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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

百万ドルの愛人

百万ドルの愛人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
 オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。

解説

 オーストラリアの貧しい農家で育ったクレオは信じていた男にお金をだまし取られたうえ、旅先のロンドンで置き去りにされた。帰りの飛行機代を稼ぐため、クレオはホテルで住みこみの清掃係として働き始める。ところが数週間後、ホテルは突然、ギリシアの大富豪アンドレアス・ヘニデスによって乗っ取られた。職を失ったクレオはアンドレアスに猛烈な勢いで抗議する。するとアンドレアスは尊大な顔に笑みを浮かべながら、とんでもない話をクレオに持ちかけてきた。

抄録

 アンドレアスは彼女の肩からバックパックを下ろし、床に置いた。「君なら完璧だ。ほかに質問は?」
 クレオは首を振った。自分でも頭の中がごちゃごちゃで、説明するなどとても無理だ。「いいえ。その、少なくともいまは……ないと思うわ」
 アンドレアスは笑みを浮かべ、彼女の首に片手を添えた。その手は温かく優しかったが、どういうわけか、クレオの肌は燃えるように熱くなった。
「では、取り引きをキスで結ぶとしようか?」
 クレオは息をのみ、彼を見あげた。ぼやけた頭でも、いまの言葉ははっきりわかった。「あの、握手でかまわないでしょう?」
「確かにそうだが」アンドレアスは、両手でクレオの顔を包みこんだ。親指でクレオの顎をなぞりながら、彼女の顔をじっと見る。「少なくとも、これくらいは慣れてもらわなくては困る。となると、いまから始めておいたほうがいい。そう思わないかい?」
 彼はクレオの顔を上に向け、顔を近づけた。やがて、唇が重なった。彼女は恐怖にとらわれた。心臓が胸から飛びだしそうだ。けれども彼の唇は思いも寄らないほど優しく、それでいて自信に満ち、彼女はいつしかため息をついて彼の動きに応えていた。
 アンドレアスの片手が背中を下り、彼女の体を抱き寄せた。胸から腿まで、二人の体がぴったりと合わさった。敏感になった胸の頂が彼の胸板に触れ、脚の間がみるみる熱くなっていく。欲望がかつてない勢いでふくれあがった。ショックのせいでこわばっていた膝が、いまは力が抜けてくずおれそうだ。彼の唇が紡ぎだす魔法にクレオは身を震わせ、支えを求めて手を伸ばした。
 すると不意に、キスは終わった。アンドレアスの唇が離れ、彼女は置き去りにされた感じがして、目を開けた。彼は黙って見下ろしている。黒い目の中で、いくつもの疑問が渦巻いている。クレオの中にパニックがこみあげた。
 経験不足がばれたのかしら。やっぱり、やめることにしたの?
「これで、取り引きは成立だ」アンドレアスは言い、手を離した。「君は泊まる準備をするといい。僕は弁護士と相談して、必要な書類を用意する」
「書類?」我を忘れるようなキスのあとで、いきなりそんな話が理解できるとでも思っているのだろうか。「どういうこと?」
「契約書だよ。これはビジネスの取り引きだ。お互い、それを保証するものがあったほうがいいだろう」
「そうね、もちろんだわ」クレオは答えたが、本当はさっぱりわからない。
 突然のように、疲労の波が襲ってきた。今朝からの一連の出来事と感情の乱高下に加え、この三十分ばかりのアドレナリン放出の影響が一気に押し寄せた。とにかく眠い。
「私はどの部屋を使えばいいの?」
 アンドレアスはすでにポケットから携帯電話を取りだしている。彼はクレオを見あげて顔をしかめたが、すぐに向こうを向き、ギリシア語で口早にしゃべりだした。
 わかったわ。自分で探せばいいんでしょう。クレオはバックパックをかつぎ、一方のドアを目指した。いずれにせよ、二つのうちのどちらかだろう。
 確かにそこは寝室だった。中央に据えられたキングサイズのベッドに、一ダースもの枕がのっている。ワードローブを開けると、上着とズボンがずらりと下がっていた。アンドレアスのだわ。そう判断し、彼女は別のドアを開けた。そこは広々とした大理石のバスルームになっていて、浴槽とシャワーとビデがそろっていた。彼女は先ほどとは別のドアを抜け、寝室をあとにした。すると、またしてもさっきの居間に出た。アンドレアスはいまも電話で話している。
 クレオに気づいて、彼は片方の眉をつりあげた。彼女も同じく、片方の眉を上げた。“私の部屋は?”声は出さずに、口の形だけで尋ねると、彼はクレオが最初に通り抜けたドアを指さした。ショックのあまり、クレオは喉から心臓が飛びだしそうになった。まさか同じベッドで寝るというの? 芝居のために必要になる場合もあると言っていたけれど、いまは誰もいないのよ。
 パニックは、彼女の目にも表れていたのだろう。アンドレアスは片手で受話器を覆い、ソファを指さした。「僕はそこで寝る。ベッドは全部、君のものだ」
 クレオは寝室に戻り、バックパックの中からパジャマと洗面具を取りだした。バスルームに足を踏み入れながら、彼女はほっとする一方で、きまりが悪くなった。ばかみたい。彼が私なんかと寝たがるはずがないでしょう。取り引きは愛人のふりをすることであって、本当にそうなることではないのよ。たった一度キスされたくらいで、すっかり頭をやられちゃったのね。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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