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嫉妬【ハーレクインSP文庫版】

嫉妬【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:240pt
形式:MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

学校を出て以来、病気の母の世話に明け暮れるローラはある日、父が仕事で不正を働いたと聞かされた。しかも父の雇い主である若き社長ランドールは、娘を彼の嫁に差し出せば不問に付す、と言っているという。彼とは面識があった。以前、知人と外出したとき、ローラは道で出会ったハンサムな男性にいきなり唇を奪われた。無礼さに怒りつつもなぜか胸はときめき、ローラは思わずはしたない気持ちを抱いた自分を責めたのだが、その不埒な男性こそが、ランドールその人だったのだ!
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクインSP文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。


こちらの価格は2019年9月18日までの期間限定価格となります。

抄録

「あなたは酔っていなかったっていうわけ?」とローラは精いっぱい皮肉った。
「ああ」
「まるで酔っ払っているみたいだったけど」
「きみにキスしたからっていうわけ? あの時くらい自分のしていることを意識したことはなかったよ」いたずらっぽい目をしながら彼がほほ笑んだ。
 ローラはその言葉を聞いて頭がくらくらした。なんていやらしいやつなんだろう。なんであんな目でわたしを見るのかしら? なんでわざわざわたしを捜し出したのかしら? 自分を見つめている彼の目が、まるできみはぼくの持ち物だと刻印を押しているような気がして、震えがきたし、大急ぎでうちに逃げて帰りたかった。
「謝るって言ったんじゃなかったかしら?」とローラは噛みついた。「謝っているようには聞こえないけど!」
「謝るつもりだったんだ。確かにあの時きみをびっくりさせたかもしれないけど、どうしてもきみにキスしたことが悪いことだとは思えないんだ。あんまりすてきな感じだったんでね。またやるチャンスを待っているんだよ」
「そんなチャンスなんかないわよ!」顔を赤くしてローラは叫ぶと、落ち着いたふりをやめて一目散に走り出したが、道を間違えて人影のないもみの木立に走りこんでいるのに気がついた。
 怖くなったローラが立ち止まって振り向くと、彼が真後ろに立っていた。赤い顔で息を切らしているローラと落ち着いた彼がじっと見つめ合った。
「一体全体いくつになったの」
「二十歳よ」あごを突き出してローラが答えた。
「十七歳ぐらいにしか見えないね」片方の眉を吊り上げながら彼は言うと、さっと片手を伸ばして、ローラがびっくりしている間にあごを押さえ、彼女の顔をしげしげと見つめた。「本当にきれいだ」とまるで自分に言いきかせるようにつぶやいた。「肌はきれいだし、髪の色もなんとも言えない……目も春の色をしていて……」もう一方の冷たい繊細な指が彼女の顔をなでた。「ローラか。きみにぴったりの名前だね」
 別に押さえつけられているわけではないのに、まるで催眠術にでもかかったようにローラは身動きもできなかった。またキスするつもりかしら? そう思ったローラは実際そうして欲しいと望んでいる自分に気がついて身震いした。
「ローラ」静かな声で彼が再び言った。
 彼の顔が近づく。その顔がだんだんと大きくなってきて、ローラは興奮で口がからからになり、胸が高鳴った。
 彼の唇がローラの唇に触れると、全身が甘い感じに包まれるのを意識しながらローラは青空を見つめていた。キスは軽くて短く、昨夜の情熱的なのとは比べものにならなかった。
「ほら、そんなに怖くなかっただろう?」
「嫌いよ!」泣きそうになりながらローラが言った。
「せっかく好きだって言ったところなのに残念だな」と言った彼の目は笑っていた。
「あなたになんか好きになってもらいたくないわ」
「よくわかっているよ」ローラを見る彼の目がきらきらと光った。「だからこそきみに魅力を感じるんだよ。逃げる獲物を追うのは面白いものなんだ」
 冷酷な響きをその声に感じてローラはまた身震いをした。
「どうしてひとりにしてくれないの?」ローラはほとんど泣きそうだった。
「一度きみを見ちゃったあとで、どうしてそんなことができると思う? どんな男だってきみにはまいってしまうよ」そう言って彼は目を細めた。「今まで思いつかなかったけれど、競争相手がいるのかな?」
 目を見られないように伏せながらローラは背を向けた。「個人的なことなんか教えないわ」
「ということはいるんだな」と彼はうなずいた。「まあいい、すぐ見つけだすから。今晩一緒に食事してくれる?」
「だめにきまっているわ!」
「明日の昼は?」
 ローラは首を振った。
「言い訳もしないの?」と彼がからかった。
「したくもないわ」
 彼はがっかりした様子もなく、笑うだけだった。
「まあいいや、ほかの方法で攻めることにしよう」
 それを聞いてローラはなんとも言えなく恐ろしくなった。「わたしにどうして欲しいの?」
「ねんねじゃあるまいし」彼女のすらっとしたからだに目をやりながら彼が答えた。「ぼくがどうしたいか、よくわかっているくせに」
 また顔を赤くしたローラは、まるで打たれたように目を丸くした。彼にじっと見すえられていると、追いつめられた獲物のような気がするのだった。
「どうかしてるわ」と息をはずませて言った。
「ぼくもそう思うんだ」と言った彼の口元がゆがんだ。「これほどなにかが欲しいと思ったことは今までにないんだから。ひと言忠告しておくと、ぼくは欲しいものを手に入れなかったことはないんだよ」
「それじゃ新しい経験をすることになるわ」とローラはやり返した。
「それは違うな」笑いながら今度は彼がやり返した。「きみが新しい経験をするんだよ。たくさん習うことがあるよ、ローラ・ホーラム。ぼくにとってきみにものを教えるのは楽しみだよ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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