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オリンポスの咎人 II ルシアン

オリンポスの咎人 II ルシアン


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: オリンポスの咎人ルシアン
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

 【★サンプル増量作品!】
 魔物を内に宿して生きる暗黒の戦士たちはパンドラの箱を探すことにした。宿敵ハンターが先に箱を見つければ、戦士たちは命を失ってしまう。旅立つ前夜、ナイトクラブで過ごす彼らに女たちが群がってきた。だが“死”の魔物を宿すルシアンだけには誰も近づかない。かつて女を虜にした美しい顔には醜い傷があるのだ。ところが魅惑的な美女がほかの戦士に目もくれず、すり寄ってきた。追い払おうとルシアンが荒々しく唇を奪うと、とたんに数百年ぶりの欲望が湧き起こる。そのとき彼は知らなかった。神の御言により、彼女を――女神アニヤを殺す使命を負うことになろうとは……。
 ★熱狂的ファンの多い“死”の番人ルシアンは、天界から追放された美しき戦士の頭脳派リーダー。クールな彼を翻弄する女神との耽美なロマンス、そこに隠された残酷な使命とは!? 話題のエロティック・パラノーマル、衝撃の第2弾!★

抄録

 “無秩序”の女神にして“不法”の女神の娘、秩序を壊すことに喜びを見いだすアニヤは、こみあったダンスフロアの端に立っていた。踊っているのは、みな裸に近い服装の美しい人間の女、暗黒の戦士たちが今夜の楽しみにと、特別に選んだ女ばかりだ。
 蔓のような煙がその女たちにまとわりついて夢をもたらす霧を散らすなか、ゆっくりまわる光源が星屑のような光を降らせ、暗いナイトクラブのなかにあるすべてを照らしていく。アニヤの目の隅では、恍惚とした表情の女を相手に腰を揺らしている戦士の引きしまった後ろ姿が見えた。
 わたし好みのパーティね。アニヤは口もとをほころばせた。といっても、招かれたわけではない。
 だけど、わたしを止められるものなんかひとつもないわ。
 この魅力的な不死身の戦士たちは、かつてはパンドラの箱に閉じこめられていた魔物に取り憑かれている。彼らは何百年もわが家と呼んできた町、ブダペストを発つ前夜、強い酒ともっと強烈なセックスを楽しんでいるのだ。
 アニヤはその楽しみに加わり、ひとりの戦士と踊りたかった。
「道を空けて」彼女は“火事だ!”と叫び、大混乱を引き起こしたい衝動をこらえてささやいた。人間の女たちがパニックに襲われ、ヒステリックに叫びながら逃げ惑うのを見たいところだが、せっかくのパーティを台無しにすることもない。
 声は彼女の鼓動と重なる激しいロックのリズムにかき消されたものの、女たちはおそらく自分でもよくわからない衝動に突き動かされて左右に分かれた。
 アニヤの前が、少しずつ……開いていく。
 ようやく目当ての男が見え、アニヤは熱い息を肺に閉じこめて体を震わせた。ルシアン。“死”の魔物に取り憑かれた、傷だらけのストイックな男。今は奥のテーブルにつき、無表情な顔で同じく不死身の戦士である、レイエスを見上げている。
 何を話しているの? あの“苦痛”の魔物を宿す男に、踊っている女のひとりを呼んでこいと命じてるのだろうか? もしもそうなら、偽りの火事騒ぎよりもっとすごいことが起こる。アニヤは歯ぎしりしながら首を傾け、周囲のあらゆる音を消して、ルシアンとレイエスに集中し、聞き耳をたてた。
「――彼女の言うとおりだった。トリンのコンピューターで衛星写真を調べたんだ。たしかに古代の神殿が海から上がってきている」レイエスは手にした銀のフラスクの中身をあおった。「ひとつはギリシャ、もうひとつはローマだ。このまま同じ速度で上がりつづければ、明日にはなかに入れるだろう」
「なぜ人間が騒がない?」ルシアンは二本の指で顎をかいた。これは彼の癖だ。「パリスがニュース番組を見たが、その神殿の話は今のところ皆無らしい。憶測すらないそうだ」
 愚かな男たち。あなたたちが神殿のことを知ってるのは、わたしが知らせたかったからよ。セックスの話ではないとわかってほっとしながらアニヤは思った。ほかの人々はふたつの神殿のことは知らない。たとえ知りたくても、見えないのだ。彼女は自分の力の最も強力な源である“混沌”と呼ばれる特技を使って、人間を遠ざけておくために嵐で神殿を隠し、同時に暗黒の戦士たちがブダペストを離れ、出向く気になるだけの情報を戦士たちに流したのだった。
 少しのあいだでいいから、ルシアンをブダペストといつもの生活から離すために。勝手のわからぬ場所でいつもと違うことをしている男は、支配しやすいはずだ。
 レイエスがため息をついた。「新しい神々の仕業かもしれない。おれたちが半分魔物だというだけでおれたちを憎み、滅ぼしたがってると思いたくなるよ」
 そう聞いても、ルシアンの顔にはなんの表情も浮かばなかった。「誰の仕業でも関係ない。予定どおり、明日の朝出かけるとしよう。早くその神殿を探したくてうずうずするよ」
 レイエスは空っぽになったフラスクをテーブルの上に投げ、前にある椅子の背もたれを関節が白く変わるほど強くつかんだ。「運がよければ、あのいまいましい箱が見つかるな」
 アニヤは舌で歯を舐めた。レイエスが言った箱は、またの名を“聖なる箱”、もしくはパンドラの箱という。“抑圧”の女神の骨で作られたその箱はきわめて強固で、地獄ですら閉じこめておけなかったほど恐ろしい魔物たちを閉じこめることができる。そればかりか、今では暗黒の戦士の内にひそむ魔物を吸いとる力も持っていた。かつては気の進まない宿主であったにせよ、戦士たちは生き延びるために魔物を必要としている。自らのために、聖なる箱を求めていた。
 ルシアンがふたたびうなずいた。「そのことはもう考えるな。明日になれば、考える時間はいくらでもある。今夜の残りを楽しんでこい。おれのような退屈な男の相手をして、もう一秒でも無駄にすることはない」
 退屈な男? どこが! こんなにどきどきする男に会ったのは、生まれて初めてなのに。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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