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マドリードの一夜の果て

マドリードの一夜の果て


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・レイ・ハリス(Lynn Raye Harris)
 祖母がガレージセールで買ってきたハーレクインのロマンス小説を初めて読み、将来はシークかプリンスと絶対に結婚すると心に誓う。その後軍人と結婚。クレムリンを訪問したり、地球の反対側にある火山を探索するといった世界中を飛び回る生活を送ることになる。有望なロマンス小説に贈られるアメリカ・ゴールデン・ハート賞で2008年度、最終選考まで残った。

解説

 世界的なホテルチェーンの最高経営責任者であるレベッカは、ある日突然、会社が別のホテルチェーンに乗っ取られ愕然とする。アレハンドロ――すべては彼の仕掛けたことに違いない。五年前、二人はマドリードで出会いめくるめくひと月を過ごしたが、彼に婚約者がいると知り、釈明も聞かずにレベッカは彼の元を去った。その腹いせなの? 直談判をしようと、レベッカはスペインへ飛んだ。アレハンドロはレベッカとの再会を心待ちにしていた。レベッカに別れを告げられたあと、あてにしていた融資を断られ、僕の会社は窮地に陥ったのだ。きっとすべては彼女の差し金だろう。会社を乗っ取り、彼女を意のままにしたあと、今度は僕が捨ててやる。
 ■いくつかの賞も受賞している実力派リン・レイ・ハリスの日本デビュー作です。愛と憎しみの交錯するストーリーを、エキゾチックなマドリードの雰囲気とともにお楽しみください。

抄録

 あのころとどこか変わったかしら? 一九〇センチを超える長身、あいかわらずたくましい体。歳月をちっとも感じさせない。どこから見ても、鍛え抜かれた元闘牛士の姿は健在だ。アルマーニをまとった戦士だと、かつてからかったことがある。
 本当に、心ゆくまであの日焼けした肌をまさぐっていたの? あまりにも昔のことで、夢にさえ思えた。だが、彼の硬いものが押しこまれたときの、えも言われぬ感覚は体の隅々まで刻みこまれていた。幾度となく、めくるめく快楽に打ち震えたときの。
 レベッカは漆喰の窓枠に手をついて身を支えた。アレハンドロは気づいていないようだった。部屋をおおう張りつめた空気にも、まったく動じる気配はない。何も変わらぬそぶりを見せる相手に対して、彼女は渦に巻きこまれないようにするのが精いっぱいだった。
 彼にとっては、何も変わっていないのだろう。
「スケジュールは決まっている」アレハンドロはデスクに歩み寄ると、ファイルを取り出した。「この書類に目を通して、明日の朝いちばんで取締役会に出席してもらいたい。そこできみの役割について話しあう」
 レベッカは前に進み出ると、考えるべきことが見つかったことにほっとしながらファイルをつかんだ。眠っていた血管に熱く燃えたぎるものが流れはじめる。「それだけ? 久しぶりの挨拶もないの? なんの説明も?」
 氷のようなグレーの目が無表情に彼女を見つめる。「きみに説明をする義務はないよ、レベッカ。まったくのところ、なんの義務もないんだ。すぐに解雇されないだけでも、ありがたく思うんだな」
言葉を無視して言った。「少なくとも昨日までは。あなたは? 元気だった? 都合よく私に話すのを忘れていた例の人と結婚したの?」
「ああ」アレハンドロはそっけなく答えた。
 レベッカはまばたきをして涙をこらえた。そんなことでいまだに傷つくなんて、いまさら説明を期待していたなんて、私がばかだった。彼はアレハンドロ・アロヨ・リヴェラ・デ・ラミレス。世界をまたにかけたプレイボーイ、億万長者の資本家なのよ。
 どんな女性も彼の魅力には抗えない。昔もいまも。
 何を隠そう、この私だって。当時、彼は億万長者ではなく、新たな事業で頭角を現して自国で名を知られていた人物にすぎなかった。ホテル界に君臨する名門一族に生まれたのは私のほうだった。なのに、アレハンドロに夢中になった。裏切られた心の傷は、いまなお癒えない。本当に、どうかしていた。
「だが、離婚したと言ったら、さぞ満足するにちがいない」彼は続けた。「政略結婚というのは、うまくいかないものだ」
「気づいてよかったわ。彼女のほうが」
「きみのように?」
 とっさに辛辣な笑いが喉からもれる。「私に選択の余地はなかったわ。あなたはすでに婚約していたんですもの」
「同意していただけだ。婚約していたわけではない」
 いまだにそのことで傷ついているのを悟られないよう願いつつ、レベッカは冷ややかに笑った。「それはなんなの? スペイン流の理屈? あなたが自分勝手にも私を誘惑したときに、ほかの女性と結婚するはずだったということには変わりはないわ」
「きみも誘惑されてまんざらでもなかったはずだ」
 下腹部に熱いものがこみあげる。手足にあふれ出す。脚のあいだに流れこむ。「私がばかだった――あなたの本性に気づかなくて」
オーダーメイドのズボンがたくましい腿にぴたりと張りついた。「で、その本性というのは?」
 脅すような口調だったが、怒り、傷ついたレベッカはひるみもしなかった。それどころか、その端整な横顔を引っぱたいてやりたくなった。私の会社を奪っておきながら、よくも被害者面ができたものね。
「あなたは嘘つきで詐欺師よ」
 彼が近づいてきても、レベッカはたじろがなかった。次の瞬間、片方の腕が腰に巻きつき、筋肉におおわれた体にぴったり引き寄せられた。もう一方の手で顎をつかまれ、唇を奪われる。彼の唇が押しつけられると、全身の血が熱く燃えたぎった。
 電光石火の早業に思わず衝撃が走った。私がまだ再会にとまどっているというのに、ひどいわ。
 もう我慢できない。
 気がつくと、両手が彼の胸もとにあった。押しのけるつもりなのか、触れるつもりなのかわからなかった。かろうじて残っている自制心をかき集めて、レベッカは硬い胸板に手のひらを押しあてた。だがアレハンドロはさらに大胆になり、彼女の唇の輪郭を舌でなぞり、忘れもしない快感をよみがえらせた。
 レベッカはもう一度だけ押した。でも、この男らしい香り、引きしまった体……。
 あとでいくらでも責めることはできる。それに、思い出はいまなお色褪せていない。一度キスをすれば、アレハンドロの男の魅力に免疫ができるにちがいない。もう彼のことはなんとも思っていないと自分に示すためにも、ちょうどよかったわ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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