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愛を覚えていて 恋を大捜査 III

愛を覚えていて 恋を大捜査 III


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・イマージュ シリーズ: 恋を大捜査
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 レベッカ・ウインターズ(Rebecca Winters)
 アメリカの作家。十七歳のときフランス語を学ぶためスイスの寄宿学校に入り、さまざまな国籍の少女たちと出会った。これが世界を知るきっかけとなる。帰国後大学で、多数の外国語や歴史を学び、フランス語と歴史の教師になった。ユタ州ソルトレイクシティに住み、四人の子供を育てながら執筆活動を開始。これまでに数々の賞を受けたベテラン作家である。

解説

 カルは髭を剃りながら、妻と愛し合った甘い余韻に浸っていた。ダイアナとの暮らしは幸せに満ちている。子供に恵まれないことを除けば……。突然鳴り出した電話が、カルを現実に引き戻した。それは病院の緊急治療室からで、ダイアナが通りで転倒して頭を打ち、運び込まれたという。おまけに、赤ん坊も一緒だと。いったい何があったんだ? ダイアナはほんの三十分前に家を出たばかりだ。それに、なぜ赤ん坊が一緒なのだろう。制限速度を無視して病院に駆けつけたカルを、ダイアナはおびえた目をして迎えた。まるで他人を見るように。愛する妻は、夫のぼくが誰だかわからないのか……?

抄録

「どうした? 何が怖いんだ?」
「この道よ。こんな急な坂の上にわたしたちの家があるの? わたし、行けそうにないわ」彼女は震えながら言った。
 カルは呆然と妻を見つめた。これがあのダイアナとは信じられない。以前の彼女は怖いもの知らずだった。ほかの妻たちが尻込みする中でただひとり、高い崖の上から紺碧のパウエル湖に飛び込み、笑いながら上がってきたものだ。
 頭を打ったことで、視覚と平衡感覚がおかしくなったに違いない。こんな後遺症が出るとは思ってもみなかった。
 ああ、ダイアナ……きみを抱き締めて、慰めてあげられたらどんなにいいだろう。
 カルの額から汗が吹き出した。「ダイアナ、ぼくを信じてくれるかい?」
 なかなか返事がないので、そんなことをきかなければよかったとカルが思い始めたころ、弱々しい答えが返ってきた。
「ええ」
 カルは深く息を吐いた。「あと一分三十秒もすればわが家だ。シートベルトをはずして、もっとこっちに寄って、ぼくの背中にしがみついてごらん。そうすれば支えもできるし、何も見ないですむよ」
 しんと静まり返った車内で、カルはダイアナの反応を待った。永遠と思われるほどの時間がたったあと、シートベルトをはずす音がして、ダイアナの顔が彼の肩に押しつけられた。
 怖くても勇気を振りしぼって、ぼくの言うことを聞いてくれたんだ。そう思うと、カルの心にいとしさが込み上げた。
「しっかりつかまっているんだよ」
 ダイアナを励ましながら、彼はアクセルを踏み、一分二十秒後には自宅のガレージに車を入れていた。ダイアナの爪がポロシャツの上からカルの腕に食い込んでいる。
「さあ、着いたよ。もう目を開けても大丈夫だ」
 ダイアナはおそるおそる頭を上げ、ぐったりとシートにもたれかかった。まだ脅えた目をしている。
「こ、ここは、どのくらいの高さなの?」
 カルは素早く考えをめぐらせた。
 ふたりの家――アーリントンハイツは、美しいオークの林に囲まれた広大な敷地の中に立っている。町の北西のはずれの高台に位置しているので、はるかに町を一望できる。このダイナミックな景観をあますところなく生かすように、彼らは建築家を雇って家の設計をしてもらった。
 どの窓からも、眼下に広がる光景がいやでも目に入る。しかし、主寝室のよろい戸はまだ閉まっているはずだ。玄関からまっすぐその部屋にダイアナを連れて入れば、外の景色を見せないですむ。
「たいしたことはないよ」カルはさっさと車から降りて助手席側にまわると、抵抗するすきも与えずにダイアナを抱いて車から降ろした。「さあ、ぼくの首に腕をまわして。すぐにベッドまで連れていってあげるから」
 ガレージには直接キッチンに通じるドアもある。しかし、カルはわざわざ遠まわりをして正面玄関に続く道を歩いていった。ダイアナが体をこわばらせているので、まるで木の人形を抱いている気分だ。
「もうすぐだよ」
 カルはほとんど駆け抜けるように玄関を通って廊下を曲がると、ビロードのカーペットを敷いた薄暗い主寝室の奥まで足早に入った。
 クイーンサイズのベッドの上にダイアナをそっと下ろし、枕元の明かりをつけた。ダイアナはカルと目を合わせるのを恐れているかのように、両手で顔を覆っている。そして泣きながら、消え入りそうな声で謝った。「ごめんなさい。き、気が変になったと、思ってるでしょうね」
 無意識のうちにカルはベッドの端に腰を下ろし、ダイアナを抱き締めて、あやすように揺すりながら彼女の頭の上にキスをした。「あんな怖い思いをしたんだ。しかたないよ。どうしてほしい?」彼女の涙がカルのシャツにしみ込んでいく。
「ここにはいたくないわ」
 カルは彼女をいっそう強く抱き締めた。「高いところだから?」
「ええ。見えなくても感じるの。今にも家ごと倒れてしまいそう」
「じゃあ、よそに行こう」
 カルは片手で彼女を抱いたまま、もう一方の手でローマンの家に電話をかけた。ありがたいことに、三度めのベルでブリタニーが電話に出た。カルはダイアナを連れてそっちに行ってもいいか、といきなり尋ねた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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