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男爵の花嫁

男爵の花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ジュリア・ジャスティス(Julia Justiss)
 小学三年生のときから物語を書きはじめ、大学では詩集を出版し、卒業後は保険会社やチュニジアのアメリカ大使館で編集者として働いていた。海軍士官の夫について十二年のあいだに七回の引っ越しを経験したあと、現在は米テキサス州東部のパイニー・ウッズに落ち着き、高校でフランス語を教えている。1997年にアメリカロマンス作家協会ゴールデン・ハート賞を受賞。夫と三人の子供、二匹の犬とジョージアン・スタイルの屋敷に住む。

解説

 住み込みの家庭教師ジョアナは、好色な屋敷の主に襲われかけ、それを見とがめた夫人に屋敷を追い出されてしまった。お金がなく宿には泊まれず、娼婦に間違われ、さんざんな扱いを受ける。兄が管理人補佐をしている地所を訪ねたが、兄は解雇され姿はなかった。代わりに現れたのは、ネッドという紳士的な物腰のハンサムな男性。ジョアナに同情したらしく、彼女を村の学校教師として雇うと言う。ありがたい申し出だ。彼女はまず家を借りるため給料の前借りを頼んだ。「いや、それには及ばない。ここに住めばいいだろう」ここに住む――彼とひとつ屋根の下に? 不意にふたりがキスする姿が目に浮かび、ジョアナは頬を赤くした。
 ■貴族にひどい目に遭わされショックを受けたジョアナが出会った男性。じつは、彼はただの“ネッド”ではなかったのですが……。人気作家ジュリア・ジャスティスが描く、極上のロマンスをご堪能ください。

抄録

「なぜ、こんな夜中に来たのだ? びしょぬれになったところを見ると、幌なしの軽馬車を走らせてきたんだな。御者を待たせているのか? マイルズに荷物を取りに行かせようか?」
 彼女は答えをためらっている。「馬車は……待っていません。御者もいません。あの……歩いて来ました」
「ヘーゼルウィックから?」ネッドは信じられなかった。「ひとりで、夜道を?」
 ジョアナはその質問を無視して彼の腕に手をおいた。「わたしの聞き間違いではないんですね? グレヴィルは……ここにいないの?」
 この女性が何者であれ、雨の夜に必死で歩いてきたことは確かだ。アンダーズの行為は気に入らないが、彼女に対してネッドはある種の哀れみを覚えた。「いない。気の毒だが」
 ジョアナはつばをのみこんだ。「どこへ行ったか、ご存じですか?」
 ネッドが振り向くと、マイルズが首を振っている。「いや、知らない」
 彼女は大粒の涙をこぼし、あわてて両手に顔をうずめた。「ああ。わたしはどうすればいいの?」
 自制心を取り戻そうと闘っていたけれど、やがて感情を抑え、ジョアナは泣くのをぴたっとやめた。ネッドは感嘆した。
「今夜はどうしようもない」ネッドは大いにほっとしていた。泣きじゃくる女性を相手にするぐらいなら、菜園を荒らしに来たうさぎの大群と奮闘するほうがましだ。「マイルズ、ミセス・ウィンストンを起こして、ミセス・メリルのために乾いた衣類を出してもらってくれ」そのあと彼女に振り向いて言った。「夕食はすませたのか?」
「あの……いいえ」彼女は答えた。
 何も食べずに歩いてきたとすれば、疲れきって倒れるのも当然だ。うつむいたところを見ると、食事を抜いたのは夕食だけではなさそうだ。「ミセス・ウィンストンに夕食で残ったシチューをあたため直すよう伝えてくれ」ネッドはマイルズに言った。
 彼女は即座に顔を上げた。目を見開き、口を引き結んでいる。
 キスしたくなるような官能的な唇だ。ネッドが腹立たしく思っていたとき、彼女が咳払いした。
「ありがとうございます。どう感謝したらいいのか――」
 ネッドは片手を上げてさえぎりながら、感謝を示してもらういくつかの魅力的な方法を考えまいとした。「それについては明日の朝話そう、まずは体を乾かし、あたたかくしてやすむといい。ああ、ミセス・ウィンストンが来た」彼は家政婦に振り向いた。「予期せぬ来客だ、よろしく頼む」
「はい、だんなさま」家政婦は言い、彼女を眺めまわしたあと、仕方なくひざを曲げてお辞儀した。
 ジョアナ・メリルはあわてて立ちあがり、同じようにお辞儀を返す。ネッドは体が離れてしまったのが残念で内心、ため息をついた。
 彼も立ちあがった。「あとはミセス・ウィンストンが世話をしてくれるから、着替えて、栄養をつけて寝なさい。では明日、朝食の席で。おやすみ、ミセス・メリル」
 彼女はうなずき、〈オールマックス〉の女主人も感心するほど優雅にお辞儀した。もし娼婦だとしたら、かなりよくしつけられている。
「おやすみなさい、ミスター・グリーブズ。ミセス・ウィンストン、お世話をかけます」
 ネッドは彼女が家政婦について出ていくのを眺めながら、思いめぐらした。ミセス・メリルはいったいどんな災難にあって、ひとりで歩いて、たぶん一ペニーも持たずにここへ来たのだろう?
 アンダーズの妹だとしたら、たとえ地位は高くなくても、上流階級の生まれだ。しかし、まともなレディはこんなふうに旅をしない。
 やはりアンダーズの愛人かもしれないとネッドは期待をこめて好色な想像を働かせた。
 おそらくそうにちがいない。態度や身のこなしにどことなく上流社会の雰囲気はあるが。
 いずれにせよ、今夜できることはこれ以上ない。ネッドは寝室に引きあげるため、部屋をひとまわり歩いて、ろうそくの火を消した。
 あの魅惑的なミセス・メリルが同じ屋根の下で眠っていると思うと、熟睡できない予感がした。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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