マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

不機嫌な秘書

不機嫌な秘書


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ジェシカ・スティール(Jessica Steele)
 イングランド中部に、七人兄妹の六番目に生まれた。現在はウースターシャーの風光明媚で文化財に富んだ村に夫とともに住んでいる。公務員として働きながら夜の時間を執筆にあてていたが、夫の励ましを得てフルタイムの作家となった。一番の趣味は旅行で、メキシコ、中国、香港……と、取材をかねてさまざまな国を訪れている。

解説

 ★ ああ、いやな上司なのに惹かれてしまう。なぜこんな役目を引き受けてしまったの?★
 わたしがハミルトン社の役員に? アシュリンは信じられなかった。父は長年かかって築き上げた会社を大企業ハミルトン社に売却し、その見返りとして、娘のために役員の席を確保したという。ビジネスのことは何もわからないのに! 尻込みするアシュリンを、父親は一家のプライドを保つためだと励ました。しぶしぶ出かけた初めての役員会で、アシュリンは顔から火が出るようなへまをしてしまう。しかも、若くハンサムな会長カーター・ハミルトンは、鼻持ちならない男性優位主義者で、彼女に厳しく当たるのだった。反発を感じるアシュリンに、ある日突然カーターから電話があった。有能な秘書がけがのために数週間会社を休むことになったので、できるだけ早く出社して助けてほしいというのだ。

抄録

 アシュリンは客が帰ったあと、カーターがドアを閉める間後ろへ下がった。自分の女主人ぶりがどうだったか、すべてうまくいったか尋ねたかったが、お世辞を言わせようとしているとは思われたくなかった。彼女はその夜、もうひとりのカーターを目にした。気づかいが行き届き、礼儀正しく機知に富む彼――すばらしい主人役の彼を。
「コーヒーをもう一杯どう?」カーターがきいた。
 アシュリンは自分が彼の瞳を見上げているのに気づいた。混乱してどこかよそを見る必要を感じ、左手首を見下ろして腕時計をはめてこなかったのを思い出した。彼女は再び顔を上げて尋ねた。「今、何時ですか?」カーターは口元に笑みを浮かべているようだ。
 だが、彼女に答えるカーターの目は完璧に真剣に見えた。「十二時半だ」
「まさか! 本当に?」時はあっという間に過ぎ去ってしまった。
の女主人ぶりがすばらしかったという確かな証拠さ」
 ああ、カーター! なんてすてきな笑顔だろう。「あなたが主人役だったのよ」そう言いながらも、わたしはめまいを起こすところかしらとアシュリンは自問した。「ええと……失礼したほうがよさそう。ミセス・ジョンソンに、サーモンのカナッペは最高においしかったと伝えてくださる?」
「いいとも」カーターは答え、ためらうような様子で彼女を見下ろしていたが、冷静に言った。「夜も遅いし、きみは家までかなり運転することになる。翌朝帰るほうがよければ、予備の部屋に泊まってくれていいよ」
 アシュリンはあまりの驚きに顎がはずれそうな気がした。カーターの申し出は事務的だったので、額面どおり受け取っていいとわかった。夜も遅く外は暗く、わたしは女だ。それは時の魔法だったのかもしれないが、彼女はここにとどまりたいと思った。ベッドに入る前にもう一杯コーヒーを飲みながら、彼のことをもう少しよく知りたい。
「やはり帰ります」彼女は無理して断った。時の魔法ですって? わたしったらどうかしていたんだわ。
「失礼」カーターは苦笑いしながら即座に謝った。「きみを男性のひとりとして扱うようにしないといけないな。うちの役員のひとりは女性だと、まだのみ込みきれていないんだ」
 アシュリンは声をたてて笑い、皮肉った。「相変わらず女性にやさしく礼儀正しいんですね」カーターの瞳に笑みが宿り、彼女の胸は激しく高鳴った。
 カーターは車までアシュリンを送った。「家に着いたら電話するように」彼は体をかがめてアシュリンの頬にキスし、口もきけないほど彼女を驚かせた。
 頬に残るカーターの唇の感触以外何も意識しないまま、アシュリンは三十分ほどうわの空で運転した。カーターについてさまざまなことを思い返した。彼の礼儀儀正しさ、彼女を対等に扱ったやり方、魅力。そして彼の……すべてを。
 車を降りて家に入ったとき、アシュリンは夢見心地だった。両親は彼女のために明かりをつけたまま寝室に引き取っていた。だが、経験からどちらかはまだ起きているとわかる。「おやすみなさい」両親の部屋の前を通りながらそっと声をかけると、おやすみと母親の声が返ってきた。
 アシュリンは自分の部屋のドアを閉め、ベッドのそばの電話を見やった。カーターはもうとっくに眠っているわ。家に着いたら電話するようにと言ったのは、まさか本気じゃないわよね。
 彼女は会社に持っていったハンドバッグから手帳を取り出した。カーターの電話番号はわかっている。いいえ、こんなことばかげているわ。電話なんてできない。彼はわたしの頭がおかしくなったと思うわ! アシュリンはベッドに手帳をほうり出し、寝支度をしにバスルームへ行った。
 だが、寝室に戻ってくると手帳が呼んでいる気がした。拾い上げた手帳をナイトテーブルに置いてベッドに入ったが、なぜか頭の中でカーターの名前がぐるぐる回り続けていて、何か手を打たないかぎり朝まで一睡もできそうにない。
 アシュリンは手帳を取り上げ、カーターの電話番号を見つけた。電話しよう。でも、呼び出しのベルが五回鳴るまでに彼が出なかったら切ろう。
 電話に手をかけて待っていたかのように、カーターは一度のベルで電話に出た。彼が出るとは思っていなかったので、アシュリンはなんと言っていいかわからなかった。「無事帰りました」彼女はようやくひと言口にした。
「おやすみ」カーターはそっと答えた。
 アシュリンは受話器を戻し、ベッドに横になった。少々混乱していたが、幸せな気分だった。彼女は目を閉じ、ほほ笑みを浮かべたまま眠りに落ちた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。