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非情なプロポーズ

非情なプロポーズ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・リクエスト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・スペンサー(Catherine Spencer)
 三十数年前にイギリスからカナダのバンクーバーに移り住む。英語の教師からロマンス作家に転身。カナダ人の男性と結婚し子供にも恵まれ、現在は孫もいる。あいた時間があれば、ピアノを弾いたり、アンティークショップをのぞいたり、庭の手入れをしたりしている。

解説

 ナポリ湾に浮かぶイスキア島で休暇を過ごすステファニーは、別荘の庭を散歩中、予期せぬ人物の訪問を受けた。片時も忘れることのなかった男性、マテオ・デ・ルーカ。十年前の夏、彼と激しい恋に落ちたもののすぐに捨てられた。その後妊娠がわかり、息子サイモンを一人で育ててきたのだ。マテオは隣の別荘にしばらく滞在しているという。もしサイモンが彼の子だと知られたら……。そのとき、息子が庭に出てきて彼女を呼んだ。マテオはサイモンを不可解な表情で見つめたあとに言った。
「隣同士だから、これからはたびたび顔を合わせることになるはずだ」
 ■ “秘密の新しい命の物語”――新しい命の存在を伝えたくても伝えられないヒロインの、切ない愛の物語。断ち切れない絆を描きます。

※ 本書は、2005年9月20日に刊行された作品を「ハーレクイン文庫」として発行したものです。 

抄録

「ときにはね、マテオ」ステファニーはため息まじりに言った。「前に進むために、失うものが少ないうちにあきらめるしかない場合だってあるんだから。わたしたちがしたのはそれよ」
「息子を犠牲にして」マテオは首を振った。「子供にとっていちばん大切なのは、両親がそろっていることだと思わないのか?」
 ステファニーは懸命に落ち着いた口調を保とうとした。「家族のあり方について、どうしてあなたがそんなに専門家ぶったことが言えるのか、わからないけど、わたしもこれだけは言えるわ。チャールズとわたしは簡単に結論を出したわけじゃなかった。サイモンは幸せな暮らしを送っているし、自分が心から愛されていることを知っているわ。結局、大事なのはそこでしょう」
 おもむろに自分のコーヒーカップをワゴンに置くと、ステファニーはバッグをつかみ、椅子から立ちあがった。
「この問題について、わたしたちの意見が一致することはなさそうだわ。これ以上この話を続けても無駄よ。もうヴィラまで送ってちょうだい」
「いいとも」マテオも立ちあがった。「きみは疲れているようだ」
 ヴィラへ戻る車中、ステファニーはマテオとひと言も言葉を交わさなかったが、彼がときおりちらちらと自分を見ているのは気づいていた。だがステファニーはまっすぐ前を見つめたまま、彼の視線に気づかないふりをした。
 ヴィラの前に車を止めると、マテオはすばやく運転席から降りたち、前をまわって助手席側のドアを開けた。
「ありがとう」ステファニーは言った。「食事はとてもおいしかったし、楽しい時間を過ごせたわ……だいたいにおいてはね」
「きみがいるあいだに、また出かけよう」
 誘惑と警戒心の板ばさみになり、ステファニーはためらった。結局、早く門のなかに入ったほうが安全だと考え、くるりと背を向ける。「ほどほどにしておいたほうがいいわ。あなたも言ったとおり、わたしは人から批判されるのが苦手なの。あなたは相手にとってうれしくない意見を黙っていられるタイプじゃないでしょう」
 マテオがすぐ後ろにいるとはステファニーは思っていなかった。彼の息が羽根のように軽くうなじをくすぐる。
「もしもぼくが、きみの過去にはいっさい触れない、きみと一緒にいられる喜びだけに気持ちを集中する、と約束したら、気を変えてくれるかい?」マテオは彼女の肩に両手を置いた。
 体が小刻みに震えだす。ステファニーが心を決めかねているのを察して、マテオは手に力をこめ、彼女を自分のほうに向かせた。
「イエスと言ってくれ、ステファニー」
 尊大な目で彼を見つめ、重ねて断るつもりで、ステファニーは顔を上げた。ところが、唇を重ねられたとたん、われを忘れてしまった。
 頭のなかをあまたの星が流れ、彼女はなすすべもなく彼にしがみついた。
 マテオの手がウエストまで這いおり、彼女をきつく抱きしめた。
「イエスと言ってくれ」小さな声でもう一度繰り返す。
「イエスよ」ステファニーはささやき返し、このすばらしい瞬間を引きのばすためなら、どんなことでもしたいと思った。マテオのたくましい体をふたたび自分の体に感じている。彼の唇が飢えたように激しく唇をむさぼっている。今大事なのはそれだけだった。「イエスよ!」
 マテオに教えられた、あの舞いあがるような喜びを、ふたたび経験できる日は来るのだろうか。そう考えながらひとりベッドに横たわった長くうつろな年月。それは彼の熱いキスによって、あっというまにどこかへ消え去った。
 ステファニーは大胆な気持ちになり、マテオの首に腕をまわした。彼の髪に触れ、肌の香りを吸いこむために。彼と同じように思う存分キスを味わうため。彼と体をぴったり重ねるために。
 しばらくしてマテオが彼女の顔を両手で包み、月明かりに目をきらきら輝かせながら、ステファニーを見下ろした。
「本当に十年もたったのかな、最愛の人《カリッシマ》」彼はつぶやくように言った。「きみがぼくのものになったのは、きのうのことのような気もする。もう一度ぼくとやり直してみる気はある?」
 震える指で彼の唇をたどりながら、ステファニーにはありありと見えていた。ふたりが情熱を再燃させたらどうなるか。今夜彼が言ったことから考えても、マテオは彼に息子がいることを隠してきたわたしを絶対に許さないだろう。
「運命に逆らうようなまねはしないほうがいいわ」急にこみあげてきた涙をまばたきで追いやる。「終わったことよ。そのままにしておきましょう」
 一瞬、マテオは反論しそうになった。だが一歩下がり、ステファニーを放した。「今夜のところはそうしておこう。だけど警告しておく。明日は明日だ。ぼくは簡単に負けを認める男じゃない」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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