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無邪気な愛人

無邪気な愛人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・ハミルトン(Diana Hamilton)
 イギリスの作家。ロマンチストで、一目で恋に落ち結ばれた夫との間に三人の子供をもうけた。就寝前の子供たちにベッドで読み聞かせるために物語を書きはじめる。ロマンス小説家としてのデビューは1987年、その後数多くの名作を世に送る。2009年5月、ファンや作家仲間に惜しまれつつ亡くなった。

解説

 ボニーは療養看護のため、あるギリシア人富豪の元に派遣された。その老人には、かつてひどい仕打ちをした息子ディミトリがいるが、今になって次々と会社を買収され、窮地に陥っているのだという。かりにも自分の父親に対して、なんて非人間的な行為なの! 老人に同情したボニーは、ディミトリと話そうとギリシアに向かった。
 静かなギリシアの小島で、ディミトリは足をくじいた女性を助けた。そして、その女性が父親の愛人と思われるボニーだと知って驚いた。父から頼まれ、次はこの僕を女の魅力で懐柔しようとしているのか? 幸い、ボニーは僕がディミトリだとは気づいていない。それなら、父への復讐として、今度は僕がボニーを愛人にしてやる。

 ■ 人気作家ダイアナ・ハミルトンがギリシアを舞台に描く、愛と憎しみの交錯するストーリーです。

抄録

 ディミトリは御影石を敷きつめたテラスにボニーを運ぶと、クッションをのせた籐椅子の上にそっと下ろした。テラスを覆う蔦が、強い日差しをさえぎって涼しげな日陰をつくり出している。まつげの濃い厚いまぶたの下から、彼はボニーの体をこっそりと観察した。胸がはちきれそうで、ウエストはきゅっと締まり、ヒップの丸みがなんとも魅力的だ。その視線がふっくらとした唇の上で止まった。
 超一級の愛人。
 それだけはまちがいない。
 だが、ディミトリが知るかぎり、父親は金のかかる愛人を囲ったりはしない。ジャングルで獲物を追う野生の猫のように、気取られることなく何年にもわたって父親という敵を追ってきたのだから、まちがいはない。
 決まった愛人をもてば、金と時間がかかる。
 父親はそんな無駄なことをする人間ではないのだ。
 だが、妻となればまた違ってくる。安心してほうっておくことができるし、必要なときだけ使う家具と同等に扱うこともできる。浮気をするとしても、せいぜいが屋敷の裏階段でメイドに手をつけるぐらいなのだろう。かわいそうな母親が、そのいい例だ。
 となれば、このろくでなし女が狙っているのは結婚指輪ということになる。見たところ、雇主にあこがれているだけの、無邪気で愚かな美人ではなさそうだ。違う、この女はそれほど愚かではない。
 だが、見かけの印象だけで物事を判断するのは危険だ。ディミトリは心のなかで、これまでの経過をあれこれ分析してみた。父親はここ数カ月表にはいっさい姿をあらわさず、豪華な屋敷に身を隠している。このブロンドと一緒に?
 あの写真で見たかぎり、彼女はすでに父親の生活に深く入りこんでいて、そばを離れず、親密な関係を築いている。となれば、アンドレアス・パパディアマントスが三度目の妻を迎えるという記事が新聞をにぎわすのも、そう先のことではなさそうだ。
 アンドレアスはきっと有頂天だろう。これほどまでに美しい女性が、老いた骨と、冷たいベッドを温めてくれるのだから。
 だが、そうはさせない。
 楽しい仕事になりそうだ。父親を経済的に追いつめていくことに負けないくらい痛快な仕事だ。
 ボニーはクッションの上で、もじもじしていた。スタブロスに見つめられると、自分でもあきれるほどそわそわしてしまう。
 彼の視線が動くたびに、見つめられたところが、実際に触れられでもしたかのようにかっと熱くなる。胸がどきどきして、肌がちりちりと焼かれ、温かいけだるさが体じゅうに広がっていく。頭が真っ白になって、トップスの薄い生地の下で胸の先がそれとわかるほど硬くなるのを止めることもできない。この人と一緒にいると、自分が真面目(まじめ)で、地に足のついた人間であることさえ忘れてしまう。
 だけど過ちは一度でたくさんだ。同じ過ちをくり返さないように、くれぐれも用心しなくては。
 体のうちに立ちのぼってくる性的な緊張をゆるめるために、ボニーはさりげない話題を探した。だが、先に口を開いて、彼女を窮地から救ってくれたのはスタブロスのほうだった。
「その足首の手当をしよう。ちょっと待っててくれないか」
 スタブロスが姿を消し、ボニーはほっとしたように息を吸いこんだ。もう大丈夫。たしかにスタブロスは魅力的で、しかも驚くほどのカリスマ性をもっている。だが、もっと肝心なのはスタブロスが地元の人間で、富豪の別荘で働いているという事実だ。となると、もしかしたらスタブロスは、なかなか見つからないディミトリ・キリアキスの居場所を知っているかもしれない。
 アンドレアスが言っていたように、老人と縁を切った息子がこの島に来る回数は、そう多くはないようだ。しかしこの島の人のほとんどは、畑仕事や漁業で生計を立てている。退屈な島の生活のなかでは、名だたる富豪たちがいま、島に来ているかいないかは格好の話題になるはずだ。
 それに気づいたボニーは、スタブロスが薬や救急用品を山ほど抱えて戻ってきたとき、輝くような笑みで迎えた。
「ねえ、助けてもらいたいことがあるの」スタブロスに傷口を消毒して薬を塗ってもらいながら、ボニーが言った。
 ディミトリは顔をしかめた。彼女が笑うと、あたりがぱっと明るくなるような気がする。しかも不思議なのは、その笑いにわざとらしさがまったくないということだ。金目当ての女には、普通、体じゅうからそらぞらしい雰囲気が漂っているものだが。「だから、こうして手当しているつもりだけど?」ディミトリは傷口に絆創膏を貼りながら答えた。
「いえ……わたしが言っているのは……」彼の長く冷たい指を肌に感じて、体がぞくぞくしてくる。足元にかがみこむスタブロスの額に黒い髪がかかり、その髪をかきあげたいという欲望が襲ってくる。それは、痛みとさえ言っていいほど強い欲望だった。「わたし、人を捜しているの」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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