ」軍務規則では、握手をするかしないかは女性が決めることになっている。男性士官は女性に対して決して自分から手を差し出すべきではない。しかしジョーは彼女の手に触れたかった。相手の意思に任せたら、そんな接触さえ許されない気がした。
彼女はためらわず、しっかりとジョーの手を握った。「ボイス・ウォルトンの代わりをつとめるキャロライン・エヴァンスです」二回ほど素早く手を上下すると、彼女は手を引っ込めた。
キャロラインは靴をはいていないので、身長はかなり正確に見当がついた。百六十センチ強。頭のてっぺんはジョーの鎖骨のあたりまでしかない。彼と目を合わせるためには見上げなければならないが、それでも体格の違いに臆する様子はまったくなかった。目は暗緑色で、それを縁どるまつげも眉も暗色だ。つまり彼女の金髪は染めたものらしい。
ジョーは床に散らばった書類を顎で示した。「なぜこんなに遅くまで働いてるんだい?しかも今日は君にとっては初日だろう。何か僕が知る必要のある問題でもあるのかな?」
「いいえ、私の知る限りは」キャロラインは答え、身をかがめて書類を拾った。「ただ、ある項目について再確認していただけです」
「なぜ?なぜそうしようと思ったんだ?」
キャロラインはいらだった目を向けた。「私はなんでも再確認しないと気がすまないたちなんです。家を出るときはオーブンやアイロンのスイッチが切ってあってドアに鍵がかかっていることを二度確認するし、道路を横切るときは左右を二度確認するわ」
「何か問題を見つけたわけじゃないんだね?」
「もちろんよ。それはもう言ったでしょう」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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