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いつも同じ空の下で

いつも同じ空の下で


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

あなたは恋人で家族で親友で、わたしの人生のすべて――夫婦の愛と絆を描ききった、人気作家シャロン・サラの珠玉作!

シェリーの人生でいちばん幸運だったのは、初恋相手が人生の伴侶になったことだ。ハイスクールでの出会いから何年たっても、シェリーは少女のような気持ちで夫に恋をしつづけ、ジャックも情熱的な愛で応えてくれる。ここ数年、FBIの潜入捜査官である彼とは離ればなれの日々だったものの、いま捜査中の事件が解決すれば、またふたり一緒に暮らせるのだ……。しかし、運命は残酷にも、ジャックが捜査中に凶弾に倒れ、行方不明になったという知らせを届ける。夫婦の絆を試すかのように、涙にくれる彼女をさらなる試練が襲い――。

抄録

ジャックは車に乗るなり、ダッシュボードの小物入れから使い捨ての携帯電話を取りだし、発進しながらシェリーにかけた。鳴りつづける呼び出し音に動揺しかけたとき、シェリーの声が聞こえて、妻が眠っていたことを悟った。つまり家にいたことを。くそっ。異常事態でもないかぎり、シェリーが就業時間内に職場を離れることはないのに。
「ベイビー、おれだ」
シェリーが息を呑み、泣きだすのが聞こえた。
「あなたの声が聞けてすごくうれしい」シェリーが言う。
「きみになにがあったか、ニュースで見たよ。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。ひったくりでは怪我しなかったけど、暑いなかに延々立たされたせいで気を失ったの」
ジャックはうめいた。「いまはもう平気か?」
「ええ、もう平気。ミッツィが家に帰れと言ってくれてね、言われたとおりにしてよかったわ」
ジャックは胸を痛め、それが声に出た。これほど長いあいだ妻を一人にしているという罪悪感が消えることはない。「きみがおれを必要としてるときに、そばにいてやれないなんてな。だがこれから三十六時間以内に進展があって、この任務は終わるはずなんだ。許してくれ、ベイビー。家に帰れるときが待ち遠しいよ」
シェリーはTシャツの裾で涙を拭いた。「いつまでだって待ってるわ。どうか、ぶじでいて。わたしの望みはそれだけ」
「わかった。そろそろ切るよ。じきに昼間の高速に突入だ。愛してる」
「負けないくらい愛してる」シェリーは言い、通話を終えた。
電話が切れた感覚は、ジャックの骨の髄まで染みた。携帯をコンソールに放ると、一般道から高速道路に乗り入れて、ヒューストンの指定最高速度である飛ぶようなスピードまで加速した。
四十五分でアパートメントに到着した。停車して、外階段を三階まで駆けあがり、外廊下を進んで三五五号室にたどり着く。
玄関の鍵をいじられていないか確認してからなかに入り、ドアに鍵をかけた。カーテンもブラインドもすべて閉ざされているので室内は暗いが、それでもブラインドの隙間から射しこむ光でスムーズに動ける。廊下で足を止め、エアコンの設定温度を五度さげた。涼しいなかで眠るのが好きなのだ。それから寝室に移動して服を脱いだ。
バスルームに入って明かりを点け、一日ぶんの無精ひげとくしゃくしゃの髪を眺めながら、シャワーの栓をひねった。湯気がのぼりはじめるやいなや流れる湯の下に立ち、清潔になったと感じられるよう、全身を石鹸で二度、髪も二度洗った。シャワーを出る前にシェービングクリームと剃刀を手にしたが、躊躇して、両方とも棚に戻した。清潔になるのはいいとしても、身だしなみが整っているように見えるのは、よろしくない。タオルで髪を乾かして、体を拭った。
ドライヤーを捜していたとき、曇った鏡に何者かの姿をとらえて、ぎょっとした。一瞬何者が忍びこんだのかと思ったが、よく見れば自分だった。
「くそっ」ジャックは言い、タオルでごしごしと鏡を拭った。常に苛立って、常に警戒している。職業柄、仕方ない。だが鏡に映った自分に驚くとなると。任務の終わりが待ち遠しい。
鏡面に片手を走らせて水滴を拭った。本人としては平凡な顔だ。やや角ばったあごは、いまは黒いひげに覆われている。シェリーには“わたしのセクシーガイ”と呼ばれるものの、鏡に映っているのはありふれた顔立ちと、二度骨が折れたことのある鼻だけだ。目は父親似で、髪と同じく真っ黒。
父を思うといつもの悲しみに胸を刺された。両親はとうに亡くなった。
今回は潜入捜査が長すぎて、“ふつう”を思い出すのが難しくなりかけていた。だが今日知ったことのおかげで、風向きが変わるかもしれない。
バスルームから寝室に戻り、ベッドのシーツをめくって腰かけると、携帯電話を取りだして、FBIの窓口であるチャーリー・モリスにかけた。
チャーリーは即座に電話に出た。「モリス特別捜査官」
「おれだ。情報がある」
「聞こう」チャーリーは簡潔に応じた。
「ある特別な船荷が、金曜の午前三時に倉庫に届く。届きしだい、コンテナにのせる。行き先はわからないが、なんであれ密輸品には違いない。そうでなければほかの船荷と同様、昼間に作業をするはずだ」
「でかした」チャーリーは言った。「チームに報告する。それから忘れるな、おまえもほかの連中と一緒に逮捕されるんだぞ」
「ああ、わかってる。この仕事にはうんざりだ」ジャックは言った。
「だろうな」チャーリーは言った。「ぶじを祈る」
「ありがとう」ジャックは言って電話を切り、横向きに寝転がってシーツをかぶると、枕に頭が触れて一分と経たないうちに眠りについた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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