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一夜の夢が覚めたとき【MIRA文庫版】

一夜の夢が覚めたとき【MIRA文庫版】


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マヤ・バンクス(Maya Banks)
 幼いころからロマンスを愛読し、作家になることを夢見ていた。十代になると毎日ノートを持ち歩き、想像のふくらむまま過激な愛と情熱の物語を書き続けるようになる。現在の話はそのときのものほど過激ではないが、ロマンティックという点では引けを取らない。現在は夫と三人の子供とともにテキサスで暮らしている。狩猟や釣り、ポーカーを好む。

解説

星がきれいなあの夜に、運命の歯車は回りはじめた――大人気作家が贈る、心揺さぶる激しい恋物語。

楽園のような島でホテルオーナーのアシスタントの職を得たジュエルは、出勤日を控えたある夜、一人の男に声をかけられた。黒髪で端整な顔つきに堂々とした物腰――甘く誘われ、柄にもなく素性のわからぬ相手と一夜を過ごしてしまったジュエル。互いに名前も告げずに別れたが、出勤初日、オーナーのオフィスで待っていたのはその彼、ギリシア人富豪ピアズだった。しかもジュエルに気づいた彼は、なんの説明もないまま彼女を即刻解雇する。そんな冷淡な仕打ちに追い打ちをかけるように、ピアズの子がお腹にいるとわかり……。
*本書は、ハーレクイン・デジタルから既に配信されている作品のMIRA文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「出かけようかやめようか、迷っているの」
男性が片方の眉を上げた。そのしぐさはもの問いたげというより、挑戦的に見えた。
「出かけなければ一杯おごれない」
ジュエルは小さくほほえみ、体のなかでふくれ上がる緊張をほぐした。免疫がまったくないわけではないけれど、この前こんなに強く男性に惹かれたのはいつだろう。
話しかけられたとたん、導火線に火がついたようだった。彼の目が投げかける無言の誘いを受ける?一杯おごりたいと言われたのはわかったけれど、彼の目的はそれだけじゃないはず。問題は、その申し出を受けるほど、わたしが大胆になれるかどうかということだ。
一夜の情事でなにが傷つくというの?わたしは好みがうるさく、この二年間、恋人はいなかった。そうしたことに興味さえなかった。セクシーな笑顔と傲慢さをもった、この黒い目の男性に出会うまで。彼がほしい。ぞくぞくするほどに。
「ここへは休暇で来ているの?」ジュエルはまつげの下から彼を見上げてきいた。
彼の唇が小さく弧を描いた。「そんなところだ」
ジュエルはほっとした。一夜だけなら傷つくことはないだろう。彼はすぐに自分の世界に戻る。わたしは前に進み、ふたりの道は二度と交差しない。
今夜のわたしは孤独だ。多くの時間をひとりですごしていても、いつもはあまり感じなかったのに。
「一杯飲みたいわ」
男性の目が獲物をねらうように光った。その光は灯ったときと同じくらいすぐに消えた。彼は、自分のものだというようにジュエルの肘をつかんだ。
触れられた瞬間、彼女は目をとじて体を焦がすような熱い衝撃を楽しんだ。
夜の空気のなかに出ると、ジャズの低いサウンドに合わせて松明の光が躍っていた。潮風が髪を吹き上げる。ジュエルは深く息を吸って風に含まれる塩気を味わった。
「その前に踊ろう」彼が耳元でささやいた。
返事を待たずに彼はジュエルを抱き寄せ、ふたりの体はぴたりとくっついた。ジュエルは体が溶け合い、どこからが自分の体かわからなくなってしまった気がした。
彼がジュエルのこめかみのあたりに頬をつけた。たくましい腕に守られているのを感じながら、ジュエルは両腕を彼の首にまわした。
「きみは美しい」
その言葉は温かい蜂蜜のようにジュエルの耳を満たした。独創的な台詞ではないけれど、彼がめったなことでは口にしない正直な評価、真剣な褒め言葉にきこえた。
「あなたも」ジュエルがささやいた。
彼が小声で笑い、その声がジュエルの感じやすくなっている肌をふるわせた。「僕が美しい?喜んでいいのか怒っていいのかわからないな」
「あなたを美しいと言ったのはわたしが初めてじゃないでしょう」
彼が、背中があいたドレスを着たジュエルの、あらわになった肌に両手をはわせた。ジュエルは息をのんだ。触れられた部分が焼けるように熱い。
「きみも感じているね」彼は低く言った。
ジュエルは意味がわからないふりはしなかった。ふたりは今にも燃え上がりそうで、こんな経験は初めてだ。そのことを彼に言うつもりはないけれど。
ジュエルはただうなずいた。
「ふたりでこれをどうにかしようか?」
ジュエルは彼の目を見た。「そうしたいわ」
「はっきり言うんだね。そういう女性は好きだ」
「わたしも、はっきりした男の人が好き」
彼はおもしろがるように視線をやわらげたが、ジュエルはその表情に欲望を見た。わたしが彼を求めているのと同じくらい、彼もわたしを求めている。
「僕の部屋で飲んでもいいよ」
ジュエルは息をのんだ。彼がなにを求めているのかはわかっていたが、今の誘いは衝撃的だった。彼の体に密着した胸が張りつめ、欲望が体の奥で花ひらいた。
「でも……」ジュエルはためらった。決断力あるいつもの彼女らしくない。
「でも、なんだい?」
「避妊していなくて」その声はまわりの音にかき消されそうだった。
彼は指でジュエルの顔を上げさせ、目と目を合わせた。「僕がちゃんとする」
そのきっぱりとした言葉は、彼の腕以上にしっかりとジュエルを包み込んだ。彼女は一瞬、一生こんなふうに守ってくれる男性がいたらどんなだろう、と想像した。だが、すぐに頭をふった。そんなことを考えてはだめ。これは今夜限りの夢よ。
ジュエルはつま先立って彼の唇を唇でかすめた。「あなたの部屋番号は?」
「僕が案内するよ」
ジュエルが首をふると、彼は眉をひそめた。「部屋で会いましょう」
信じていいかどうかわからないというように一瞬彼は目を細めたが、突然、ジュエルのうなじに手をやって唇を彼女の唇に押し当てた。
彼女は体がとろけそうになり、床にくずおれてしまわないよう足に力をこめた。
彼がジュエルの唇をひらかせ、舌をすべり込ませた。熱く湿った唇、むさぼるようなキス。彼はジュエルの呼吸を奪い、また返してきた。唇を歯でこすり、かみ、引っ張る。彼女は受け身でいたくなくて情熱的に彼の舌を吸った。
彼の苦しげな声がジュエルの耳に響いた。彼女のため息が彼の口のなかにもれる。
彼がようやく体を離した。息が荒く、目が危険なほど光っていて、ジュエルは身ぶるいした。
彼がカードキーをジュエルの手に押しつけた。「最上階。スイートの十一番だ。急いでくれ」
そう言うなり彼は背を向け、ホテルに戻っていった。
ジュエルは体がざわつき、落ち着かない気分で彼の背中を見つめた。すっかり骨ぬきにされている。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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