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ベッドの中の暴君 愛と継承のはざまで II

ベッドの中の暴君 愛と継承のはざまで II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス愛と継承のはざまで
価格:360pt
形式:MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
 アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。

解説

 女相続人を誘惑し、権利を奪い、捨てること──国を守る王子にとって、それはただの任務。

 ヴォリャルス王国の豊かな資源の利権をめぐり、王国を悩ませているのが、アメリカにいる女相続人だ。研究にしか興味がないという浮世離れした化学者シャネル──王族の誰かが彼女と結婚すれば権利は王家に戻ることから、プレイボーイの王子デミヤンに白羽の矢が立てられた。うぶで男性を知らないシャネルの心を鷲づかみにすべく、シアトルにやってきたデミヤンだったが、シャネルを知れば知るほどペースを乱され、困惑する。まさか、ただのキスでこれほどの衝撃を受けるとは。彼は自らを叱りつけた。これはただの任務だ。それを忘れるな、と。


こちらの価格は2019年9月18日までの期間限定価格となります。

抄録

「自分の目で確かめるといい」デミヤンが言った。その言葉にいっさいの迷いはなかった。
「あなたはいつか私を破滅させるわ」
「いいや、そんなことはしない」
「あなたみたいな人は……」もう二度と会えないと思うと、胸が苦しくて声が出なかった。
「おのれの心を知っている」またあの男の影がよぎった。ひとたび標的を定めたら、どんな手段を使ってでも必ず手に入れる男。相手が屈するまで自分から屈することを知らない男。
「結婚するまで待ちたかったの。望みもしない人生に相手を縛るようなことだけはしたくなかった」
「世の中には避妊というものがある」
「私の母はピルをのんでいたのに私を身ごもったわ。私は母の人生にいるべき存在じゃなかったの。それに私の父も」
「無理に結婚することはなかったはずだ」
「愛していたのよ。初めのうちは」それがいつ変わってしまったのか。
 父が他界したとき、シャネルはまだ八歳だったが、両親は深く愛し合っていると信じていた。あとになって、母に一から十まで批判され、そのたびに父親にそっくりだと言われて初めて、父のことも母はけっして認めていなかったのだと悟った。
「君の両親はそもそも合わなかったんだ」
「そうは見えなかったわ。でも、間違いだったの」
「僕たちは違う。僕たちは相性がいい」
「どうしてあなたにわかるの?」
「わかるさ。君が思っている以上にね。僕たちは一緒になる運命なんだ」そこにはなにかメッセージがこめられているような気がしたが、焦茶色の瞳にヒントを見いだすことはできなかった。
「言ったはずよ、私を落とすのは簡単だって。そんな言葉を持ち出す必要はないわ」
「僕は心にもないことを口にしたりはしない」
「それに、嘘もつかない」
 デミヤンの顔に一瞬、なにかがよぎった。「僕は君に嘘はついていない」
 その言葉が導き出す結論は信じられないものだった。「本気で私と結婚しようと思っているの? たった三回デートをしただけで?」
「そうだ」その一語には大いなる確信と信念がこめられていた。
 疑うことはできなかったが、理屈が通らなかった。シャネルの科学一辺倒の頭では、二人の関係のどこにそんな反応をもたらす要素があったのか突きとめることができなかった。これが化学実験なら、なにとなにを合わせ、熱を加えればどうなるか、冷却すればどうなるか、決まりきった結果が出る。
 でも、愛は違う。男と女の関係は予測も解析も不可能だ。
 ただ一つわかっているのは、ベッドの中で男性は女性への反応を隠せないということ。だからこそ、大学時代の恋人を拒んだのだ。彼は本気ではなかった。もちろん欲望はあったが、相手が自分でなくてもいいことはすぐに知れた。
「証明して」今、シャネルはデミヤンに言った。「私を信じさせて」

 デミヤンは挑戦を受けて立たないわけにはいかなかった。シャネルをセックスから遠ざけたろくでなしがなにをしたにせよ、彼女が心のどこかでデミヤンも同じことをすると思っているのは確かだった。グレーの瞳の奥に警戒心が見て取れる。
「今にわかるよ、かわいい人《セルデンコ》。僕はその男とは違う」
「また私を小さい子みたいに呼んで」文句には聞こえなかった。ただ事実を口にしただけなのだろう。感情が極限状態に達すると、彼女はいつもそうなる。分析することで身を守ろうとするのだ。この夜が明けるころにはそんな心の壁もなくなるに違いない。
「君はウクライナ語がわかるのか」学習経験があることは調査報告書にもあったが、レベルまでは記されていなかった。こうした親愛の言葉をとっさに理解するからには、相当の知識があるに違いない。
「勉強したの。有名な科学者の論文を原文で読むために」
「論文にセルデンコなんて言葉が出てきたのか?」
「そうじゃないけど……私は語学が好きなのよ。ウクライナ語以外にも、ポルトガル語とドイツ語ができるわ」
「それも学術論文を読むため?」
「ほかにもいろいろあるけど」シャネルの頬が赤く染まった。
「いろいろ?」彼女の唇がすぐそばにある。キスをしたかった。彼女だってそれを求めているはずだ。
「官能小説とか……」
「ウクライナ語の?」またしても度肝を抜かれた。今夜だけでもう三度目だ。
 この女性は一緒にいて少しも飽きない。
「ええ」
「驚いたな」
「どうして?」
「セックスに関する本がそんなに好きな女性が、どうしてまだバージンなんだい?」
「私は犯罪小説も好きだけど、だからって人を殺してみたことはないわ」
 デミヤンは声をあげて笑った。女性といてこんなに笑ったのはいつ以来だろう? この結婚は苦でもなんでもない。シャネル・タナーはきっと愛すべき妻になる。
 そんな確信を胸に、デミヤンは一歩踏み出した。キスはおのずと、告白を聞く前よりもやさしいものになった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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