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危険な聖夜

危険な聖夜


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・スペンサー(Catherine Spencer)
 三十数年前にイギリスからカナダのバンクーバーに移り住む。英語の教師からロマンス作家に転身。カナダ人の男性と結婚し子供にも恵まれ、現在は孫もいる。あいた時間があれば、ピアノを弾いたり、アンティークショップをのぞいたり、庭の手入れをしたりしている。

解説

 ★危険と背中合わせのクリスマスを、よく知らない男性と過ごすことに。★
 スキーリフトの事故でけがをした妹の見舞いに行くため、ジェシカは雪の山道に車を走らせた。だが途中で雪崩が起こり、後続車とともにトンネルに閉じ込められる。後続車から降りてきたのはハンサムだが気難しげな男性で、救助隊が来るまでトンネル内で夜を明かすしかないとジェシカに言う。その男性モーガンの寝袋のなかで彼と落ち着かない一夜を過ごし、翌朝、待望の救助隊が来てくれたにもかかわらず、ジェシカは車の故障で、モーガンの家に滞在するはめになった。牧場でもある彼の家には、馬の世話をする老人がいて、ジェシカに接する態度も冷たくよそよそしい。老人はモーガンに、あの女は追い払ったほうがいいと進言する。検事のモーガンを恨む囚人がきのう脱獄し、復讐しに来るからと。ジェシカは、そんな危険が迫っているのをまったく知らず……。

抄録

「こうなる前に身の安全に気を配らなかったのは残念だな」彼の顔はたちまちもとの険しい表情に戻った。「ぼくは人に危害を加えるような男じゃないが、どうするかはきみの勝手だ。もし……ああ、まったく!」彼は車から離れ、懸命に怒りを抑えようとしている。「五分で決めてくれ。ぼくが寝袋を広げるまでに移ってこなければ、神にお祈りをして、遺書を作成したほうがいい。それがきみの人生で最後にしたことになるだろう」
 彼は大股に自分の車に戻り、ヘッドライトを消した。トンネル内を照らしているのはジェシカの車のライトだけになった。ドアを開閉する音が聞こえ、車内灯のついた大型車の後部で彼がなかをひっかきまわしているのが見えた。冷気が体の芯までしみこんでくる。彼が言ったように選択の余地がないのははっきりしている。
 相手が連続殺人犯か変質者ということもありうるけれど、彼の助言を無視したところで、どのみち朝までには凍死しているだろう。
 不安を無理やり抑えこみ、ジェシカは窓を閉めて車から降りた。獲物を待ち受けていたかのように、寒気がモヘアのコートを通して肌を突き刺す。
 彼の車はジープだった。スノータイヤにチェーンを巻いてある。そばまで行ったとき、彼が後尾扉から降りてきた。「賢明な選択だ」ダウンジャケットを脱ぎながら言う。「ブーツとコートを脱いで、乗ってくれ」
 衝動的になりがちな年ごろはとうに過ぎていたし、考えてからものを言う習慣を身につけるよう生徒たちを指導してきたジェシカだが、抑えるまもなく質問が口をついて出た。「仮眠するだけなのに、なぜ服を脱ぐ必要があるの?」
 彼が目の前に立った。車内灯とダッシュボードの下に空き缶に入れて置かれた蝋燭の明かりを受けて、がっしりした広い肩とジーンズに包まれた引きしまった腰が見えた。それはまた、恥ずかしさに赤らんだジェシカの顔を相手に見られたことにもなった。
 だとしても、彼は見て見ぬふりをしている。「ぼくは身長が百九十センチあるし、体重はこの前量ったとき八十八キロだった。だから特大の寝袋を用意しているんだが、それでも二人が入るといっぱいになる。雪で濡れたきみのブーツが腰にあたるのは不快だし、きみにしても同じだろう。コートのほうは、丸めて枕代わりにできる」
「そうね」ジェシカは無念そうにつぶやいた。「考えが足りなかったわ」
「そのとおりだ!」彼はくるっと目をまわし、車に乗るよう大げさな身ぶりでうながした。「ブーツは隅に置いて、くつろいでくれ」
 くつろぐですって! 百万年かかっても無理よ。セーターの裾が上がらないよう慎重に寝袋にもぐりこみながらジェシカは思った。
 後尾扉を閉めてきた彼は運転席に乗りこみ、ブーツを脱ぎ捨てた。それから這うようにしてシートを乗り越え、後部座席に移った。
 寝袋にもぐりこむと、彼は横向きになってジェシカに背を向けた。そのまま黙って眠ればいいものを、なぜかジェシカは懸命に会話の糸口を探した。
「これって、なんだか変ね」わざとらしいふざけた口調に気恥ずかしくなる。
 彼は心持ち肩を上げ、枕代わりの丸めたジャケットを楽な位置に直した。「何が?」
「こうして一緒に寝ているのに、わたしたち、お互いの名前さえ知らないんですもの」
「ああ」
「わたしはジェシカ・シムズ」
「へえ」彼は関心なさそうに言う。「なら、おやすみ、ジェシカ・シムズ」
 完全に肘鉄をくわされた。「おやすみなさい」ジェシカはとがった声で応じ、彼に背を向けた。寝袋の大半を相手が占領しているので、なんとか楽な姿勢をとろうにもその余地はない。
「もぞもぞ動くのはやめて、ぼくと同じ向きになるんだ」いらだたしげな声がする。
「同じ向き?」
「二本のスプーンを重ねるような格好に」
 彼は片腕を後ろにのばし、ジェシカをぐいと引き寄せた。胸が彼の背中で押しつぶされ、骨盤が彼の腰を包む格好になった。これを見たら、誰だって誤解するに決まっている。同僚や生徒たちに見られる心配がないのが、せめてもの救いだ。
「ありがとう」ジェシカは礼儀正しく言った。「ご親切に」
 怒りのにじんだため息が聞こえた。「とにかく、いいから眠ってくれ」
 頼まれてもそれは無理な相談だった。ジェシカと同じように彼もなかなか寝つかれないのか、しばらく身をこわばらせていた。だが、時間がたつにつれて少しずつ彼の体から緊張がほぐれていくのがわかった。ジェシカ自身もいっときまどろんでいたらしく、気がつくと彼はうつ伏せになって顔をこちらに向けていた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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