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和書>小説・ノンフィクションライトノベルミステリー

3時のおやつに毒薬を

3時のおやつに毒薬を


発行: 集英社
レーベル: コバルト文庫
価格:450pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 久美 沙織(くみ さおり)
 4月30日、盛岡市生まれ。上智大学文学部哲学科卒。正反対といわれる牡牛座と獅子座をそれぞれ太陽宮、上昇宮にもつアムビバレンツ人間。コバルトシリーズに「宿なしミウ」「抱いてアンフィニ」「丘の上のミッキー」シリーズ他。また集英社文庫から「MOTHER」「ソーントーンサイクル」シリーズなど多数発表。実力派作家として活躍するかたわら、小説家志望者たちの育成にも力を注いでいる。
 趣味は化粧とスナップ写真撮り。理想の女性は峰不二子。

解説

 舞せりかは、陽気で無鉄砲な楽天家。私立探偵として豪邸の茅野家に居候している。その茅野家には、エレクトロニクス三昧の生活を送っている遙がいる。
 ある日、シャックリがとまらないせりかは、大学病院へ治してもらいに行ったとき、変な外人に声をかけられた。オカンポ先生といって哲学科の学部長さん。実は殺し屋に命をねらわれているんだって。そこで遙が入院患者に化けて、病院へ忍び込むのだが……。

目次

3/2
KISS ME
3時のおやつに毒薬を

抄録

 119番も0発信よね!?
 「もしもし! もしもし! もしもし!」
 「はいこちら119番」
 「大前田医大の病院です、はやく手術のできる人よこして!」
 「手術?」
 「胃よ、胃ガンの手術、開腹してるの」
 「回復してんならもういいでしょう?」
 「病院じゅうがパニックでお医者看護婦全滅なの! はやくして! でなきゃ救急車」
 受話器をたたきつけて、廊下を駆けた。

 手術室のドアの前で、遙が通せんぼしてた。
 「殺菌しなきゃだめだよ! 入っちゃ」
 「あ」
 じゃあ。じゃあ。このまま待てっていうの!? めまいに、立っていられない。
 何てやつなの!? あんたにはどうすることもできないだろって、地獄で笑っている!?
 「救急車よんだけど……まにあうかな」
 「山の上だからな」
 あたしは見学室に走りこんだ。
 ガラス窓の下に、おなか出された先生。
 ――先生……。
 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
 あたしはちっぽけで何の力もない女の子です。あなたを助けてあげられるなんて思って、ひとりで何とかできると思って……でも。でもほんとは、何にも、何にもできなかった。
 ガラスにおしつけた顔がよじれた。
 先生。今は痛くないよね。でも。でも。このまま、麻酔がとけてしまったら。ううん、意識が戻んないまま、手おくれになってしまったら。
 麻酔がきいてる時って、頭の中、何も考えてないのかしら。それとも、夢を見てる!?
 神さま。神さまどうか。先生の夢を、美しい、すばらしいものにしてあげて。今。今、苦しくさせないで……。
 「先生……死なないで……死なないで」
 「せりか」
 遙の声がした。
 「あたし……もうだめ……二度と……二度と自分のこと探偵だなんて思わない……だから、だからゆるして、神様、あたし、いい子になるから先生を助けて!」
 「せりか!」
 「うるさいわね、今おいのりしてんだから邪魔しないでよ!! ああ、あれは何ていうんだっけ、天のいと高きところにホザンナ、地には、地には、えーと」
 「せりかさん!!」
 遙の、声、じゃ、ない?
 切れぎれの思考。あたしはふりむいた。
 「桑原さん! ……な、何を」
 桑原さんは、ひきむしるようにシャツのボタンをはずしてた。
 「ひらいてから何分たってる!?」
 「十分ぐらいだ」と遙。
 「よし。大丈夫だ。……手伝ってくれ!」
 「手伝う!?」
 「着がえて。ひとりじゃ手術はできない!」

本の情報

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