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溺甘クルーズ〜御曹司は身代わり婚約者に夢中です〜

溺甘クルーズ〜御曹司は身代わり婚約者に夢中です〜


発行: マーマレード文庫
レーベル: マーマレード文庫
価格:600pt
形式:MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
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解説

俺に抱かれて、後悔している?海運王と世界一周!?
豪華客船から始まるロマンティックラブ

念願だった豪華客船の世界一周旅行に出発した千花子。ある事情から客船のオーナー一族の御曹司・聖人のスイートで世話になることに。完璧なエスコートに楽しい観光、ダンスやマナーの手ほどきなど、何かと気遣ってくれる聖人からの「婚約者の振りをして欲しい」というお願いを断れない。でも彼を知るほど好きになってしまい…。期間限定の恋の行方は!?

抄録

聖人さんは私を、「立ち入り禁止」と書かれてある十三デッキに案内した。そこへ向かう間、彼は私の背に軽く手を置き自然なしぐさでエスコートする。
やっぱり彼には、ギリシャ人の血が流れているのかもしれない。
「ヴェネツィア」と金色のプレートに黒字で書かれた部屋の中へ進まされると、そこはレストランのような部屋だった。テーブルは四人掛けが一卓のみ。
ぽかんとする私に、聖人さんはイスを引く。
「連れの男性、もしくは案内係にイスを引かれたら座るんだ。カジュアルなレストランでは、案内係はイスを引かないこともあるが。さあ、そうされるのが当然のように座ってみて」
「は、はい」
イスの前に立ち素直に腰を下ろすと、聖人さんは私の対面へ移動して席に着く。
「今日はイタリアンだ。イタリアンはフレンチに比べて品数が少ない。よってカトラリーも簡単だ」
「あの、迷惑をかけていますよね……?」
テーブルマナーを教えてもらうのは今後に役立つかもしれないけど、聖人さんの時間を使わせてしまうのは申し訳ない。
彼の様子をうかがうと、聖人さんはフッと笑みをこぼした。
「安心しろ。迷惑だったら最初からこんな提案はしない。どのみち、食事はするものだろう?」
聖人さんに安心しろと言われると、本当にそう思えてくるから不思議だ。お言葉に甘えて、ありがたくレッスンを受けよう。
緊張が解けて、肩に入っていた力が抜けた。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします!」
「まずはナプキンだ。ナプキンは着席してすぐに広げない。主催者、もしくは目上の者が取ってから手にすること」
白いナプキンを大きく一枚に広げて膝の上に置こうとすると、さっそくダメ出しされる。
「ナプキンは半分に折り膝にかける。その際、折り目は自分側だ。口元を拭くときはナプキンの内側で拭く。そうすれば汚れは目立たないだろう」
そうだったのかと、目からうろこ状態でこくこくと頷く。
「食事中に中座するのはマナー違反とされているが、やむをえず中座する場合ナプキンは軽く畳んでイスの上に置く。食後の退席時には、きちんと畳まずテーブルに置くこと。きっちり畳むと、食事に不満がある意味に受け取られるから気をつけて」
「いろいろあるんですね。わかりました!」
感心していると、さっそく前菜が運ばれてきた。レストランのスタッフから白身魚のカルパッチョだと説明を受ける。
「ナイフとフォークは外側から使う。もし落としてしまったときは、自分で拾わずにスタッフに頼むんだ」
聖人さんは、両端のナイフとフォークを手にして私に見せる。
そのとき、船体がフワッと上下に揺れた。
「きゃっ!」
思わず悲鳴を上げてしまい、大きな揺れに胃が不快感を覚える。
「今日は時化ているせいで海が荒れているな。大丈夫か?」
「……はい。今のは、びっくりしました」
無意識に手をみぞおちにやってしまい、聖人さんは気遣わしげな顔になる。
「本当に?気分が悪くなったらすぐに言ってくれ」
「さっき、酔い止めの薬を飲んだので大丈夫かと……」
「それならいいが……。では、いただこうか」
私もナイフとフォークを手に持って食べはじめる。
「聖人さんは、船酔いはしないんですか?」
「船には幼い頃から乗っているからな。ひどく酔ったときもあったが、さすがに慣れてどんな揺れでも酔わなくなった」
「そう言えるほど、船にはよく乗るんですね」
こんな素敵なレストランで、洗練された大人の男性と食事をしたことなんてなかったから、緊張していたけど。
聖人さんと過ごす時間は、意外なほど居心地がいい。
「普段、ギリシャにある本社へは飛行機で行くが、二、三年に一度は休暇も兼ねて船に乗っている。海が好きなんだ」
目を優しく細めて、聖人さんは言う。
「広大な海原を見つめていると心が落ち着き、考えがまとまる。もちろん癒やされもする。力強い自然を前にすれば、自分がちっぽけな人間だと知らしめられ、自身を振り返ることもできる」
聖人さんの言葉に私が感慨深く頷いたところへ、アーティチョークときのこのトマトソースパスタが運ばれてきた。
「女性のひとり旅は、我が社にとってもめったにないことだ。なぜ参加をしたのか聞いていいかい?」
「はい!豪華客船に乗って世界を旅するのが夢だったんです」
私は水を得た魚のように意気揚々と話す。
「夢?」
聖人さんは、ぴんとこないようで首を傾げる。
「私が小さい頃、祖父母が豪華客船で世界一周をしたんです。子どもだった私は、おばあちゃんからその話を聞くのが楽しみで。いつか絶対に自分も乗ると決めて、高校生からアルバイトを始めて貯金をしてきたんです」
「すごいな。旅費はすべて自分で貯めたのか?」
「はい」
私が頷くと、聖人さんは感心したような表情になる。
「だが、君はとても若く見える。そんなに早く貯まるものなのか?」
「いくつに見えているのかわかりませんが、私は二十五歳です。学生時代のアルバイトと、大学卒業後に就職した会社で貯金に励みまして……。でも、いざ目標額が見えてきたとき、祖父母の行ったコースがなかったんですよね」
貯金は順調に貯まっていたのに、目当てのコースが見当たらなかったときの、あの絶望を思い出す。きっと今の私は、遠い目をしていることだろう。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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