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プリンスの誘惑

プリンスの誘惑


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・レイ・ハリス(Lynn Raye Harris)
 祖母がガレージセールで買ってきたハーレクインのロマンス小説を初めて読み、将来はシークかプリンスと絶対に結婚すると心に誓う。その後軍人と結婚。クレムリンを訪問したり、地球の反対側にある火山を探索するといった世界中を飛び回る生活を送ることになる。有望なロマンス小説に贈られるアメリカ・ゴールデン・ハート賞で2008年度、最終選考まで残った。

解説

 ヨーロッパの小国モンテヴェルデの王女であるアントネッラは、国の財政的危機を救うため、パーティで大富豪に投資を持ちかける。だが、敵国の皇太子クリスティアーノのおかげで、莫大な資金は敵国に流れることになってしまった。失意のまま帰国の途につくが、折しも嵐が近づき、クリスティアーノの自家用ジェットに同乗させてもらうことになる。さらに運悪く、ジェット機が途中で燃料切れを起こし、二人はある別荘で嵐の過ぎるのを待つしかなくなった。憎むべき男性と一夜を過ごすはめになるなんて! 憤慨し、戸惑うばかりのアントネッラは、クリスティアーノがある思惑を持っていることを知るよしもなかった。
 ■敵国同士のプリンスとプリンセスが二人だけで一夜を過ごすことになったら……。実力派作家リン・レイ・ハリスがセクシーさたっぷりに描く華麗なラブストーリーです。

抄録

「もう十分よ」アントネッラは彼に背を向けた。口論している暇はない。言いかえすのが得策だとも思えない。気が動転するだけだろう。いまはそんな場合ではなかった。
「鉄鋼王のもとへ逃げるというわけか。だが、考えてみるといい。彼にとってどちらが大事か――愛人か、銀行口座か」
 脅すような口調に、アントネッラは振りかえった。クリスティアーノはすっかり愛想を引っこめていた。「どういう意味?」
 つめ寄られて、またしても逃げ場を失った。体は自由なのに、彼に押さえつけられているかのごとく動けなかった。足がチーク材のデッキに張りついてしまったようだった。
「僕もヴェガに提案があるということだ、世にもうるわしき姫よ《ベツリッシマ・プリンチペッサ》」彼の視線が体を這いまわり、アントネッラはまたも雷に打たれたような衝撃を受けた。「僕の資金は、きみの……そのあからさまな美貌にも勝るはずだ」
「なんて失礼な――」
「いまさら口にすることでもないだろう?」
 アントネッラは怒りで震えた。なんて腹立たしい、我慢のならない男なの。おまけに、信じられないほど全身の感覚を刺激する。ほてりや寒気を感じたり、肌が疼いたりするのは怒りのせいにちがいない。これまでの努力が水の泡になりつつある。彼はヴェガを奪いとろうとしているのだ。けれど、モンテヴェルデのためには製鋼工場が必要だ。どうしても。
 そして、そのためには集中しなければならない。興奮を静めなければ。氷のプリンセスの衣装をまとって。この男性にどれだけ心を乱されても、どんなに激しい怒りを感じても、落ち着いて行動しなければならない。
 アントネッラはひたすら気を静めようとした。少しずつ体の力が抜けて、自信と落ち着きを取りもどした。もう大丈夫。
「どうやら、お互い誤解しているようね」彼女は声をやわらげて言った。とにかく彼を惑わす必要がある。そのためには、与えられた役を演じて、彼にベッドへ行くチャンスがあると思わせよう。少なくとも、それでいくらか時間を稼げる。彼に期待させておいて、気を揉ませているあいだに、なんとか〈ヴェガ・スティール〉をこちらへたぐり寄せるのだ。
 経験はなかったが、そんなに難しいことでもない。自分を押し殺して殻に閉じこもり、すべてを傍観していればいいのだから。それが困難を切り抜けるための唯一の方法だ――別人になりきることが。横暴な父親と過ごすうちに身につけたすべだ。
 アントネッラが手を伸ばし、指先で髭を剃りたての顎から険しい口もと、そして顎の先に触れても、クリスティアーノは立ち尽くしたままだった。
 その目の表情は読めなかった。だが次の瞬間、奥底で何かが燃えあがった。ぞっとするような、屈服せざるをえない何かが。度を越したのかもしれない。方法をまちがえたのかも……。
「これはとても危険な遊びだ、プリンチペッサ」クリスティアーノはうめいた。
 頭のなかで鳴り響く警鐘を無視しながら、アントネッラは彼のうなじから、やわらかな髪に手を差し入れて身を寄せた。私にできるかしら?
 できるわ。やってみせる。モンテヴェルデ人の誇りにかけて。脅しには屈しない。負けるものですか。
 アントネッラはゆっくりと彼の頭を引き寄せた。とてもゆっくり。クリスティアーノは逆らわなかった。それでも、自分が主導権を握っているとは思えなかった。彼は興味があるだけ。猫がねずみに気を引かれるように。
 だが、とにかくいまの彼は、されるがままになっていた。それで十分だった。
 数センチの距離まで近づくと、アントネッラはふたたび彼の顎を撫でた。魅力的な口もとも。そうせずにはいられなかった。もちろん軽はずみな行為は慎むべきだ。すぐに見破られてしまうだろう。だが、少しでも興奮をあおって、彼に次なる行動を考えさせることができれば、ラウルの関心をモンテヴェルデに向けさせるための時間を稼げるかもしれない。
「教えてあげるわ」アントネッラはな艶めかしい声でささやいた。「楽園はすぐそこにあるのよ……」爪先立って、あと少しで唇が彼の口をかすめるところまで背を伸ばす。「すぐそこに、クリスティアーノ」初めて彼の名を口にした。「目の前に」
 そして、アントネッラは身を引いた。いまの出来事に当惑したままの彼を置き去りにするために。
 次の瞬間、クリスティアーノの大きな手が腰にまわされ、たくましい体に乱暴に抱き寄せられた。隙を見て逃げ出すべきだったと、いまさらながらに後悔した。だが、ライオンの脚の棘を抜くどころか、さらに深く刺してしまった。
 クリスティアーノの口が寸分たがわず押しつけられた。これまでのどんなキスとも違う、尊大で有無を言わせぬキスだった。がっしりした手にはさまれて、顔を上に向けられる。彼は頭をかたむけ、無理やり反応を求めてきた。思わず口があいた。抗議するため? 噛みつこうとして? それとも……。そして、すべりこんできた彼の舌と舌が絡みあった。
 蝋がとろけるように熱があふれ、手足に流れこみ、抵抗しなければいけないのに力が入らなかった。ふいをつかれて、逃れられそうになかった。いままでもキスをされたことはあったが、それだけでわれを忘れそうになったのは初めてだった。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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