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愛は命がけ【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】

愛は命がけ【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

母と弟を亡くした悲しみが今も消えないベアリー。そんな彼女がある日、何者かに連れ去られ、異国で囚われの身となった。暗い部屋でじっと心身の痛みに耐えるベアリーのもとへ、黒い影が――「合衆国の救出隊員、ゼイン・マッケンジーだ」ゼインに導かれて建物を抜け出し、別の場所で深夜まで身を潜めた。その間、ベアリーは彼の強さと優しさに激しく惹かれ、命がけの状況のなか救いを求めるように、純潔を捧げたのだった。それから2カ月。あの夜の結果、人知れず小さな命を宿したベアリーは、事件後、なぜかゼインと彼女を会わせまいと妨害する父を避け、密かに姿をくらまそうと考えていた。そこへ突然、ゼインが現れる!

■ひとたび愛するターゲットを定めたら、もう誰も止められない――危険な色香をもつパーフェクトなヒーロー像が熱い支持を集める、大スター作家リンダ・ハワードの〈マッケンジー家〉シリーズ第3話をお届けします。屈強な四男、ゼインの情熱ほとばしる物語!
*本書は、MIRA文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「こちら一号。Bに移れ」
抑揚のない低いささやき声にベアリーはぎょっとした。意味がわからず、困惑したように彼を見つめる。疲労で頭がぼんやりして、無線機に話しかけているのだと気づくまでにはちょっと間があった。むろん彼には仲間がいるのだ。チームを組んで救出に来てくれたのだ。このビルから抜けだしさえすれば、どこかでヘリコプターなりトラックなり船なりが待っているのだろう。いや、自転車でも構わない。必要とあらば裸足のまま歩いて逃げることもいとわない。
でも、その前にこのビルから出なくては。当初の予定では犯人グループに気づかれないよう窓から脱出するつもりだったのだろうが、何か手違いがあって彼の仲間が見つかってしまったのだ。これでわたしたちはこの部屋にかんづめになり、ほかの仲間とは合流できなくなってしまった。
長時間恐怖と苦痛と空腹に耐えてきた反動が、いまベアリーの体を揺さぶりはじめた。脚から胴へと小刻みな震えが広がってきて、ついには体じゅうがどうしようもなくわななきだす。
彼に寄りかかりたいが、彼の動きを妨げるはめになるのが心配だ。わたしの命は――それに彼の命も――彼の腕ひとつにかかっているのだ。何も協力はできないけれど、せめて邪魔だけはするまい。それでもどうしても寄りかかるものがほしくて、ベアリーは壁を伝ってそっと奥に移動しようとした。音をたてないよう注意したつもりだが、気配を察した彼がちらとふりむいて片手で彼女をつかまえた。何も言わず、自分の背後に引きよせる。すぐに場所を移動しなければならなくなったときのために、ベアリーを手の届くところに置いておきたいのだ。
彼がすぐそばにいると、ベアリーは不思議に安心できた。誘拐犯の連中に恐怖と屈辱をいやというほど味わわされ、寒くて暗い部屋に裸で監禁されたときには、もう二度と男性を信じることができなくなってしまうのではないかと思った。でも、少なくともこの男性は信じられる。
ベアリーはありがたく彼の背に頭をもたせかけた。ちょっとのあいだでもそうやって体を休めたかった。ごわごわしたベストの生地を通して彼のぬくもりが伝わってくる。彼は匂いさえあたたかかった。すがすがしい汗と官能的な男の匂いがまじりあって緊張感にあたためられ、最高級のウィスキーのような芳香を立ちのぼらせている。マッケンジー。彼はさっきそう名乗った。
ああ神さま、彼はこんなにあたたかいのに、わたしはまだ寒い。裸足で踏んでいる石の床からしんしんと冷気が這いあがってくる。彼が着せてくれたシャツは大きくて膝にかかるほど長いが、その下は真っ裸なのだ。全身がとめようもなくがたがたと震えている。
それでもがらんとした暗い部屋にじっとたたずみ、怒号や遠くの銃声がやむのを長いこと待ちつづけているうちに、ベアリーは彼の背に頭を押しつけたまま軽いまどろみに誘われた。彼は堅固な岩のようにどっしりとして、微動だにしない。その根気と体力はベアリーの想像をはるかに超えていた。同じ姿勢で立ちつくしているのはつらいだろうに、身じろぎしようとする気配すらない。ただゆっくりとした規則正しい呼吸のリズムが伝わってくるだけだ。こうして寄りかかっていると、その心地よいリズムは、まるでいかだに乗って穏やかな水面を漂っているようにゆったりと優しく……。
はっと目を覚ますと、彼が手だけ伸ばしてベアリーの体を軽く揺さぶっていた。「連中はぼくたちがうまく脱出したと思っている。いまこの部屋のようすをチェックするから、音をたてないようにじっとしてて」とマッケンジーはささやいた。
彼のあたたかな体から身を引きはがすのは泣きたいほどつらかったけれど、ベアリーは素直に体を引いた。彼はフラッシュライトをつけたが、室内に伸びた光線はやけに細かった。レンズの大部分が黒いテープでおおわれているのだ。彼がその光を室内にめぐらすと、壁際に古い箱がいくつか積みあげられている以外何もないことがわかった。部屋の四隅には蜘蛛の巣が張っており、床には厚くほこりが積もっている。奥にはひとつだけ窓があったが、マッケンジーは外に光がもれないようその周辺には光線を近づけなかった。どうやらこの部屋は長いあいだ使われていなかったようだ。
彼はつと身をかがめ、ベアリーの耳に口を近づけた。あたたかな息がひとつひとつの言葉とともに彼女の全身に送りこまれる。「ぼくの部下がぼくたちはまんまと脱出したように見せかけていったが、明日の晩まではもう連絡がとれないだろう。それまでもっと安全なところに隠れていなければならない。このビルの内部のようすはわかっているかい?」
ベアリーはかぶりをふってから爪先立ちになって、彼の耳もとにささやきかえした。「さっきの部屋に入れられるまで、ずっと目隠しされていたの」
彼は小さくうなずいて体を起こした。その分ちょっと体が離れただけで、ベアリーはまた見捨てられたような心細い気持になった。いまは少しでも彼にくっついていたかった。体を寄りそわせ、彼のぬくもりにひたって、ひとりぼっちではないのだと安心したかった。あのおぞましい犯人グループからかばってくれるたくましい力を、この身に直接感じたかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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